台頭する喫茶チェーンに宣戦布告! 岐阜市にオープンした喫茶店の挑戦/名古屋エリア限定グルメ情報(11)
名古屋は喫茶王国と呼ばれるほど喫茶店が多い。 が、店主の高齢化や後継者不足などで閉店を余儀なくされている店もある。 その代わりに台頭しているのが、喫茶チェーンだ。 東海地方では、1968(昭和43)年に創業した『コメダ珈琲店』が圧倒的なシェアを誇るが、名古屋にチェーン本部がある『支留比亜珈琲店』や岐阜の『さかい珈琲』、東京の『星乃珈琲店』、『元町珈琲』など、今や喫茶チェーンは戦国時代の様相を呈している。
そんななか、第三極となり得る喫茶店が今年9月23日にオープンした。 岐阜市八代にある『cafe しょぱん NAGARA』がそれだ。 総務省統計局「経済センサス」(平成26年)によると、岐阜県の人口10万人あたりの喫茶店数は、142.9店と全国2位。 ちなみに1位は高知県で156.4店。 愛知県は3位で113.1店。 と、いうことで、岐阜県も全国屈指の喫茶王国なのだ。 ひと昔前、愛知県や岐阜県の喫茶店にとって売り上げのメインはランチだった。 が、現在は周囲に牛丼やうどんなどの外食チェーンが進出し、個人経営の店ではとても太刀打ちできない状況にある。 「12時以降はパスタとパン、コーヒー(または紅茶)のセットを用意していますが、正直、ランチにはあまり力を入れていません。 それよりもほかの店のランチが終わる14時以降が勝負だと思っています。この時間帯に食べたくなるようなメニューをいかに充実させるかを考えました」と、オーナー。
その狙い通り、まだオープンから1ヶ月も経っていないにもかかわらず、14時ごろに店へ行くと、店の前には行列ができていた。 しかも、9割以上は女性。 客たちの目当ては、プリン液に浸したバゲットを専用の鉄板で焼き上げた「パンプディング プレーン」(450円)。 ホイップクリームがたっぷりとかかっていて、フワフワの食感。 焦げたカラメルソースのほろ苦さも心地良いアクセントとなっている。
こちらは、大きくカットしたバナナとアイスクリーム、チョコレートソースをくわえた、いちばん人気の「パンプディング チョコバナナ」(650円)。 ベースとなるプリンとホイップクリーム、カラメルソースと、トッピングが複雑に混ざり合うのがパンプディングの醍醐味だろう。
マロンクリームと大粒の栗、アイスクリームをトッピングした「モンブラン」(700円)も人気。 今のところ、レギュラーメニューはこれら3種だが、今後は旬のフルーツなどを使った季節のパンプディングも用意するという。
また、モーニングもすでに口コミで評判を呼び、開店前から行列ができているという。 それもそのはず、なにしろ、ドリンク代(コーヒーは420円)のみで、毎朝オーブンで焼き上げる大きな自家製パンとスープ、ポテトサラダ、メープルシロップのセットが付くのだ。 焼きたての自家製パンは香ばしく、フワフワ&モチモチの食感。男性でもこれ1個で十分に満腹になる。 これがドリンク代のみのサービスとはスゴイ! 「パンプディングとこのモーニングを二本柱に、愛知県にもどんどんチェーン展開していきます」と、オーナーの鼻息は荒い。 東京の喫茶チェーンの進出を地元チェーンによって食い止めることができれば、喫茶王国としての面目を保つことができるというものだ。
cafe しょぱん NAGARA 岐阜県岐阜市八代1-1-29/[TEL]058-201-5333/[営]7時~22時/[休]無
永谷正樹(ながや・まさき) 1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。
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