旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■カレーでもお馴染み
正解:フェンネル
難易度:★★★★★
塊茎も葉も使えます
フェンネルはセリ科の多年草で、独特の甘い香りと爽やかな風味をもつ植物です。日本では「ウイキョウ」とも呼ばれ、古代から薬草や食材として活用されてきました。
原産は地中海沿岸とされ、古代エジプトやローマ時代にはすでに栽培されていた記録があります。
ローマ人はフェンネルを強壮作用のある植物と考え、兵士が食べることで力を得られると信じていたといわれています。またギリシャ神話では、プロメテウスが人間に火を与える際にフェンネルの茎を使ったという逸話も残されています。
中世ヨーロッパでは魔除けとして家の入口に吊るされることもあり、食材としてだけでなく信仰や民間伝承に結びついていたことがわかります。
旬の時期は冬から春にかけてで、とくに12月から2月頃が美味しいとされています。これは寒さにさらされることで甘みが増し、生食にも適した状態になるためです。
ヨーロッパでは冬の食卓に欠かせない野菜のひとつで、オレンジと合わせたサラダは定番の組み合わせです。
白くふくらんだ塊茎はシャキシャキとした食感で、サラダやピクルスにすると爽やかな甘みが引き立ちます。加熱するとさらに甘みが増します。
葉は魚料理に添えると香りが広がり、臭み消しにも役立ちます。とくに白身魚との相性がよく、ヨーロッパの食卓では、鯛やサーモンなどの魚料理に合わせるのが定番で、フェンネルの香りが旨みを際立たせます。
イタリアでは「フィノッキオ」と呼ばれ、肉料理や魚料理の付け合わせとして広く使われています。そしてシチリアには、イワシと野生フェンネルを組み合わせ、松の実やレーズンを加えて仕上げる「パスタ・コン・レ・サルデ」という郷土料理があります。
種子は「フェンネルシード」と呼ばれ、スパイスとしてパンやカレー、ハーブティーに使われます。インドでは食後にフェンネルシードを噛む習慣があり、消化を助けると信じられています。




