江戸家猫ハッピーの漫画・満吉くん

「世界名作劇場」で一躍人気者のアライグマ、今やペットから野生化して“害獣”になった経緯とは

漫画・満吉くん

満吉(まんきち)くんは、各時代で話題となった存在と、時空を超えて交流できるという特殊な能力を持つ猫。この愛くるしいキャラクターの生みの親、マルチクリエイターの江戸家猫ハッピーさんが、満吉くんを主人公にした漫画で心が和らぐ…

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満吉(まんきち)くんは、各時代で話題となった存在と、時空を超えて交流できるという特殊な能力を持つ猫。この愛くるしいキャラクターの生みの親、マルチクリエイターの江戸家猫ハッピーさんが、満吉くんを主人公にした漫画で心が和らぐ物語を紡ぎます。今回は「アライグマ」編です。

【アライグマの巻】

※漫画は、画像ギャラリーでもご覧になれます

アライグマ編(1)
アライグマ編(2)
アライグマ編(3)
アライグマ編(4)
アライグマ編(5完)

アニメ『あらいぐまラスカル』で大人気に

主に1970年代から90年代半ばにかけ、日曜の夜7時半になると、子供たちが楽しみにしているアニメ番組がありました。いわゆる「世界名作劇場」(年によって呼称は異なる。2000年代にはBS放送などで復活)です。『フランダースの犬』(1975年)や『母をたずねて三千里』(1976年)、『赤毛のアン』(1979年)など、今も根強い人気を誇るまさに“名作”が制作され、一年を通じてテレビで流れました(最終年の1996~97年3月は7カ月ずつ2作品)。『フランダースの犬』の前年には、同じ時間帯で『アルプスの少女ハイジ』が放送されています。

今回、満吉くんが出会った動物は、アライグマ。原産地はカナダ南部、アメリカ、中央アメリカとその周辺地域です。日本でアライグマが人気となるきっかけは、このアニメ番組のシリーズのひとつで、『母をたずねて三千里』の翌年に放送された『あらいぐまラスカル』でした。

環境省の資料では、「1977(昭和52)年にアライグマを主人公とするテレビアニメが全国ネットで放映されて以降、アライグマはかわいい動物だというイメージが広がり、ペットとして大量に輸入されました」(『アライグマ防除の手引き』(平成23年3月作成、26年3月改訂)より)と説明されています。

全国で野生化し、2005年には特定外来生物に指定

『あらいぐまラスカル』は、このアニメシリーズの中でも人気の作品です。放送45周年を記念した「あらいぐまラスカル45thショップ」がまさに今、2022年6月24日~7月7日に、東京駅一番街B1 東京キャラクターストリート「いちばんプラザ」で、限定開催されているほどです。

ただ、アニメのキャラクターを離れて、アライグマ自体を取り巻く環境に目を向けると、事情は異なってきます。満吉くんの今回の作品では、このアライグマの現状が描かれています。

前述の環境省の資料は、こう続きます。「しかし、成長すると粗暴になる個体が多く、飼育に困難を伴うようになって遺棄されたり、前肢が器用で飼育施設から逃亡したりして、全国各地で定着が進みました」

つまり、野生化することで、農作物などに深刻な被害が出るようになっていきました。環境省の資料によると、生態系への影響や、住居の汚損、文化財破損などの被害も報告されているとのことです。2005年には外来生物法の特定外来生物に指定され、輸入や飼育などが禁じられました。農林水産省の「全国の野生鳥獣による農作物被害状況」(令和2年度)によると、被害金額は約4億1000万円に及んでいます。

漫画の中でも、アライグマは満吉くんの育てたスイカを食べてしまいます。満吉くんが取った行動は―――。漫画でぜひご確認ください。

1977年の主な出来事は、海外では映画『スター・ウォーズ』が公開(日本での上映は翌年)され、空前の大ヒットを記録、日本では巨人の王貞治選手がホームラン通算756号を放ち、世界新記録を達成して国民栄誉賞の受賞第1号となりました。

江戸家猫ハッピー(Edoya Nekohappy)

マルチクリエイター。動物ものまね芸人「三代目 江戸家猫八」の末娘。
1993年から15年間、俳優・緒形拳に師事。共著「地球徒歩トボ」(学研)では写真を担当した。オリジナルキャラクターである猫の「満吉くん」を通して、地球を楽しむための写真・漫画・グッズなどを発信している。2023年7月、伊豆高原で「猫満福庵」という猫のいるギャラリーをオープン。

・「猫満福庵」https://nekomanpukuan.com/

・「江戸家猫ハッピー」https://nekohappy.com/

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