ぜんざい、お汁粉、たい焼き、団子……ぜ~んぶ食べたい!浅草は、あんこおやつの天国です!浅草寺の門前町として栄える浅草には”あんこおやつ”の名店がズラリ。歴史と職人気質に裏打ちされた奥深い甘さを体感すべく、いざ、浅草へ!!
画像ギャラリー変わるのも、変わらないのもともに「伝統」
はじまりは飛鳥時代の628年と、東京で最も古い歴史を持つ浅草寺。その門前町である浅草には、江戸時代から参拝客に餅や団子、汁粉などを振る舞う茶店が多く軒を連ねていたという。いまもその数は両手に余るほど。脈々と伝統を受け継ぐ、東京最古の“あんこおやつの天国”と言えるだろう。
甘味処の『浅草梅園』もそうした店のひとつ。
安政元年(1854年)の創業で、もとは浅草寺の末寺、梅園院内の茶店だった。名物の「粟ぜんざい」は、粟(あわ)と名がつくものの、使っているのはもち黍(きび)。戦後、粟の生産が減ったため、比較的手に入りやすい黍に代えたのだそう。名前だけ、昔馴染みの“粟ぜんざい”のまま、というわけだ。
蒸されてモチッとした黍の餅に熱々濃厚なこし餡がたっぷり。ふたつの食感が口中で混ざり合った時の、素朴ながら官能的なハーモニーときたら……本来の粟の味はもはや想像するしかないが、黍は黍で、文句なしに絶品である。
名物の粟ぜんざいが、いつからあるのかは、「史料が震災や戦争で焼けてしまったのでわからない」(営業主任の板谷厚昭さん)が、「先代が試行錯誤しながら作り上げた」というから、“元祖”であるのは確かだろう。 ※ランチタイム有
時は下って明治36年(1903年)。奥浅草で創業したのは『デンキヤホール』。
もともと電気屋だったことから、この名がついた。こちらの名物が「ゆであずき」。聞きなれない名だが、関東では江戸時代からあるポピュラーな甘味だそう。簡単に言えば、粒のまま甘く煮た小豆を薄くのばしたホットドリンク。
餅の入っていない田舎汁粉とでも言えようか。昔は家庭でも作られ、同店でも創業時からの定番メニューだったが、いつしか作る家庭も店もなくなり、結果的に“ゆであずきといえばデンキヤホール”と言われるほどの名物になった。
グラスの底に沈んだ小豆をかき混ぜつつ、上澄みをズズッとすすってみれば、上品な甘さの中に、しっかり自己主張してくる塩気。甘味も人生と同じで、ただ甘いだけじゃつまらないのだ。
創業は日露戦争の前年。元々は電気屋だが、いざとなっても女性だけで商いができるよう、喫茶も併業したのがルーツ。 ※ランチタイム有
味の違いはやっぱり餡にあり!
たい焼きやどら焼きなど、気軽に食べられるあんこおやつも、浅草には目白押しだ。浅草の2大たい焼き専門店のひとつ『浅草浪花家』は、麻布十番の本店で修業した店主が、母親の実家がある浅草に暖簾を掲げたのが始まり。
十勝産の小豆を2日に1回店で炊くこだわりの餡は、日本茶インストラクターの妻が選ぶお茶と相性抜群。「たい焼きセット」として店内で楽しめる。
店主の安田亮介さんは、麻布十番の「浪花家総本店」で5年間修業。自慢は本店ゆずりの餡。 ※ランチタイム有
もう1軒の『たい焼 写楽』は、路地裏の小さな名店。
うっかり見過ごしがちだが、その餡の味は1度食べたら忘れられない。ほのかに感じられる塩気が甘さに奥行きを与えている。職人気質の店主の腕が冴える逸品だ。
浅草生まれの店主が焼くこだわりのたい焼き、地元で洋品店を営んだ後、某たい焼き専門店で修業を積んだ店主の吉野喜一郎さん。こだわりは、その時々で良い物を厳選する小豆。 ※ランチタイム有
なお、どちらの店も、1匹ずつ丁寧に焼き上げる“一丁焼き”(天然ものとも言う)がウリ。機械で4〜5匹を一度に焼く“養殖もの”に比べ、皮が薄くパリッと仕上がるのが特徴だ。
カステラ風の丸い生地にあんこを挟むどら焼きは、明治の末に大流行したという。浅草でも売る店は数多あるが、横綱といえば雷門前の『亀十』だろう。
職人技がものをいう焼きムラは食欲をそそり、食べればフワフワとパンケーキのような軽い食感、そして期待を裏切らないしっかりと甘いあんこ……まさにがぶり寄られるうまさだ。
90年以上の歴史を持つ老舗。目当ては開店と同時に行列ができる1日約3000個売れるフワ甘食感のどら焼き。
あんこをたっぷり乗せた餡団子もお忘れなく。浅草寺本堂近くの『よ兵衛 本店』の餡は、控えめな甘さで、ざっくりとした小豆の皮の食感が楽しい。
栃木県産コシヒカリを使った、モチッと弾力のある団子が、餡の旨さを引き立てている。
創業は31年前、生粋の浅草っ子である女将の竹山智子さんが、揚げ餅と団子の店を開いたのが始まり。若い人や外国人にも人気の団子は栃木県産のコシヒカリを玄米から挽いて搗いているのでコシが強い。 ※ランチタイム有
さて、次はどこへ行こうか。ただし、歩きながらの“ながら食べ”はご法度。マナーを守って、あんこおやつ巡礼の旅を、ゆるりとお楽しみあれ。
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