都会のエアポケットはコスパ高の良店揃い 戎「いいっすねえ、激シブっすね。僕は菜々山さんと一緒に新富町を担当しました。実は一時期このあたりで働いていたので、歩いていて懐かしかったです」 菜「新富町こそツウが行く町だよ。昼時…
画像ギャラリー銀座の奥にある東銀座、築地、新富町を“銀座のハナレ”としてご紹介してきた2024年5月号の『おとなの週末』。東銀座担当のライター肥田木、築地担当のライター池田、新富町担当のライター菜々山、編集戎が各エリアの良店や街の魅力を語ります。今、ハナレが面白い!
あの頃の銀座を感じるなら東銀座へ
戎「本誌2024年5月号は、久しぶりの銀座特集でした!といっても“銀座のハナレ”と銘打って中心地から少し離れた、東銀座、築地、新富町エリアですが」
菜「10年くらい前までは、おと週で毎年のように銀座特集やってたよね。大通りから入った路地には良い店がたくさんあったけどさ」
肥「私も新聞記者時代によく銀座で遊んでたけど、当時通っていた小さな個人店はほとんど閉店しちゃってる。4丁目の交差点に立ってると、ここ日本だよね?って思うくらい訪日外国人でいっぱい。インバウンドで盛り上がるのはありがたいけど昔の銀座を知る私たちにとっては、ちょっと寂しいかな」
戎「だからこそですよ!今“ハナレ”が熱いんです」
肥「そうそう。私は東銀座を担当したけど、ここは通っていた店が今もがんばっていてうれしかった。昔からある店も最近できた店も、銀座中心部には少なくなった個人経営の“何かいい店”“いい意味で何かクセのある店”が多いし、そんな店は店主の“顔”がきちんと見える。だから楽しいんだな」
菜「銀座で飲んでるって聞いたら、『ふぅん、お金持ちなんですね』って感想だけど、東銀座で飲んでるっていうとセンスあるじゃんって思うかも(笑)。で、どこが良かった?」
肥「和の新店でいえば『ひとしお』。いわゆる歌舞伎座の裏通リじゃない方のエリアだけど、だからこそ隠れ家的。目の前の炉端で魚や野菜を焼いてくれるんだけど、それを見ているだけで3合飲める。つまみ類もひと捻りしていてコスパもいい」
戎「“ハナレ”はやっぱコスパ高い店が多いっすよね」
肥「それにね、常連になりたいと思ったのは『なか路』。旬の味のおいしさはもちろん、穏やかな店主の雰囲気がいいし、『離亭三ぶん』も旬の味が粋な旨さで季節ごとに通いたくなった」
菜「和の店が多かったの?」
肥「いやいや、洋も実力派だよ。新店で注目は『TRECULI(トレクーリ)』。実力派シェフによる広島食材×シチリアの伝統料理の店で、昼も夜も間違いないおいしさ。ここも静かなエリアの2階にあるから隠れ家的。開店したばかりだけど、すぐに予約が取れない店になりそう〜。そういや池田さんはどこのエリアの担当?」(東銀座のオススメ和食店)(東銀座のオススメ洋食店)
池「俺は築地だよ」
築地は中心部を離れ“らしさ”を満喫
菜「築地も観光客だらけでしょ?ちょっと前に行ったら人の多さに酔った(笑)」
池「かつて築地場内でバイトしてたこともある身としては馴染みがありつつ、様変わりが心配でもあったわけ。昔は市場の仕事終わりとか、仕入れに来た人が寄るような早朝からやってる店がたくさんあった。ま、でも場外市場については、だいぶ雰囲気は変わったけど、今やインバウンドの復活で午前中から大混雑ですれ違うのも厳しいくらい」
戎「落ち着いて食事を楽しめる店って少ないですか?」
池「いやいや、波除稲荷神社から横に伸びる通りあたりまで行くと、築地らしい良い店があるんだな。今回紹介してるとこだと、路地を少し入った『多け乃』とか『てんぷら黒川』がその例。素材は一流、でも銀座だったらこんな価格ではちょっと無理って店があったりしてね」
戎「築地は中心部から離れるってのがポイントですかね。あと今回ランチや喫茶店も巡ってましたよね?」
池「うん、魚介は好きだけど、寿司や海鮮丼はもういいやという人向けに、それ以外でランチで魚介をおいしく食べさせてくれる店を探した。鉄板焼きの『Kurosawa』は知っておくといいと思うよ。古民家造りで、まさしく銀座の奥座敷という雰囲気。特別感も味わいながら楽しめるかな」(築地のランチについて、詳しくはこちら)
菜「喫茶店も気になる〜」
池「でしょう?あまり知られてない昔ながらの店や甘味処があってそちらもかなりおすすめ。場外でも一番古い『喫茶マコ』は名物の海鮮雑煮が旨いのよ」(築地の喫茶店について、詳しくはこちら)
都会のエアポケットはコスパ高の良店揃い
戎「いいっすねえ、激シブっすね。僕は菜々山さんと一緒に新富町を担当しました。実は一時期このあたりで働いていたので、歩いていて懐かしかったです」
菜「新富町こそツウが行く町だよ。昼時はオフィスで働く人でそこそこ賑わっているけど、夜ともなれば通りに全然人がいない(笑)。都会のエアポケットみたいな場所」
肥「友達とも新富町で集まろうってならないもんね(笑)」
菜「うん、1回もなったことない(笑)。それに、なぜかビストロとかイタリアンとかワインを出す店が多いの。その理由をいろんな人に聞きまくったけど、誰もわからなかった(笑)。銀座から徒歩圏内という好立地なのに、家賃が安いとはよく耳にしたけどね」
池「じゃあやっぱ新富町もコスパ高の店が多い?」
菜「めちゃくちゃ多い!『ビストロ ル ケイク』はこのコースをこのお手頃価格で!?ってなったし、『ヨーショクヤ リベルマン』も銀座の高級店だったらお値段3倍くらいしそうな上等な味だったよ」
戎「和の店だと立ち飲みの『サ嘉ダチ』も超おすすめです。何と言っても魚が旨い&安い。新富町は店の数が東銀座や築地に比べると、圧倒的に少ないんですけど粒揃いって感じでしたよね」
菜「ほんとそれ。あとねチェーン店がほとんどないの。なんでも、広い面積のある物件がないってのが理由らしいんだけど、その分個人店が今も元気だった」
池「へえ、ほとんど足を踏み入れたことないけど、今度行ってみるよ」(新富町の名店について、詳しくはこちら)
戎「最初にも言いましたが、今の銀座は断然“ハナレ”で間違いなしですね。ひと駅、ふた駅行っただけで、こんなにもおいしくて手頃な店があるのだと、驚いてもらえると思います」
肥「もちろん銀座は今も世界が注目する日本の繁華街だけど、喧騒を横目に少し行った先の“ハナレ”でほっこり楽しんでほしいな」
撮影/浅沼ノア(東銀座、築地)、西崎進也(なか路路)、鵜澤昭彦(Kurosawa、サ嘉ダチ)、小島昇、文/菜々山いく子
※2024年5月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。