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糸魚川で幻の魚ゲンギョをいただく&大糸線なつかし車両/1989~2018年

鉄道ファンからは当たり前!と思われてしまいますが、魅力的な路線の条件には風景などだけでなく、走っている車両も重要です。
沿線風景ももちろん、魅力的な車両が走っていた大糸線は、大好きな路線でした。
長野県と新潟県を結ぶ大糸線は、2つの会社にまたがっていて、それぞれまったく様子が異なります。
路線の南側、松本駅~南小谷駅間はJR東日本の所属で電化しています。
新宿駅から直通列車も走っています。
そして今回のテーマは、南小谷駅~糸魚川駅の電化されていない区間、北アルプスに端を発する姫川に沿って敷かれています。
川や山の風景が美しい路線です。

[姫川に沿って走る大糸線列車(1994年撮影)]

いつもは1両のディーゼルカーが走っていますが、スキーがブームだったころは、関西方面から夜行のスキー列車も乗り入れていて賑わう路線でした。

[関西からの夜行臨時列車も走っていた(1989年撮影)]

そして鉄道ファンに人気だった車両が、ディーゼルカーの“キハ52”。
国鉄時代に作られた車両で、3両がありました。
晩年には3両がそれぞれの違う色になって走っていました。
普通列車の一般色の赤と白のツートン、近郊色と呼ばれる赤色、そしてもっと古いタイプの色で白と青の塗装です。
撮影に行ったときには、今日はどの色で運転されているのか、ワクワクして待っていました。

[キハ52同士がすれ違う(2005年撮影)]

[青と白の塗装で走るキハ52(2007年撮影)]

しかし、人気の〝キハ52“は2010年に運転を終了してしまいます。
普通ならば、廃止後解体されてしまう車両もあるのですが、そこは人気車両です。
3両とも、しっかりと保存されています。
しかも、そのうち1両は千葉県のいすみ鉄道で、現役のまま運転中です。

[青と白だった車両が赤色になって、いすみ鉄道で運転中(2014年撮影)]

赤と白のツートンの車両は、遠くまでもらわれていきました。
岡山県の津山へ行き、“津山まなびの鉄道館”で、たくさんの貴重な車両とともに展示されています。

[津山まなびの鉄道館で保存:右から2両目がキハ52(2016年撮影)]

もう1両ですが、現在も糸魚川に残っています。
それも、駅舎の中です。
北陸新幹線開業時に大きく変わった糸魚川駅。
駅の1階に“ジオパル”という施設があります。
ジオパーク観光のインフォメーションセンターと、鉄道ジオラマ施設(かなり大きい)、さらに本物のキハ52を使った待合室で構成されています。
営業時間中であれば、いつでも車内で休むことができる施設です。

[糸魚川駅では、今でもキハ52に乗ることができる(2018年撮影)]

驚いたのはこの車両、ときどき駅から出てくるんです。
本体のエンジンはかからないのですが、小さなエンジン付きの機械に押されて駅の外へ。
新しくなった駅をバックに止まるぴかぴかのキハ52。
私も好きな車両だっただけに、嬉しくなる風景です。

この車両が屋外に展示される日ですが、2019年の予定はまだ発表されていません。
2018年は4月上旬~11月上旬の第2第4日曜日でした。
見に行かれる方は“ジオステーション ジオパル”のHPなどを見て確認してください。

[キハ52の糸魚川駅屋外展示(2018年撮影)]

キハ52が引退して、新しく走り始めたのはステンレスボディの車両。
以前に比べると、訪問の回数は若干減りましたが、まだまだ美しい風景を行くローカル線の魅力は健在です。
……(もちろん私は)ときどき撮影に行きます……。

[現在はステンレスボディのディーゼルカーが走る(2010年撮影)]

この糸魚川駅近くのスーパーマーケットで出会ったのが、幻の魚!?

ここまで、ついつい長めになってしました(笑)
今回の食のテーマは、糸魚川のスーパーマーケットで購入した“げんぎょ”です。
“げんぎょ”は、「幻魚」と書きます。
食べるのは初めてでしたが、同じ字を書いて“げんげ”と読むのは聞いたことがあります。
どうも正式な名前は“のろげんげ”と言うそうで、新潟の海岸線沿いでは“げんぎょ”と呼ばれることが多いようです。
それも1種類ではなくて、いろいろな種類があります。

[海岸線の市場で見た“げんぎょ干し”(2018年撮影)]

[市場でみつけた“白げんぎょ”は、やや大きめ(2018年撮影)]

スーパーマーケットの魚売り場をのぞきこむと、なにやらぬるっとした魚がパックされています。
それも安い!
7匹入りで158円です。

[7匹入りで158円。安い!(2018年撮影)]

さて、車内料理で今夜のおかずにと考えてみますが、天ぷらは車内では無理だし、鍋にするには少々小さめです。
いつものように店内でリサーチです。
近くを通りかかったおばあちゃんを呼び止めて、
「すみません。この魚はどう料理すればいいんですか?」
とパックを見せると、おばあちゃんの目がキランと光ります。
「私ねぇ。これ好きなのよ! ちゅるんとして、いくらでも食べられるし」
「昨日も、食べたの。おいしかったわよ〜」
「家ではね。これだけをおすましにして、ちょっと煮るだけ」
たくさん話をしてくれたおばあちゃんを見送って、購入決定です。
パック開けると……なんだか目がかわいい……。

[げんぎょ……。目がかわいい(2018年撮影)]

まあ、それはそれとして、調理開始です。
以前は、水が潤沢に使えない車内では、なかなか魚料理がしにくかったのですが、最近はちょっと知恵がついてきました。
新聞紙と紙皿の上で、食品用の使い捨ての手袋を使って料理します。
アラは新聞紙といっしょに捨てて、包丁もお湯をかけたキッチンペーパーで何回か拭いてからアルコール消毒して終わりです。
簡単になりました(笑)。

[紙皿と食品用手袋で料理(2018年撮影)]

今回の料理は簡単。
ぶつ切りにしたげんぎょを、水、酒、しょうゆと、昆布だしを少し入れて軽く煮るだけです。

[ぶつ切りを、おすましの調味料に入れる(2018年撮影)]

[ちょっと煮るだけ(2018年撮影)]

[お椀によそって完成です!(2018年撮影)]

食べてみると、おばあちゃんの言っていたように、ちゅるんとした食感がたまりません。
味も、白身魚の煮つけのように、魚のおいしさがしっかりしています。
骨だけ出しながら、あっという間に7匹分完食でした。

この“げんぎょ”ですが、東京周辺の魚屋では見たことがありません。
まあ、見た目通り足が速いのと、値段が安いので、なかなか全国流通はしないタイプの魚ようです。
また来たら食べようと糸魚川を後にしました。
しかし!
帰りの道の駅で見つけたのが「このまま食べられる焼幻魚」!
けっこう日持ちもします。
もちろん購入です(笑)。

[このまま食べられる焼幻魚(2018年撮影)]

帰ってからパックを空けると、ふわっと魚のいい香りがします。
見た目は……まぁ……です。

[5匹入りの幻魚、ビールにはぴったり(2018年撮影)]

食べてみると頭はカリカリ、身は噛めば噛むほど味が出てきます。
ビールにはぴったり。
帰ってからも楽しめる幻の魚でした。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
 鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
 ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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