おと週的「東京の町パンBEST5」 約130軒食べ歩き、味・人・雰囲気で決定!

朝食にお昼におやつ、日々の生活にそっと寄り添うパンは今やなくてはならない存在だ。近隣住民やそこで働く人たちがこぞって訪れる、町のパン屋さんを「おとなの週末」町パン隊が大調査。味はもちろん、お店の人や雰囲気までチェックして…

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朝食にお昼におやつ、日々の生活にそっと寄り添うパンは今やなくてはならない存在だ。近隣住民やそこで働く人たちがこぞって訪れる、町のパン屋さんを「おとなの週末」町パン隊が大調査。味はもちろん、お店の人や雰囲気までチェックして選定した5軒をランキング形式でご紹介します。

【おと週町パン隊】
◎地域密着店を愛する、編集・武内慎司
◎実はハード系のパン好き、編集・戎誠輝
◎おと週の甘いもん担当、ライター・井島加恵
◎惣菜系も菓子パンも大好き、ライター・池田一郎
◎ガッツリ系を中心に狙い撃ち、ライター・市村幸妙
◎日頃からパン屋をチェック!ライター・肥田木奈々
◎店で買って外で食べる派、ライター・藤沢緑彩

【ランキングの選定基準】
東京都内(主に23区)にあるパン屋さんを調査。今どきのブーランジェリーというよりは、あんぱんやクリームパン、惣菜パンといった商品が並ぶ“町のパン屋さん”をスタッフが買って実食。それぞれの推し店のパンを持ち寄って食べ比べをし、協議の上、ランキングを選定した。

選定基準は、どのジャンルのパンもおいしく、スタッフの接客や店の雰囲気の良さも含め、総合的に判断。そして、店の営業年数も考慮した。

第1位『ヨシナカブレッド』 @武蔵小山

仲良し家族が実直に作る 町の暮らしを支えるパン

昔ながらのパン屋さんを見つけた時、胸がほわんと温かくなるのはなんでだろう。流行りはなくても誠実な味がうれしくて、笑ったつもりもないのに顔がにんまり。吉仲さん家族が営むこの店もそう。

一歩入れば陳列棚は幸せの渋滞だ。目を奪われるのは調理パン。長時間発酵でしっとり焼いたパンにあふれる具。種類は多彩だが、一番人気は意外にも「きゅうりロール」なんだとか。

これ、浅漬けした野菜を自家製マヨネーズで和えたもので、ヤミツキになる味わいが我々町パン隊に大好評!

きゅうりロール 237円、おらんだぱん 162円、ナポリタンパン 237円

『ヨシナカブレッド』(奥)きゅうりロール 237円、(左手前)おらんだぱん 162円、(右手前)ナポリタンパン 237円 キュウリとキャベツが入る「きゅうりロール」はあのスーパーモデルもお気に入り。ナポリタンは極太

2代目の吉仲利一さんイチオシは修業先の名物を受け継ぐ「おらんだぱん」。バター風味の黄身あんをココア生地で包んだ洋の趣だ。それにしてもマヨネーズまで手作りとは。

利一さんは深夜1時から仕込みを始めるそう。家族一丸、地道な仕事で生み出す旨さは地域の暮らしを支える味。それは近所の高校の購買でも保育園のおやつでも。今日もオレンジ色の看板が、お日さまのようにやさしく温かく町を照らす。

『ヨシナカブレッド』

[住所]東京都品川区小山2-14-2
[電話]03-3785-2628
[営業時間]7時~18時 ※土は~16時
[休日]日・祝
[交通]東急目黒線ほか武蔵小山駅東口から徒歩8分

【近くにサンドイッチ・調理パン専門店あり『ヨシナカブレッド 一番通り店(2号店)』】

『ヨシナカブレッド 一番通り店(2号店)』

3代目の発案で始めた駅近の一番通リ店。調理パンは唐揚げやツナちくわなど目移り必至。週末は昼過ぎに完売する日もあるほどだ。本店とはしごする人も!

