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異空間に身を委ね自分と向き合う喫茶旅

菜「異空間旅というテーマの喫茶を担当した私も、ちょっと蕎麦屋とか老舗酒場で過ごす感覚と似てると感じた。味だけじゃなくて”場”の風情も味わうっていうのかな、その場に身を委ねることで日常を手放せる。ぐい呑みがコーヒーカップに、肴がケーキに変わっても、自分だけの時間を過ごすってことには変わりないのかも」

池「ほう、印象的だった店は?」

菜「まず『物豆奇』。異世界アニメに出てくるドワーフの家の世界観。時計がたくさんあるんだけど、動いてるのは4つだけ。毎日ネジを巻き、針を正確な時間に合わせて……ご主人が古い物を大切にする姿に心を打たれた」

戎「僕は大きな窓から光が差し込む『縁側カフェ』。庭を眺めてほっこり、本を読んでのんびりしたいなと心底思いました」

『縁側カフェ』いちごのタルト860円、本日のコーヒー640円(セットで-100円)

『縁側カフェ』(手前)いちごのタルト 860円 (奥)本日のコーヒー 640円(セットで-100円) 本日のコーヒーはその時々で浅煎りと深煎りの2種類を用意。サクッと軽やかなタルト生地にマスカルポーネのクリームとフレッシュなイチゴがたっぷりのる。※イチゴの種類により価格が若干異なる

菜「日常から離れる空間を作りたいという店主の想いを形にしたのは『アール座読書館』。自分の時間に没入できる感じ」

戎「会話禁止の店ですよね。日々せわしなく動いてるけど、こういう場に身を置くと心が洗われるような気がするんです。店を出て街なかに戻った時の雑踏たるや。あの静けさはなんだったのか」

武「そういえば名店の『十一房珈琲店』も声のトーンを落としてのご利用を……と入店時にお声がけがある店でした。肥田木さんが目で語ろうとアイコンタクトしてきても無視(笑)。静かな空間だと五感が研ぎ澄まされるんでしょうか、コーヒーの味がよりわかる気がした。ほら、僕って周りに気配りできるし繊細だから」

肥「気配りができる人は『目で語る?瞳が濁っててわかんなーい』とは言わんです。繊細な人は『バンカム・ツル』のスペシャルコーヒーを『バケツで飲みてー』とは言わんです。ねえ姉御ぉ」

和「武ちゃんの負け(笑)。で、静けさと逆の音楽喫茶の方は?」

池「うん、音楽(特にクラシック)とコーヒーの香りって相性がいいと思った。伸びやかな響きで耳に飛び込んでくる音に包まれる気持ちよさを、コーヒーの香りが増幅するというか。こんな店は最近の浅煎りでなく、昔ながらのコクのある深煎りが合うなあと」

戎「音楽と空間に身を委ねる、得も言われぬ没入感……くぅ」

池「『あたらくしあ』は1900年代初頭の蓄音機が今も現役。それで1920年代のSP盤を聴くとまるで目の前にその時代の”絵”が立ち上がるよう。音楽は時を旅するツールだなと実感」

『かふぇ あたらくしあ』シングルオリジン・カフェ・シェケラート1000円

『かふぇ あたらくしあ』シングルオリジン・カフェ・シェケラート 1000円 シングルオリジンのコーヒーをシェイク。カクテルのよう!

戎「ライブ会場で音楽を聴くことはあっても、日常はイヤホン等で聴く日々。それはそれで満足してますけど、大きなスピーカーや年代物の蓄音機から流れる繊細な音には圧倒されました」

池「旅という点では音楽喫茶は時を重ねている店が多い。例えば『でんえん』の店主は98歳のお母さん。店は彼女の歴史でもあって、音楽を聴きながらそこにいると自分も歴史の積み重ねの一部になって、不思議な時間旅行をしているような気持ちになる」

菜「98歳!ぜひお会いしたい」

池「でしょでしょ。ふとした瞬間に幼少時の風景や学生時代のことが脳裏に蘇ることもあったりして、喫茶店にいながら自分自身も心の旅をする。これが何か浄化作用のある旅なんだよね~」

『名曲喫茶 ネルケン』ブレンドコーヒー580円、ジャムトースト380円

『名曲喫茶 ネルケン』(左)ブレンドコーヒー 580円 (右)ジャムトースト 380円 テッパンの組み合わせ、コーヒーとトースト

肥「いいこと言うなあ。喫茶店って子供の頃に親に連れられて行ったり、デートの場所だったり誰しも思い出がある。そしてこれからの人生の旅にも欠かせない存在」

戎「今回の特集で気になる店があれば旅するように楽しんでほしいですね!あ、ここまでとは毛色が違うけど愛知・一宮モーニングの旅もぜひご一読を」

武「ということで最後に旅の土産話。コーヒー好きの高倉健さんが愛したのが『トゥジュール デビュテ』。僕も彼の定席で一服しました。ちょっとうれし♪」

『カフェ トゥジュール デビュテ』ネルドリップコーヒー

『カフェ トゥジュール デビュテ』ネルドリップを見るのも楽しい

肥「随分長く座ってたけど健さんみたいになれると思ったん?」

武「いやいや、そんなことは。自分、不器用ですから……」

全員「おーい、妄想の旅から戻ってこ~い」

撮影/鵜澤昭彦(バンカム・ツル)、浅沼ノア(羅針盤、トゥジュールデビュテ)、大西陽(ネルケン、あたらくしあ)、小澤晶子(縁側カフェ)、文/肥田木奈々

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

※画像ギャラリーでは、スタッフが巡り合った絶品喫茶メニューの画像をご覧いただけます

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