カラリと香ばしく揚げられ、断面からは脂が滲み出している。その姿を見るだけで、「ごちそうだ」と思わせるメニューのひとつがとんかつだ。手間ひまをかけ、アイデアを凝らし、リーズナブルに楽しめる普段使いながらご馳走感極まる、珠玉の町のとんかつ=町かつを紹介します!
ほどよい旨みと脂っこさゼロのバランスに脱帽『とんかつ さくたろう』@馬喰横山
「毎日食べられるとんかつです」と、代表取締役の多田さん。この店を代表する「らっきーとーん」のロースかつはやさしい旨みがじわじわ広がり、どちらかというとあっさり。衣もカラリとした軽やかな食べ心地は、「こんなとんかつを求めていた!」と感動さえ覚えるようなちょうどいいおいしさなのだ。
しかもランチで1100円!この価格で出せるのは本業が肉の卸で、らっきーとーんは自社ブランドだから。
らっきーとーんロースカツ定食150g 1100円
脂の旨みをもっと味わいたいという人は、もうひとつの銘柄豚「紫峰ポーク」をどうぞ。特にヒレかつは噛むたびに肉汁が溢れ出て、一度食べたらこれ一択という常連客も多いとか。2種類をその気分で選べるのも楽しい。
高級とんかつもいいけれど、こういう店こそもっと増えてほしい。
[住所]東京都中央区日本橋久松町10-10 丸亀久松ビル1階
[電話]03-6661-0108
[営業時間]11時~15時(14時半LO)、17時~21時(20時半LO)、土・日・祝11時〜19時半(19時LO)
[休日]不定休
[交通]都営新宿線馬喰横山駅A3出口から徒歩4分
フレンチシェフならではの繊細な工夫がぎっしり『とんかつ そら~空~』@荻窪
フランス料理店で働きながら、とんかつの名店を食べ歩いていたという料理長の水野昂平さん。これらの経験を活かし、揚げ方にもフレンチの手法を取り入れている。中温で揚げて休ませるという工程を3回ほど繰り返して火を入れるというとんかつは、まるで低温調理で仕上げたようにしっとり。
香り豚 ロースとんかつ膳(上)200g 2178円(ランチは1880円)
水野さんが脂の甘みに惚れ込んだという「香り豚」は、まさに名前の通り甘い香りが口中を満たし、なんとも上品な味わいだ。さらにソース類も、レモンで味付けした和辛子ソース、カツオ風味のダシ醤油などほぼオリジナル。
こだわりがぎっしりなのにランチは2000円を切るリーズナブルな価格に、「大好きなとんかつを身近な存在にしたい」という水野さんの熱い思いが溢れている。
[住所]東京都杉並区上荻1-8-8 興和ビル地下1階
[電話]03-5335-7567
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時半~22時(21時LO)
[休日]月
[交通]JR中央線ほか荻窪駅北口から徒歩1分
巧妙な火入れと余熱で仕上げる軽やかさは健在『とんかつ&焼鳥 An 四谷店』@四ツ谷
『ポンチ軒』の前身である『赤坂フリッツ』のとんかつが復活と聞けば、食べに行かずにはいられない。レシピは、『ポンチ軒』で料理長を務めた齋藤元志郎氏から伝授されたという。
ポイントは、脂身と肉の間の筋を丁寧に切り、肉を叩く下準備だ。145~150℃の低温でじっくり揚げる「沖縄豚」のロースかつは、厚みがあるのに歯でスッと噛み切れる。
特上ロースかつ(沖縄豚) 2100円(昼はご飯、とん汁付きで2300円)
低温揚げなのに衣がサクッと香ばしいのは、齋藤氏が選んだ糖度の高い最高級パン粉とラードに3種の油をブレンドした揚げ油のおかげだとか。ひと口目は、淡路島の藻塩をパラリとかけて味わうのがおすすめだ。
夜は焼鳥や一品料理も揃うので、お酒と一緒につまみながら締めにとんかつという楽しみ方ができるのもうれしい。
[住所]東京都新宿区四谷1-24 ホテル京阪 東京四谷地下1階
[電話]03-5366-4865
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~23時(22時LO)
[休日]無休
[交通]JR中央線ほか四ツ谷駅四ツ谷口から徒歩3分
新感覚で話題の2店のコラボ料理を一度に!『つかんと 七洋軒 P.O.』@乃木坂
虎ノ門ヒルズにある『つかんと』と、住所非公開の完全予約レストラン『atirom Tokyo』のコラボで2023年1月にオープンした期間限定店。
とんかつには低温調理した豚肉を使い、脂きらめくピンクという火入れ具合が抜群で、しっとりとしたやわらかさに悶絶!存在感は控えめながら薄くまとった衣のサクッとした食感もいい。
オススメされた塩とオリーブオイルで味わうと、シンプルなのに肉の旨みが引き立ちワインが進む。
とんかつ(ロース) 1210円(昼はご飯、スープ、サラダ付き 定食で1500円)、とんかつ(ヒレ) 1210円(昼はご飯、スープ、サラダ付き定食で1500円)、グラスワイン 950円
カルパッチョなどの前菜で始まり、ナポリタンやハンバーグなどと合わせて楽しめるのも贅沢。営業は3月23日までなので気になる人は急いで!さらに洋食に力を入れパワーアップするという、都内某所でオープン予定の新店舗も楽しみだ。
[住所]東京都港区西麻布1-8-11
[電話]070-7793-6014
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、18時~23時(フード22時LO、ドリンク22時半LO)
[休日]日
[交通]地下鉄千代田線乃木坂駅5番出口から徒歩10分
撮影/小島昇(さくたろう、An、つかんと)、西崎進也(空)、取材/井島加恵
※2024年3月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。