『ヨシナカブレッド 一番通り店(2号店)』

[住所]東京都品川区小山3-7-17
[電話]ナシ・連絡は本店
[営業時間]7時~14時、土9時~14時 ※売り切れ次第終了
[休日]日・祝
[交通]東急目黒線ほか武蔵小山駅東口から徒歩3分

第2位『マザーグース』 @江古田

人も地域も元気にする創業100年超の愛されパン

今年で創業108年。3代目になる萩原ひとみさんのお祖父さんが巣鴨で始めたのが大正5(1916)年。当時は大八車で売り歩いていたという。江古田に移り、現在の場所に店を構えたのは戦後すぐの1947年。以来ずっと商店街の入り口近く、江古田の町とともにある。

お父さんの代には区内の小中学校の給食のパン4万食を手がけ、今も近隣30カ所の保育園に週3回パンを届けている。卵・乳製品を使わない、安心して食べられるパンだ。

白あんメロンパン 180円

『マザーグース』白あんメロンパン 180円 インゲン豆が粒で入る白あんとビスケット生地のコンビが◎

店頭には毎日80 〜100種類、こだわりの焼きたてパンが並ぶ。冷凍生地は使わず、必ずその日に粉から作る

創業者考案のインゲン豆が粒で入る「白あんメロンパン」もいいし、絶妙なルックスのお好み焼きパン、懐かしの菓子パンのミニシリーズなども楽しい。

「江古田にはパン屋が10店舗以上、それぞれ個性があっていいと思います。うちは赤ちゃんからシニアまで食べやすいパンが多いかな」。町が賑わうイベントも積極的に主催。地域を元気にするパン屋だ。

『マザーグース』

[住所]東京都練馬区栄町29-2
[電話]03-3994-2121
[営業時間]8時〜20時
[休日]無休
[交通]西武池袋線江古田駅北口から徒歩2分

第3位『赤丸ベーカリー』 @雑司が谷

いつものおいしいのために、変化を厭わない

「奇をてらうことなく、基本通りに真面目に作る」(赤丸尋智さん)をモットーにパンが焼き上げられていく。

バニラ香料から手作りするカスタードを使ったクリームパンのように完成されたレシピのものもあれば、いろいろ吟味した末、小麦は香りも食感もよい北米産の最高級のものに。

味噌カツの味噌もパンとカツの味を引き立てるものにと、採算度外視で少しずつ味を進化させ続けているものも多い

クリームパン 170円

『赤丸ベーカリー』クリームパン 170円 香り豊かで上品な甘みのカスタードがたっぷり。表面が香ばしく中はふんわり、とろりという食感も◎

町のパン屋さんのお客は近隣の方が中心で、毎日のように買いに来る。尋智さんの言う基本通りとは「いつもの『おいしい』を裏切らないように作り続けること」だ。

前身である和菓子店『赤丸文化堂』時代から数えて約100年。今は4代目となる赤丸兄妹ふたりで営むため、開店は少し遅めの朝11時。しかし、それを待って食パン、サンドイッチ、クリームパン……目当てのパンをあれもこれもと買い求めるお客が後を絶たない。地元との共存共栄。町のパン屋さんの理想的な姿がここにある。

『赤丸ベーカリー』

[住所]東京都豊島区雑司が谷1-7-1
[電話]03-3971-6624
[営業時間]11時〜19時半 ※売り切れ次第終了
[休日]木
[交通]地下鉄副都心線雑司が谷駅2番出口から徒歩5分

第4位『パン工房 麦ふうせん』 @富士見台

アイデアいっぱい!多彩なパンに迷うのも楽し

以前は電気工事を手掛けていたというご主人の大野和彦さん。奥様がパン教室に通ったのをきっかけに、平成7(1995)年にパン屋に転じた。以来、もうすぐ30年になる。

店に入るときっとびっくりするのは、多彩なパンのラインナップ。種類が多いだけではない。アイデア豊富であれもこれも試してみたくなるココならではのものがたくさんある。

クリームフレンチ(さつまいもとりんご) 183円、きのこのホワイトシチュー 324円、フルーツタルト 259円、エビカツコッペ 345円

『パン工房 麦ふうせん』(左奥)クリームフレンチ(さつまいもとりんご) 183円、(右奥)きのこのホワイトシチュー 324円、(左手前)フルーツタルト 259円、(右手前)エビカツコッペ 345円 ラウンド生地に染み染みのフレンチトーストも、フルーツたっぷりのタルトもシアワセ

前日から卵液に染み込ませたフレンチトーストのバリエーション、創業時からの量り売りのミニパン、独自の配合でふっわふわ食感のラウンドのアレンジ……。個人的に見逃せないのは、手作り感あふれる惣菜パンの数々

「ご飯のおかずにいいものをいろいろ工夫してね」とご主人はにこやかに言う。エビの旨みにタルタルがいいエビカツコッペでしょ。ちょっと贅沢感あるパストラミビーフもいいし。

「地域密着で、価格もなるべく抑えて」とも。お客さんの笑顔を願って毎朝3時半から、7時の開店にはいつも素敵なパンが並んでいる。

『パン工房 麦ふうせん』

[住所]東京都練馬区富士見台2-4-15
[電話]03-3999-3467
[営業時間]7時〜18時
[休日]日・月
[交通]西武池袋線富士見台駅南口から徒歩5分

