ご家庭の台所や、飲食店の厨房には「火迺要慎(ひのようじん)」のお札が。神頼みもあるが、「自分で気を付けるための意味合いが大きいですね」と語るのは京都市内の飲食店経営者。
清滝川に架かる橋を渡ると、右手に登山口となる「二の鳥居」が現れる。少し進むと水汲み場があるので、カラのボトルを持っているならここで冷たい水を汲んで。
一の鳥居から山頂までを50分割した丁石(ちょうせき)のほか、地元消防団による100mごとのメッセージ入りの看板もあり、位置を把握しやすい。
愛宕山はほとんどの道が階段状で、五合目までは急こう配も多く道の途中で小休止の人も。
18丁目の「壺割坂」。江戸時代は気候の涼しい愛宕山の山上に宇治の茶葉を貯蔵していた。献上のため山から下すたびに、急こう配で転んで茶壷が割れたことからつけられた名だ。
山頂までの休憩所は25丁目、五合目、水尾わかれの三か所で、それぞれ小屋がある。お弁当などは、自販機とトレイのある山頂の広場で。
五合目の休憩所で一休みしたら、あとは一気に登頂したいところ。この辺までくると、ところどころ視界も開けて、晴れていれば京都市街も見渡せる。
水尾から入山するルートとの合流地点「水尾わかれ休憩所」。ここで水尾側に行くと下ってしまうので注意が必要。
黒門。神仏習合の時代に『愛宕神社』の前身『白雲寺』の惣門として建てられ、かつてはこの先に6つの宿坊があった。神仏分離令によって『白雲寺』は廃絶。『愛宕神社』となって現在にいたる。
山頂にあたる神社の境内に入るとひんやりした空気が漂う。山の上であることを忘れそうな広場に、社務所や自販機、公衆トイレなどがある。
神社本殿に向かう最後の難関は鉄燈籠がある急階段。この先にある鳥居も鉄製。
神門をくぐり本殿にお参り。千日詣りで知られるが、「火迺要慎」のお札は通年で授与されている。下山のこともあるため授与所は15時くらいまでとのこと。
世界遺産『仁和寺』の正面に建つのは重要文化財に指定されている「二王門」。高さ18メートルという大きさもさることながら、阿吽の二王様の迫力がすごい。
1644(寛永21)年に建立された五重塔を右手に先に進むと、正面に仁和寺の本尊である阿弥陀三尊を安置する国宝の金堂が。金堂前の参道を左手に進むと西門があり、抜けると正面突き当たりに1番札所がある。
お堂はすべて四国の札所と同じ名前がつけられており、結願成就すれば四国八十八ヶ所霊場と同じご利益を得ることができるとされている。
横に「是より阿波の國」と書かれた碑が立つ1番札所は有人のお堂。阿波・土佐・伊予・讃岐と四国になぞらえた巡礼路の始まりだ。
「やすらぎの道」と名付けられた参拝路は足元の怪しい場所はあるものの、10番札所くらいまではそこまで急こう配ではないので、軽いハイキングといった趣。ただし、途中から急こう配の坂や石段も数カ所あるので御注意を。
23番「薬王寺」を過ぎたあたりで視界が開け、双ヶ丘(ならびがおか)を望む眺望が。手前には『仁和寺』の二王門も見える。
鬱蒼とした杉木立を進む道は石段もあるが、基本的には土の道。雨上がりはぬかるむので注意が必要だ。
33番、50番付近のビューポイントは京都市内に向いた眺望で、はるか向こうに京都タワーが。ところどころで視界が開けるので、晴れていれば京都盆地の絶景が楽しめる。
結願所となる88番札所は薬師如来を祀る「大窪寺」。「OMURO88」プロジェクトの勧進イベントはこちらで行われることが多く、毎月25日には13時から写経会、14時から護摩祈祷会がこのお堂で行われる。
表からは見えにくいが、大窪寺の裏手には六地蔵が立っている。
春には桜やミツバツツジが咲き乱れ、秋は紅葉も楽しめる。冬の間はツバキの花が咲くが、足元が凍る季節でもあるため、参拝には注意が必要だ。
道すがら時折あらわれる修行大師像やお地蔵様。花が供えられ大切にされている。