東京駅は観光客だけのものではない。周辺で働くビジネスマンにとって、特に八重洲方面に伸びる地下街・ヤエチカは会社帰りの憩いの場。活気あふれる店内で、飾らず一杯。そんな東京駅はいかが? 八重洲地下1番通り『もつ焼き 煮込み …
画像ギャラリー東京駅は観光客だけのものではない。周辺で働くビジネスマンにとって、特に八重洲方面に伸びる地下街・ヤエチカは会社帰りの憩いの場。活気あふれる店内で、飾らず一杯。そんな東京駅はいかが?
八重洲地下1番通り『もつ焼き 煮込み 三六』
シブい縄暖簾の先に広がるモツ天国。この店に来たら何はともあれ2大看板の「もつ焼き」と「どて煮込み」は絶対いっとこう。厳選した国産豚モツの串は定番「しろ」から希少部位の「のどぶえ」まで約15種類。
素材の鮮度にこだわり、徹底して下処理から串打ちまで管理しているから臭みなんて一切ナシだ。ごま油とニンニクねぎ油を使い分けながら備長炭で香り高く焼き、塩、醤油ダレ、甘ダレと部位ごとに合う味付けで楽しませてくれる。うまぁっ。
一方、八丁味噌をベースにした甘辛味の煮込みは継ぎ足しで守るコク深い風味にゴロゴロ入ったテッポウなどのモツがぷるんと柔らかく、当然の如く酒が進む。ぷはぁっ。
ガーリックトーストを追加して共に味わえばちょっと洋風にテイストも変わってますます酒が進む進む。もう1杯お替わりっ。冬はモツ鍋もいいよ~。
外堀地下3番通り『やえす初藤』
ヤエチカで居酒屋選びに迷ったら、まずココを目指しときゃ間違いない。何せ創業は昭和20年代。この地に地下街が開業した1965年の4年後にテナントとして入店した老舗だ。
長く続く人気には訳がある。朝は7時開店から行列ができる定食あり、昼はお得なランチあり、午後は和洋中の楽しい酒肴あり。しかも1日中いつでも美酒が飲める!あの~いっそ住んでいいですか。
豊洲直送の鮮魚の刺身は肉厚だし、芝浦から届くモツの煮込みは車麩入りで味にひと捻り、皿にそびえ立つゴボウチップスも名物だ。このゴボウ、サクポリとシンプルな旨さなのだが、スライスしてアク抜きしたり、揚げてから油抜きしたりと美味の裏には丁寧な仕事あり。
目指すは「大箱の小料理屋」。誰でも気軽に入れて居心地良く、旬の味に加えて明るいおもてなしあり。そう、ヤエチカに『初藤』あり!
外堀地下2番通り『串の味 東八』
実はこちらも創業60年になる古株。古い日本家屋の内装を移築した貴重な店内は……いやあ、ここだけ昭和。趣ある民芸調でホッと寛げる懐かしい雰囲気だ。そんな風情に心身も癒されつつ、いそいそと注文した焼鳥に今度は胃袋を掴まれた。
岩手や宮崎など国産銘柄鶏を職人が毎朝丁寧に串打ち。この道50年の川村店長曰く「日々同じ仕込みや仕事を続けていますが、商いは飽きちゃいけない。手を抜かないことが大事」。おお、名言出ました!
絶妙な焼き加減は長年の経験と勘がモノをいう。手羽先は皮目パリッと、噛めばジューシーな旨みがあふれ、レバーは舌の上で滑らかにとろけるよう、野菜串も色鮮やかな仕上がり。うん、さすがです。
外堀地下2番通り『サイアムオーキッド』
半年ほど前に料理をブラッシュUP!定番のパッタイから人気の生春巻きまで、見た目も味も楽しめるように盛り付けやボリューム感をぐぐっと充実させた。
新たに登場したヤエチカ店だけのメニューなら「海老のマンゴーソース」がおすすめ。カリッと揚げたエビと甘酸っぱいソースが織り成す相思相愛の味わいは、マンゴーピューレに加えたスイートチリとレモン汁がいい仕事。トロピカルな旨さに気分は南国だ。
それもそのはず、厨房で腕を振るうのは有名ホテル出身の経験豊富なタイ人シェフで、辛・酸・甘と本場ならではの味覚を引き立てるスパイス&ハーブ使いは完璧も完璧。調味料もほぼ現地仕様のもの。ヤミツキになる。アローイ!
サクッとカレー、ラーメンも
八重洲南口地下改札のすぐそばにあるのが『TOKYO CURRYQUARTET』だ。
なかでも「右手にカレースプーン、左手にししとう」という『Columbia8』の「キーマカレー」は食べ方だけでなく、30種以上のスパイスが放つ香りで人気となっている。17時からは酒のつまみ付きコースもあり使い勝手がすばらしい。
そのカレーのあるエリアとは反対側、ヤエチカ北1号にあるのが『東京ラーメン横丁』。がっつり系、味噌ラーメン、つけ麺など7店舗がひしめく。そのおいしさに加えて、すするたびに体が温まると評判なのが『長岡食堂』のラーメン。
豚と鶏のガラに背脂を加えたクリアなスープながら、食べればそれらの旨みにたっぷり加えた生姜がガツン。特製の中細麺との相性も抜群なうえ、じっくり煮込まれたチャーシューがとろりとほぐれていいアクセントになっている。どの店舗にするか迷ったら、まずはこちらを筆頭に検討してみて。
…つづく「東京駅ですべて揃う…!プロが選ぶ、新幹線で「居酒屋気分」を楽しむ《ビール・ワイン・日本酒・スピリッツ》と《旨いおつまみ》ベストマッチ4選を大公開」では、新幹線でプシュっとの「至福の時間」を最高に楽しむベストマッチを紹介しています。
『おとなの週末』2024年1月号より(※本内容は発売時点の情報です)
撮影/西崎進也(三六、東八、サイアムオーキッド)、小澤晶子(やえす初藤)、取材/肥田木奈々