寒い冬はホテルでのおこもりステイにぴったりの季節。東京から新幹線に乗って1時間ほどで行ける高原リゾートの軽井沢に、暖炉があってまるで別荘で過ごしているかのような究極のリトリート(静養)体験ができる「ホテルインディゴ軽井沢…
画像ギャラリー寒い冬はホテルでのおこもりステイにぴったりの季節。東京から新幹線に乗って1時間ほどで行ける高原リゾートの軽井沢に、暖炉があってまるで別荘で過ごしているかのような究極のリトリート(静養)体験ができる「ホテルインディゴ軽井沢」がある。2024年1月末までは、「Unite Blue Xmas」をテーマにしたイルミネーションも展開中だ。館内にいながらアートツアーに参加できたり、サウナ併設の炭酸泉露天風呂でリラックスできたりと、ここにしかない体験がギュッと詰まっている。近隣に誕生した、世界で注目されるウイスキー蒸留所での楽しみ方も合わせて、冬の軽井沢でしかできない、とっておきの過ごし方をご紹介したい。
自然香る軽井沢の別荘に着想を得た、ぬくもりを感じる空間
ホテル周辺エリアのストーリーを、アートやインテリア、サービスなどに反映したライフスタイル・ブティックホテルブランド「ホテルインディゴ」。なかでも浅間山をはじめとする自然に囲まれ、⻄洋の文化が融合したエリアに位置する「ホテルインディゴ軽井沢」は、かがり火の灯った大きな暖炉と木材を基調とした大空間のロビーが出迎えてくれる、温かみのあるホテルだ。
夜の空を思わせる、サステナブルなツリーがお出迎え
2023年12月25日(月)までの期間は「Unite Blue Xmas」をテーマにしたクリスマスツリーも同エリアに登場し、ホリデーシーズン気分を盛り上げてくれる。
装飾は、廃棄予定の花であるロスフラワーに新たな命を吹き込む活動を行う企業「RIN」が監修した。「長野県の間伐材とロスフラワーを使ったサステナブルなツリーは、ブルーを貴重とし、冬の軽井沢の夜空をイメージして作られています」と、「ホテルインディゴ軽井沢」の広報の花岡かおりさん。
森のような小径を通り抜け、ゲストルームへ
このホテルの面白いところは、まるで別荘地のようにロビーラウンジの棟、ダイニングの棟、ゲストルームの棟、フィットネスセンター兼スパの棟と、建物が分かれているところだ。ゲストルームのある建物に辿り着くまでには、フォレストガーデンの小径を通り抜ける必要があり、森の中を散歩する気分で移動が楽しめる。
アートが点在する遊び心あふれる客室にステイ
この日宿泊したのは、川を挟んで軽井沢ゴルフ倶楽部に面した、スタンダードリバービュー(ビューバスタイプ)ルーム。スタイリッシュな客室の窓を開けると、軽井沢の澄んだ空気とともに緑あふれる景色や、鳥のさえずりを近くに感じることができる。
壁には土地の個性を表現した、ウォールアートが幾つも施され、見所となっている。
「アートはホテルの至るところに点在していますが、今後は、ネイバーフッドホスト(近隣の事情に通じたホテルスタッフ)が作品の解説を行う無料のアートツアーがスタートする予定なので、ぜひ参加してみてください」と、広報の花岡さん。チェックインを終えたらまずはこのツアーに参加してみよう。
個性あふれる作品のストーリーをツアーで楽しみ尽くす
例えば、スタンダードルームの壁には、3種の水彩画と木版画がかかっている。特に目を引く1番大きな木版画は、オーストラリア出身で軽井沢在住の木版画家、テリー・マッケーナさんが作成したものだ。ビビッドなカラーを使い、軽井沢の自然を表現したアートはポップで遊び心満点だ。
客室のトイレにも、長野県上田市の左官会社「橋本左研」による長野市で取れた土を使った漆喰のアートがある。これは高原の小川や風、紅葉し地面に落ちた葉など、軽井沢のランドスケープ(風景)を表したものなのだとか。このほかの作品については、実際にツアーに参加して解説を楽しんでみてほしい。
ランタンに囲まれたスパ棟に到着したら、大浴場&サウナへ
そして、ここを訪れたら必ず足を運びたいのがフィットネスセンター兼スパ棟だ。1階が「大浴場」、2階はタイ発祥の人気ライフスタイルスパ「THE SPA by HARNN」となっているこの建物。アートツアーが終了したら、この先の「大浴場」で湯浴みを楽しもう。
