恋のように胸ときめく神事
宵闇が迫るころ、拝殿へ向かいます。神さまをお祀りする本殿を前にし、一陣の風が吹きぬけました。拝殿に「ドンドン」と太鼓の音が響き、いよいよ神事が始まります。神事に携わるのは、神主4人と巫女1人。縁結びの祝詞が奏上(そうじょう)され、祝詞が終わるとすべての照明が消され、周囲は静寂に包まれます。
その時、神職さまが手にした金幣(きんぺい、細長い木や竹に金色の紙垂=しで=を取り付けた神具)が肩に触れ、ありがたい気持ちで胸が一杯になる…そんな不思議な感覚を味わいました。雅楽の調べと、巫女舞に彩られた、雅な時間が流れる幻想的で美しい神事は、一度体験すれば一生忘れられない思い出となるでしょう。
祈願祭のために特別に醸造された高畠産のロゼワイン
私が「月結び」に訪れたのは、2017(平成29)年の秋でした。数十分にわたる神事の後には、特別に醸造されたロゼワイン「月結び」を境内で楽しむことができます。ロゼワインを飲むことは、10年ほど前から始まったそうです。
このロゼワインは、南陽市に隣接する高畠町の「高畠ワイナリー」で特別につくられたもの。1990(平成2)年に創設された国内外で高い評価を得る人気のワイナリーです。
ロゼワインに月を浮かべて飲むと恋が成就するというジンクスがあるそうです。お月さまを見上げる人、写真を撮る女性たち、乾杯をする恋人と、十人十色。この日の拝殿には、約150人もの参拝者が集まりましたが、皆さんそれぞれに特別な夜を楽しんでいました。
神社の境内から輝くお月さまを眺め、縁結びを願う。ロゼ色に輝くロマンティックな夜があなたを待っています。
【2025(令和7)年の「月結び」の日時】
10 月05日(日)
11 月08日(土)
12 月06日(土)
受付開始18時半~、斎行時間19時~
【月結びのお申込み】
初穂料(料金)は2000円。月結び限定のたまゆら守りと、神さまへの願い事をしたためる願ひ文付き。受付は午後6時半から拝殿で。遠方からの参拝者は事前予約をすると、送迎もしていただけるので安心です。
■熊野大社
山形県南陽市宮内3476-1
電話:0238-47-7777
https://kumano-taisha.or.jp
文/三浦奈々依
みうら・ななえ。フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。ラジオ番組で長年にわたり、アーティストインタビューを担当。2011年3月の東日本大震災後、約7年にわたり心の復興をテーマに神社仏閣を取材し、隔月刊誌『Kappo 仙台闊歩』で「神様散歩」を連載。全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。著書に、被災した神社仏閣再建の一助となる四季の言の葉集『福を呼ぶ 四季みくじ』(プレスアート)。
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