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谷中に比べると根津の飲食店はそこまで多くはない。しかし、麺類となると話は別。行列店もある蕎麦を筆頭に、うどん、ラーメン(中華)、パスタまで、ツルリとおいしい店が揃うのだ。昼は麺、夜はお酒を一杯なんて楽しみ方もできる秀逸な麺店を集めました!

『蕎麦 松風』

みずみずしい十割の蕎麦とダシ香るツユが支える根津らしい遊び心

「根津はいいお蕎麦屋さん多いですから。王道メニューだけでなく、楽しめるものも」と、店主の山田一良さん。「ただし、ちゃんとせいろもおいしいのが大前提」と言葉は続く。たとえば、この「ブラッドオレンジのひやかけ」。華やかな見た目で爽やかに甘くオレンジが香る。食欲をそそられて蕎麦を手繰れば、端正な細切りのそれはのど越しよく、口の中で香りと味がみずみずしく広がる。

ブラッドオレンジのひやかけそば 1380円

『蕎麦 松風』ブラッドオレンジのひやかけそば 1380円 よくある「スダチのひやかけ」とは一線を画し、甘みと柑橘の爽やかさが心に残る

特筆すべきはそれらをまとめるツユの旨さ。フルーティな甘さも取り込みながら、クリアなダシ感が心地よく返ってくる。緩みのない味わいのバランスが仕事のよさを物語っている。蕎麦は自家製粉の十割。常陸秋そばを中心にピンポイントで状態のいいものを、「味と香り」を重視して選んでいる。「コミュニケーションを大事にしている」というカウンター席。夜は気の利いたつまみが揃う蕎麦前から楽しみたい。

『蕎麦 松風』

[住所]東京都文京区根津2-37-12
[電話]03-6882-0842
[営業時間]11時半~14時LO、17時半~20時半LO
[休日]日・月
[交通]地下鉄千代田線根津駅1番出口から徒歩6分

『手打ち蕎麦 やなか』

石臼で丁寧に挽かれ、持ち味を最大限に引き出された蕎麦が旨い!

玄蕎麦は毎日店頭の石臼でゆっくり丁寧に挽き、何度もふるいにかける。全ては蕎麦に熱を与えず、納得のいく粉を得るためだ。朝イチに打って、数時間は寝かせておく。結果、打ち上がった蕎麦はふんわり甘く、穀物感もあってその持ち味が立っている。使うのは、十和田湖周辺の有機で契約栽培されたもの。毎日蕎麦と向き合って45年。自然と確立されたスタイルだという。

江戸前穴子の天せいろ 1800円

『手打ち蕎麦 やなか』江戸前穴子の天せいろ 1800円 独自配合のごま油でバリっと揚った江戸前の穴子天もいい

これをカドの取れた香り高くも丸みのあるツユでズズッと手繰るのがいい。外二で打たれ、のど越しも抜群だ。ツユと言えば、温かいかけ汁も独自。カエシを使わず薄口醤油ベースゆえ、きれいに取られたダシの旨みが優しく感じられ、蕎麦を引き立てている。「若い人に蕎麦の文化を伝えたい」という思いもあって、こちらでは本格的な『手打ち蕎麦体験』(要予約)も随時行っている。そちらも込みで、もおすすめだ。

『手打ち蕎麦 やなか』

[住所]東京都台東区谷中1-1-18
[電話]03-3828-5333
[営業時間]11時半~14時LO(14時半)、17時半~19時LO(20時)※売り切れあり、そば打ち体験による変更あり
[休日]木
[交通]地下鉄千代田線根津駅1番出口から徒歩6分

『蕎麦 三里』

軟骨入りのつくねから鴨の旨みが染み出した鴨せいろは必食

おすすめははっきりしている。ご主人の前田正明さんがかつておいしい蕎麦を求め食べ歩いていた勤め人時代、一方で惚れ込んだ鴨鍋があった。「この鴨鍋のおいしさを蕎麦にしたい」というのが独立前からの思いだったからだ。そのお店に鴨の仕入れ先も紹介してもらったというが、ポイントのひとつは軟骨の入った鴨のつくねだ。ここからツユに染み出したダシと噛み締めれば甘みのある切り身。

鴨せいろ 1850円

『蕎麦 三里』鴨せいろ 1850円 細かめにひかれた粉で打たれた9割の蕎麦は、自然な蕎麦の香りが返ってくる落ち着いた味わいだ

北海道産を使って打たれた自然体の蕎麦を、この2種類の鴨から旨みの出たツユに潜らせれば、蕎麦の香りと旨みとコクがひとつになってじんわりと押し寄せる。せいろとは少しだけ変えて、アゴダシも使うというツユの塩梅もよし。蕎麦は9割でのど越しと香りよく、ご主人同様、自然な佇まいなのがいい。散策途中に立ち寄るにも絶好の少し奥まった場所。腰を落ち着けてじっくり味わいたい。

『蕎麦 三里』

[住所]東京都文京区根津2-33-9
[電話]03-5814-1810
[営業時間]11時半~14時、17時~21時半LO(22時)
[休日]水
[交通]地下鉄千代田線根津駅1番出口から徒歩6分

『饂飩 根の津』

待望の名店復活!もっちりとした食感とイリコのダシに癒される

昨年11月に復活。2019年末以来、根津の名店としてその再開を待ちわびた人も多いのでは。もとより同店の讃岐うどんは人気だったわけだが、休業期間を経て、そのおいしさはさらなる進化を遂げている。国産100%の小麦粉を使い、茹で立て、締め立ては変わらないが茹で時間が約20分。以前より時間をかけて茹でられた麺は、コシと同時にそのもっちりした食感がなんともたまらない。

天ぷらうどん 1350円

『饂飩 根の津』天ぷらうどん 1350円 カツオやサバ節も合わせるがダシのベースはイリコ。丁寧に抽出され、クリアなツユがまた旨い

小麦の甘さもよりやさしく感じられる。そしてダシ。たとえば天ぷらうどん。透明感のあるクリアなツユはイリコの風味が鼻に抜けてじわりと染みる。中に泳ぐ麺を一緒にチュルチュルチュルと吸い込めば、ふ~っと脱力感さえ感じるはず。人気のたまご天やちくわ天など、存在感抜群の天ぷらと一緒に、しめ立ての麺をぶっかけでやるのもこれまたいい。麺線の美しさを愛でながら啜る喜びを味わいたい。

『饂飩 根の津』

[住所]東京都台東区谷中1-4-2
[電話]03-5834-8655
[営業時間]11時~14時、17時~21時(20時半LO)
[休日]不定休(インスタで確認可)
[交通]地下鉄千代田線根津駅1番出口から徒歩3分

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おとなの週末Web編集部
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