第5位『コトリパン』 @清澄白河

やさしい気持ちになること請け合いのふかふかパン

今年4月、開店から12年を迎えた『コトリパン』。朝8時のオープンと共に近隣住民や会社勤めの人たちが訪れ、お気に入りのパンを買っていく。週末は遠方からも客が来る人気店だ。家族みんなで行ってもそれぞれの好みに合ったものを選べるようにと、並ぶパンは約100種

1種類につき6~8個程度しか作らないし、焼いて並べたところからどんどん売れるから、タイミングによって出合えるパンが変わるのも楽しい。ただし、平日は13時頃、週末は11時頃には棚が寂しくなりがちなので注意が必要

カマンベールくるみパン 230円、焼きそばパン 180円、フィッシュ白パンサンド 200円、コトリパン 230円

『コトリパン』(左奥)カマンベールくるみパン 230円、(右奥)焼きそばパン 180円、(左手前)フィッシュ白パンサンド 200円、(右手前)コトリパン 230円 種類豊富な白パンサンドの中でフィッシュが一番人気。「カマンベールくるみパン」は、たっぷり入ったくるみの香ばしさとカマンベールの塩気のバランスが絶妙。もちもちパンと一体化した焼きそばには、大きめのベーコンが入る

店名が冠された「コトリパン」の生地は、ほぼ牛乳で仕込んでいてきめ細やか。鉄板を被せて焼くことで水分が飛びづらく、ふわっふわ。白パンや惣菜パンなどで使われる生地はさらに柔らかでクセになるもっちもちさだ。

と言いつつも、実はハード系パンも得意だったりする。要するに、何を食べてもおいしいから毎日でも行きたくなるんです。

『コトリパン』

[住所]東京都江東区福住2-7-21
[電話]03-6240-3626
[営業時間]8時~売り切れ次第終了
[休日]月
[交通]地下鉄半蔵門線ほか清澄白河駅A3出口から徒歩8分

神奈川だけど……ここもぜひ!『パンメゾン もあ小麦館』 @鷺沼

電車を乗り継いでも通いたくなる名パン揃い

人気の東急田園都市線、鷺沼駅の住人でこの店を知らないパン好きはほぼいないと思う。朝からお客がひっきりなし。次々と焼きたてが店内に運ばれ、気付けばあれもこれもトレイに山積み……な~んてことは“あるある”なのである。

もともと創業者の奥様の趣味がパン作りで、それならと開業した小さな店が原点。今では沿線界隈で3店舗、創業の地がここ鷺沼だ。

自家製カスタードクリームパン 216円、ジャンボメンチカツバーガー 464円、ジャーマンフランク 324円、自家製カレーパン 237円

『パンメゾン もあ小麦館』(左奥)自家製カスタードクリームパン 216円、(右奥)ジャンボメンチカツバーガー 464円、(左手前)ジャーマンフランク 324円、(右手前)自家製カレーパン 237円 カレーパンは第1回カレーパングランプリ東日本揚げカレーパン部門で金賞を受賞。マイルドな旨み。ジューシーな「メンチカツバーガー」は男性でも1個で満足の大きさ。プリッと弾ける「ジャーマンフランク」はライ麦入りの生地。ミルク感が程よいカスタードクリームも店で毎日炊いている

注目は「自家製カレーパン」。大鍋で3日掛けて仕込むそれは、先の奥様の家庭の味をベースにスパイスのプロと相談して完成させたレシピ。サクサクのパン粉も自家挽きというクオリティは垂涎ものだ。

唸ったのは「ジャンボメンチカツバーガー」。どどんと120gのメンチの肉感、酸味が効いたデミソース、ふかふかバンズの調和も最高~。

パンは酵母にこだわり、仕込みの工程から浄水を使い、調味料も体にやさしい三温糖や沖縄の天塩。すべてはよりおいしく健康的に適正価格で。ここは町パンの優等生のような店なのだ!

『パンメゾン もあ小麦館』

[住所]神奈川県川崎市宮前区有馬5-1-1
[電話]044-888-4044
[営業時間]8時~19時
[休日]無休(年始・臨時休業を除く)
[交通]東急田園都市線鷺沼駅中央改札から徒歩約10分

撮影/小澤晶子(ヨシナカブレッド、赤丸ベーカリー、コトリパン、もあ小麦館)、西崎進也(マザーグース、麦ふうせん)、取材/肥田木奈々(ヨシナカブレッド、もあ小麦館)、池田一郎(マザーグース、麦ふうせん)、編集部(赤丸ベーカリー)、市村幸妙(コトリパン)

2024年6月号

※2024年6月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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