池袋サンシャインシティ60通りの一角にある高いビルに囲まれたグルメ楽園「栄町通り」は、戦後の飲み屋街の雰囲気を残した80mほどの一本道。小規模ながらも、老舗から個性的な新店までさまざまな店があって面白い。
池袋のエアポケット横丁「栄町通り」
担当するのは私、ずばり池袋在住ライターの林 匠子。ほかの有名横丁に比べると店の数は少ないですが、池袋の横丁も結構イケてるんですよ。 東口には、ヤミ市から始まった飲み屋街が4カ所あったが、そのうち2つは再開発によって残念ながら今はもうない。現在は「栄町通り」と「美久仁小路」が奇跡のように残っていて、私のお気に入りは、より隠れ家的な雰囲気が濃い栄町通りだ。
知る人ぞ知る絶品串
昭和47年創業の『風林火山』は、この通りに潜んでいるお宝のような焼鳥店。何度か通ううちに、「昨日、香水をプンプンさせたお客さんが来てね。換気扇の下の席に座らせたわ」といった感じで(笑)辛口だけど、実は情の厚い女将さんのファンになってしまいました。
from東北の旨いもんが満載
そのすぐ向かいにある『漢方和牛とかき小屋 四喜』は、オープンして3年の元気な酒場。「この前『風林火山』さんで大騒ぎした団体さんがうるさいって追い出されたらしく、うちに飲み直しに来ましたよ~アハハ」と、こちらは横丁初心者も入りやすい。店は若いが、築74年の一軒屋は情緒たっぷり。以前は民家だったのかとたずねると、「戦後、この近所にあったパチンコ屋の寮として使っていたらしいです。いわゆるタコ部屋ですかね」。へ、へえ~!
すべてのメニューにトマトを使う人気店
その隣は、すべてのメニューにトマトを使う異色のイタリアン『トマト・トマト・デルーチェ』。ナイジェリア出身のシェフの腕前がすばらしい人気店だが、「もっとがんばって、母国にでかいビルを建てるんだ」と、流暢な日本語で話ってくれた。イケブクロ・ドリームである。
それにしても、ここのフルーツカクテル、美味しい……。
こうした個性的な新店が増えるきっかけになったのが、『BAR SORA』。オープンした12年前頃、この辺りは夜になると真っ暗だったという。いい雰囲気のバーが少なかった界隈で、この店はすぐに話題となり、その後新規店が続出。現在のような横丁に世代交代しつつある。それにしても、ここのフルーツカクテル、美味しい……。
すっかりお腹は満たされ、酔いも回った。歌でも唄いたい気分だなぁ。お開きにするのはまだ早い! と、その勢いでスナック(女性歓迎)の扉を叩き、ディープな池袋をとことん満喫した夜でございました。