自然の空気を全身で感じる、炭酸泉露天風呂に癒される
モダンな「大浴場」では、冬の澄んだ空気に包まれながら炭酸泉露天風呂に浸かることができる。微発泡の炭酸泉は疲労回復が期待できるほか、美肌効果や不眠解消も期待できると言われている。シュワシュワと弾ける湯に身を委ねつつ、忙しない毎日を忘れてリラックスしよう。
そのほかにも90度のドライサウナもあり、18度の水風呂と外気浴の椅子も用意されている。サウナ、水風呂、休憩を繰り返し、ととのうひとときを満喫してみてほしい。
臨場感たっぷりの薪火レストランでディナーを
湯浴みを楽しんだ後はお腹も空いてくるので、早めのディナーに向かうのがおすすめだ。敷地内の「オールデイダイニング KAGARIBI」では、ピザ窯で焼き上げる自家製ピザや、ダイナミックに焼き上げる肉や野菜などの薪火イタリアンを楽しむことができる。
エグゼクティブシェフの傳法大輔さんはホテル「グランドハイアット東京」のイタリアンレストラン「fiorentina(フィオレンティーナ)」で副料理長、ホテル「ザ・リッツカールトン日光」の洋食レストラン「レークハウス」で料理長を担った経歴を持つ。
アラカルトも展開しているが、今回は全5皿のディナーコース(1万円)をオーダーした。
なかでも絶品だったのは、「ポルチーニ茸と海老のタリオリーニ 胡桃 ハーブ」。茸の芳醇な香りと溢れ出す海老の滋味、もちもちとした食感のタリオリーニが絶妙なハーモニーを奏でる。
薪火の香ばしい香りで肉や野菜のうま味を引き出した「国産牛サーロインの薪グリル 季節野菜のアグロドルチェ カボチャピュレ」も、いちおしの逸品だ。バルサミコを使った甘酸っぱいソースと甘みのあるピュレのコントラストも心地いい。
夜の森のような神秘的なイルミネーションに浸る
食後はライトアップされた建物と建物の間を散歩してみよう。「Unite Blue Xmas」をテーマに冬の軽井沢を表現したブルーのイルミネーションは、どこか静寂で神秘的な雰囲気が漂う。
ホテルの敷地内にいながら、このエリアらしいイルミネーションでホリデーシーズン気分を味わえる点は、ここならではの魅力と言えるだろう。
驚きに満ちたカクテル体験が楽しめる、週末限定バー
散歩後は、金・土・祝日限定で開かれるロビーラウンジ内の「もう一つのバー」(17時00分~22時00分営業)へ。「ミクソロジストお任せカクテル」のオーダーが可能なこちらでは、ゲストが好きな食材やリキュールを選び、お任せすることができる。ミクソロジストとは、野菜や果物など新鮮な素材を使って新しいスタイルのカクテルを作るバーテンダーのことだ。
この日はユニークな「ブラッディ シーザー」(2200円)をオーダー。ウォッカをハマグリのエキスとトマトジュースで割ったカクテルの上に添えられているのは、レモンやトマト、キュウリなど。見た目も楽しい一杯は、スパイシーなスープのような味わいで、フレッシュな野菜もぴったりとハマっていた。
そのほかにも、その場でお抹茶を点ててくれる「抹茶のデザートカクテル」(2200円)や、炎が燃え上がる演出付きの「アイリッシュコーヒー」(2000円)など、極上の一品にワクワクのエッセンスを添えて提供してくれる。
地産地消食材を使った朝食でパワーチャージ
翌朝は地域が育てた食材を生かした朝食ブッフェを味わおう。長野県佐久市のブランド卵「浅間小町(あさまこまち)」を使用した「シェフ特製のフリッタータ」や、「自家製パン」など魅力的なメニューが満載だ。特に長野で育まれた「Happy Village Farm」の野菜は、紫ジャガイモのシャドークイーンはほくほく甘く、紫大根はシャキっとしていて味が濃く、印象的だった。
■ホテルインディゴ軽井沢
[住所] 長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉字屋敷添18-39
[電話番号] 0267-42-1100
[交通]車:上信越自動車道「碓氷軽井沢IC」から県道43号線で約10km、さらに国道18号線で1.4km
電車:JR北陸新幹線・しなの鉄道線 「軽井沢駅」南口から徒歩約30分、タクシーで5分
海外でも話題のウイスキー体験型施設「小諸蒸留所」とは?
