旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■透けています
正解:ノレソレ
難易度:★★★★★
ツルツルとした食感がたまらない!
ノレソレという名前を耳にすると、何やら不思議な響きに感じられるかもしれません。正式には「レプトケファルス」と呼ばれる幼生期の姿で、成長するとアナゴになります。
大きさは5~8cmほどで、体は柳の葉のように細長く平たく、全体が透明で、光に透かすと骨が葉脈のように見えるのが特徴です。
透明でぷるんとした舌触りが特徴で、噛むと独特の歯ごたえがあります。味わいは淡泊でクセがなく、ほんのりとした甘みと潮の香りが感じられます。
旬は冬の1~2月で、この寒さの厳しい時期にもっとも鮮度がよく、透明感が増して見た目も美しくなります。春先まで市場に並ぶこともありますが、漁師や料理人の間では冬こそが本当の食べ頃とされています。
その神秘的な透明な身体は、まるで海中に溶け込む妖精のようであるということで、いつしか「南海の妖精」「水の妖精」と称されるようになりました。
漁獲されたその日のうちに食べるのが理想とされ、時間が経つと透明感が失われて白濁し、食味も落ちてしまいます。この旬の短い時期にしか味わえない贅沢さがノレソレの価値を高めているのです。
高知県土佐地方で古くから珍味として食べられてきたのが始まりとされます。土佐では「ノレソレ」という呼び名が定着し、春の味覚として親しまれてきました。
土佐弁で「ノレソレ」とは、物事がすべすべと滑らかに運ぶ様や、手のひらからこぼれ落ちるような軽やかさを表します。その響きが、ヌルリと細長いアナゴの稚魚にぴったり重なり、この名が定着したといわれています。
地域によって呼び名が異なり、淡路島では「ハナタレ」、岡山では「ベラタ」と呼ばれるなど、方言や習慣が反映されています。
つるりとした食感を楽しむためには生食が一番です。刺身にしてポン酢や土佐酢を合わせると、爽やかな酸味が加わり、ほのかな甘みと潮の香りが引き立ちます。
寿司の軍艦巻きにすると、海苔の香りと相まって軽やかな味わいになります。



