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各地から桜開花の便りが聞かれた2019年3月23日、ついに三陸鉄道リアス線が開業しました。 震災から8年、待ちに待っていた日です。 数日前から現地入り。どこも、賑やかそうで迷ったのですが、結局大槌駅で出迎えることにしました……。

祝! 三陸鉄道リアス線開業記念列車撮影で、タラ三昧/2006~2019年

各地から桜開花の便りが聞かれた2019年3月23日、ついに三陸鉄道リアス線が開業しました。 震災から8年、待ちに待っていた日です。 私は開業の3日前から現地に入り、各地の撮影と記念列車運転日のロケハンを続けました。

[大槌駅で記念列車を迎える地元の方々(2019年撮影)]

さて、三陸鉄道リアス線を少し説明しましょう。 もともと、岩手県の太平洋岸を走る鉄道は、大船渡線の盛駅から八戸線に接続する久慈駅までが、 盛駅~(三陸鉄道南リアス線)~釜石駅~(JR山田線)~宮古駅~(三陸鉄道北リアス線)~久慈駅と、 3つの路線でした。 南リアス線と北リアス線は、すでに復旧して運転を開始しています。 今回は、もともとのJR山田線部分が復旧開業して、JRから三陸鉄道に移管されました。 3つの路線がひとつになって三陸鉄道リアス線という1本の路線になりました。 総延長163Km。 日本でいちばん長い、第3セクター鉄道の開業です。

[今回走り始めた釜石駅~宮古駅間はもともとJR山田線だった(2006年撮影)]

数日前から現地入りして、開業一番列車の撮影場所を考えます。 どこも、賑やかそうで迷ったのですが、結局大槌駅で出迎えることにしました。

[被災前の大槌駅、昔懐かしいスタイルに波や魚が描かれていた(2006年撮影)]

[大槌駅ホーム側の改札には「ようこそ ひょっこりひょうたん島へ」の文字が(2006年撮影)]

この大槌駅は、NHKのテレビ人形劇『ひょっこりひょうたん島』のモデルといわれる蓬莱島がすぐ近くにあります。 以前の駅にも大きく書かれていました。 まぁ、『ひょっこりひょうたん島』、私が物心をついたころには、すでに放映していました。 なんとも懐かしい番組です。

[『ひょっこりひょうたん島』のモデルといわれる蓬莱島(2019年撮影)]

新しくできた駅は、屋根がこの島のイメージです。 白くてかわいらしい駅舎になりました。

[新しい大槌駅舎はひょうたん島形の屋根(2019年撮影)]

記念列車が走る日の大槌駅は朝からお祭りです。 特設舞台では、地元の方々の演奏や獅子舞、餅投げなどなどが続きます。 大槌市長も参加して、駅前の「ドン・ガバチョ」の像の除幕式もありました。

[駅前「ドン・ガバチョ」像の除幕式(2019年撮影)]

[駅ナカにも、トラヒゲやサンデー先生など、登場人物のキャラクター像が!(2019年撮影)]

そして昼。 待望の一番列車がやってきます。 線路わきや駅には皆が集まり、旗を振って歓迎です。 列車が見えると、ホーム横のブラスバンドが演奏を開始。 曲はもちろん『ひょっこりひょうたん島』。 沿線は迎えた人たちの大合唱に。 一番列車の撮影は、感動の撮影になりました。

[ブラスバンドの演奏で一番列車を迎える(2019年撮影)]

この日、東京では花見も始まっているのに、三陸鉄道沿線はまさに “冬“です。 午後には、一時吹雪になりました。

[午後の宮古駅は一時吹雪で寒い(2019年撮影)]

一番列車撮影後の車内料理は、刺身・焼き・汁と、まさにタラ三昧!

寒いなか、宮古駅前では“タラ汁”がふるまわれていました。 湯気の立つ鍋、味噌と魚の良い香り。 たまらなかったのですが、取材をお願いしていた方々の撮影で走り回っていたので立ち寄れません。 撮影が落ち着いたころには、ふるまいは終わっていました……。 もう、口の中は“タラ”です。 ここから、私の「タラ三昧」が始まりました。

[三陸の鮮魚店にはタラがいっぱい(2019年撮影)]

まずはタラの刺身。 これは三陸の鮮魚店でびっくりしたのですが、どの店にも普通にタラの刺身を売っています。 東京では食べたことがありません。 というより、三陸の鮮魚店でタラを見ても「加熱用」「刺身用」など、分けて書いてあるのも見たことがないです。 食べてみるとねっとりとした食感で、最初は実に淡白です。 そのあとじっくりと噛んでいると徐々に甘みが増してきます。 ゆっくり味わって食べたい刺身です。

[三陸では普通に売っているタラの刺身(2019年撮影)]

続いてタラの味噌漬けです。 味噌に漬け込んであるものを購入しました。 いつものように、フライパンに魚焼き用のアルミホイルを敷いて調理です。

[味噌漬けのタラを購入(2019年撮影)]

[アルミホイルで調理(2019年撮影)]

焼き始めると身から水分が出てきて、蒸し焼きのようになります。 できあがると、身がふわっとして実においしい焼き物でした。

そして、因縁のタラ汁です。 市場でタラのアラを買うときに、お店のお姉さんに作り方を聞きました。 具は根菜類(大根、ニンジン、ゴボウ)、それにネギとこんにゃくです。 「はくさいは?」と聞くと、 「はくさい入れたらタラ汁じゃなくて鍋になるでしょ……」   はい、たしかにその通りです。 最初に、買ってきたアラを軽く湯通しして臭みをとります。

[買ってきたタラアラ、見るからにぷりぷり(2019年撮影)]

[軽く湯通し(2019年撮影)]

[根菜類と煮込んで、味噌を投入(2019年撮影)]

[あっという間にタラ汁完成!(2019年撮影)]

煮ている間に身はほぐれて、たっぷり出汁も出ます。 食べたかったタラ汁をたっぷりといただいて、 温かくお祝いの日の夜が更けました。 次回は、翌日24日の営業開始日の様子と、沿線“甘いもの”です。

佐々倉実(ささくら みのる)  鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。  鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。  ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

この記事のライター

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