チェックアウト後は、2023年6月に長野県小諸市にオープンしたウイスキーの体験型施設「小諸蒸留所」へ向かおう。所要時間は車で25分ほど。
実はここ、イギリスの大手専門誌で「世界で最も訪れたい蒸留所3選」の一つに選ばれ、世界中のウイスキー関係者が集う「World Whisky Forum」の開催地として、アジアで初めて選出された、話題の蒸留所なのだ。
建物は全部屋から製造過程を眺めることができる、ガラス張りの2階建て。
「ウイスキーをもっと身近なものとして生活に取り入れてほしい」という思いのもと作られた1階のバーでは、バーテンダーのオリジナルカクテルや、ウイスキーに合う地元食材とのペアリングメニューなどを味わうことができる。
2階ではテイスティングをしながらウイスキーについて学んだり、カクテルを作ったりすることができる「ウイスキーアカデミー」に参加することができるところが魅力だ。
世界的な造り手がウイスキーに挑む拠点
できたばかりなのに海外からも期待されている理由は、世界的なウイスキーの造り手であるイアン・チャンさんが骨を埋める覚悟で移り住み、「ウイスキーのアインシュタイン」とも言われたウイスキーコンサルタントの故ジム・スワン博士の教えを活かし、ジャパニーズウイスキー造りに励んでいる場所だからである。イアン・チャンさんは台湾出身で、世界的に評価の高い台湾のウイスキー「KAVALAN(カバラン)」の元マスターブレンダー。2020年から、小諸蒸留所を営む軽井沢蒸留酒製造の副社長兼マスターブレンダーを務めている。
水質が良く、冷涼な気候で、ウイスキーの本場・スコットランドと同じ平均気温の小諸は、ウイスキーにいい影響をもたらす最高の立地だそうだ。製造過程を眺められる見学ツアーもあるので、実際にウイスキーが作られる様子を自分の目で確かめておこう。
ニューメイクこそ、ウイスキーの真骨頂!?
ちなみに1階のバーでは、熟成前のウイスキーの原酒「ニューメイク」をセットのジェラートとともに味わえる。これを樽の中に詰め、熟成を経てウイスキーが完成するので、現時点では無色透明で味も違うが、「ニューメイクがおいしければ熟成後はもっとおいしくなります」とイアン・チャンさんは説明する。
「口当たりはまろやかですが、このニューメイクは芳醇な香りとボディ感のある味わいが特徴的です。渾身のニューメイクをお楽しみ頂き、この蒸留所のウイスキーが将来どのようなものになるか想像して頂ければ」
世界が注目するウイスキーの成長過程を楽しむことができる「小諸蒸留所」。ウイスキーボトルの販売は、2026年ごろを予定しているという。今は、ニューメイクで体を温めつつ、数年後に完成するウイスキーに想いを馳せてみては。
■小諸蒸留所
[住所] 長野県小諸市甲4630-1
[電話番号] 0267-48-6086
[営業時間] 10時00分~19時00分 (最終入場18時、バーL.O.18時30分)
[定休日]不定休
[料金] 入場券+ウェルカムカクテル+ツアー大人2500円
[交通]車:小諸駅から約10分
文・写真/中村友美