国民食のカレーも多様化の時代です。人気継続中、独創性を発揮するスパイスカレーのアレコレを中心に、洋食店の欧風カレーや喫茶店の名物など街のカレーとの違いや楽しみ方を編集武内&戎、ライター肥田木が時に辛口、時に甘口で語ります。
画像ギャラリー国民食のカレーも多様化の時代です。人気継続中、独創性を発揮するスパイスカレーのアレコレを中心に、洋食店の欧風カレーや喫茶店の名物など街のカレーとの違いや楽しみ方を編集武内&戎、ライター肥田木が時に辛口、時に甘口で語ります。
スパイスカレーは二日酔いに効く?
武「今回はスパイスカレーの“ラーメン化”というか、自由化を感じた取材でした。円安の影響で少し元気がない飲食業界にカレーが新風を巻き起こしてくれたらいいな」
肥「ラーメン化って同感。食べ手にもマニアがいて、行列店も多い。酷暑で40分並んでリサーチした時は体が溶けるかと思ったよ。てか暑さで脂肪も溶ければいいのに~」
戎「僕も最近太ったからなのか、カレーを食べてるそばから汗が吹き出す吹き出す(笑)。体の中から温まるんですよね。汗をかいて毒素を抜いてスッキリ、デトックスというか。二日酔いにも効きそう!」
肥「そういや今月は浴びるように飲んでも二日酔いを忘れるほどだったわ。結論。二日酔いにはスパイスカレー。座談会、完。おつカレー♪」
武「コラコラ、早く飲みに行きたいからでしょ!ところで僕、正直いうと今までスパイスカレーに対して少々敬遠気味だったんですよね」
戎「へえ、というと?」
武「カレーはやっぱり熱々を食べたいんです。でもスパイスカレーって全体的に“ぬるい”気がしていて……が!今回は『魔皿カレー』など熱々系も多く、たちまち大好き派に変節。じっくり食べてみたらスパイス(香り等)の重なり合いとか、多彩な副菜が絡み合う感じとか、カレーという舞台で実に楽しそうに各味わいが演技している感じが何て旨いんだ!と遅ればせながら開眼しました」
『魔皿カレー』玉 ドライキーマカレー(赤) 1200円
肥「確かにスパイスカレーって演劇や音楽の構成にも通じる芸術的な要素があるよね~。カッコよくいえば作り手はアーティストのようなもの。使う食材もスパイスの構成も表現は自由。だからこそ作品はどれも見た目や味が独創的な訳で、私の好きは誰かの好きではないかもしれない」
「スパイスカレー」の定義は特にない?
戎「何か哲学的になってきた(笑)。店主のみなさんに聞いてもスパイスカレーの定義って特にないといいますしね」
肥「つまりインド等のカレーを日本人が自由に再構築した創作カレーなんだと。基本的に欧風カレーは深みやコクを重視してスパイスが突出しないバランスの味。対してスパイスカレーはスパイスが主役で、ダシを効かせたり、食材の甘みや旨みを生かしたサラッと重くない味。別料理として使い分けてもいいかも」
武「うちの味はこれ、という信念で突き詰める点では、スパイスカレーも洋食や中華のカレーもカツカレーも同じ。また食べたいと思わせる旨さはいい店に共通しますね」
『カレーの店 タカサゴ』ビーフカレー 1000円
戎「喫茶店のカレーも今回は個性派を揃えましたよ。喫茶店って雰囲気がいい店も多いから、サッと食べてすぐ帰るんじゃなくデザートやコーヒーまでしっかり楽しむのが賢い付き合い方だと思う」
武「国民食だけに提供する店のジャンルもいろいろ。味も濃い、淡い、辛い、マイルド、肉、海鮮などそれぞれ魅力があるので、ますます気分で選べる時代になりました。でも毎日食べ続けていると汗がクミンのようなカレーっぽい感じに。注意です(笑)」
肥「それカレー臭ならぬ加齢臭じゃ……とまとまったところで私は『ドンカリ』に飲み行って〆カレーで二日酔い対策してきまーす♪」
『spice curry&BARドンカリ』スパイスチキンカレー 1000円(昼のみ)
武「カレー効果で性格もデトックスしてきてくださいっ」
撮影/浅沼ノア(ドンカリ)、西崎進也(魔皿カレー)、鵜澤昭彦(タカサゴ)、文/肥田木奈々
※2024年9月号発売時点の情報です。
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