普段はリーズナブルな蕎麦をすすっていても、年の瀬、年始は天ぷら、鴨、牡蠣……なんてちょっと贅沢な一杯を楽しみたい。そこで過去に掲載した、編集部員が太鼓判を押す名店、居酒屋使いも可能な新店、豪華な立ち食い蕎麦店を厳選して紹介します。おいしくすする門には笑顔と幸福がやってきます!
力強い鴨の旨みを存分に味わえる理想の一杯『ほしのま』@入谷
駅から少し歩いた住宅街で控えめな『ほしのま』の看板を見つけた時は静かに興奮した。立ち退きで旧店からほど近い場所に移転した店は築80年になる古民家で、かつては料亭だったそうだ。柱や天井も趣ある本物の空間に身を委ねれば、今から美味と向き合う高揚感がグッと高まる。
それも当然、「並木藪蕎麦」で長らく経験を積んだ店主の腕は確か。天ざるなど名作が揃うが、とりわけ冬に食べたくなるのが「鴨南ばん」だろう。
鴨南ばん 2700円(鴨肉の量は調整可)
埼玉・幸手産の鴨を使い、火入れやカットまで工夫した肉は噛むほどに滋味深く、鴨ダシがたっぷり入るツユは甘い脂も溶け込んだ魔性の味。のど越しを重視して低加水の細打ちにした蕎麦と味わえば感嘆のため息が漏れる。はぁ。
ところで旧店と違うのは土・日・祝の通し営業。昼下がりから粋なつまみで一献、〆蕎麦とやれば悦楽の境地……いやはや罪な店だ。
これぞ鴨南蛮ばんという王道を目指しています。
[住所]東京都台東区根岸4-1-18
[電話]070-9128-2646
[営業時間]12時~14時半(14時LO)、18時~20時半(20時LO)、土・日・祝:12時~20時半(20時LO)
[休日]水・木
[交通]地下鉄日比谷線入谷駅4番出口から徒歩8分