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美味しい牛肉が食べたい!と思ったら、どんな料理を想像するだろうか? 焼肉やステーキ、しゃぶしゃぶ……。一つ忘れてはいないか? すき焼きがあるではないか。 名古屋には旨いすき焼き、それも朝採れのクレソンをふんだんに使ったオシャレなすき焼きを食べさせてくれる店があると聞き、美食家の女友達、A子といっしょに行ってきた。

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名古屋・栄『由乃 別邸』で国産黒毛和牛✕クレソンのすき焼きを堪能!

美味しい牛肉が食べたい!と思ったら、どんな料理を想像するだろうか?
焼肉やステーキ、しゃぶしゃぶ……。
一つ忘れてはいないか?
すき焼きがあるではないか。
すき焼きは、家で食べるものと思っていたら大間違い。
名古屋には旨いすき焼き、それも朝採れのクレソンをふんだんに使ったオシャレなすき焼きを食べさせてくれる店があると聞き、美食家の女友達、A子といっしょに行ってきた。

それが昨年11月、栄3丁目にオープンしたグルメビル「ジェムズ栄」の10階にある『由乃 別邸』だ。
エレベーターを降りたらスタイリッシュで洗練された店内が目の前に広がり、気分がアガる。

メインのすき焼きをいただく前に、店長から勧められた「自慢の自家熟成とりから」(780円)を食す。
ご覧の通り、衣はついておらず、巷の唐揚げとは一線を画している。
それよりも“自家熟成”とはいったい何なのかが気になる。
「12時間天日干しにして旨みを凝縮させています。
魚の干物をイメージしていただければわかりやすいと思います」と、店長。
実際に食べてみると、たしかに濃厚な旨みが広がる。
添えられた塩やすだち、ゆず胡椒をつけるとさらに旨みが引き出される。
これは旨い!

ビールを片手にとりからを堪能していると、店長が肉の塊を手にしてやってきた。
「本日は希少部位のザブトンが入荷しましたので、これをすき焼きに使わせていただきます」とのこと。
このサシ!
もう、こんなの、旨いにきまってるぢゃないか!
A子も「食べる前から絶対に美味しいってわかるよね!」と、スマホで写真を撮りまくっていた。

スライスしたザブトンがこちら。
肉の部位は日によって替わるそうだが、使用するのはすべて国産黒毛和牛。
さぞかし値段もお高いと思いきや、「クレソンすき焼き」は一人前2980円(注文は2名から)という安さ!

こちらは肉以外の具材。
シイタケとネギ、焼き豆腐、麩。
ここまでは定番だが、トマト、そして、たっぷりのクレソンが入る。
味がまったく想像できないが、トマトの酸味とクレソンのほろ苦さが黒毛和牛のザブトンと合わせたときにはたしてどんな味の化学反応が起こるのか。めちゃくちゃ気になる!

すき焼きといえば、卵も味を決める重要な食材。
ここではなんと、名古屋コーチンの卵を使用。
濃厚な味わいが特徴で、ご覧の通り、黄身も箸でつまめるほどしっかりしている。
何度も言うが、これで2980円なのである。

熱したすき焼き鍋に牛脂を引いて肉を焼く。
その上から割り下をかけて味を付けていく。
肉の両面に火が通ったら食べごろ。
A子のテンションはMAXとなり、スマホカメラを連写(笑)。
そして、コーチンの卵にくぐらせていただく。
うわっ!
噛む必要がないほどやわらかい!
そのうえ、肉そのものに甘みがある!
それをまた割り下が見事なまでに引き立てているではないか!

「肉の美味しさは言うまでもないけど、この割り下にも何か秘密がありそう」と、A子はスルドイ質問を店長にぶつけた。
「具体的な配合は言えませんが、甘みは地元の九重みりんの最高級品『九重櫻』でつけています」とのこと。
しつこさはなく、素朴でやさしい甘みを感じるのはみりんの力だったのだ。

肉をひと切れずつ味わったところで、鍋に野菜や焼き豆腐を入れて肉の旨みを移す。
さらに肉をくわえていく。
店長によると、クレソンやトマトは肉で巻いて食べるのがオススメだそうで、実際にやってみた。

クレソンのシャキシャキとした食感とともに広がるほろ苦さと、肉そのものの甘みが相まってめちゃくちゃ旨い!

こちらはトマト。
熱が入っているので、酸味が和らいで甘みが引き出されている。
肉を巻いて食べると、一気に洋風の味わいへと変貌を遂げる。
「すごく美味しい! ボディのしっかりとした赤ワインが飲みたくなっちゃう」と、A子も大満足の様子だ。
さて、鍋の〆は「コシつようどん」(480円)や「名古屋コーチンの卵のぞうすい」(880円)も用意している。
店長にオススメを聞いたところ、
「土鍋で炊き上げる『孤高の月邸めし』(2480円)をぜひとも召し上がっていただきたいです」とのこと。

これが「孤高の月邸めし」。
土鍋の蓋を開けると、そこにはたっぷりのイクラとウニ、サイコロ状にカットした肉、卵黄が!
さらにその上からカラスミをすり下ろす。こっ、こんなの反則じゃないか(笑)。
「わぁー! 私の好きなものが全部入ってる!」と、A子は大興奮。
まったく、カネのかかる女だ(笑)。

しゃもじでよくかき混ぜると、おこげが。
もう、たまらん!
茶碗によそってひと口……。
それぞれの具材がケンカすることなく調和している。
ちなみにお米にもこだわり、岐阜県飛騨地方のブランド米で、新嘗祭で皇室にも献上された「銀の朏(みかづき)」を使用している。
とことん、こだわり抜いているのだ。
「クレソンすき焼き」、これは絶対にアリだと断言する。
肉のレベルといい、割り下の味付けといい、非の打ちどころがなかった。
何よりもほかの鍋料理と違って、季節を問わず楽しめるのが嬉しい。

由乃 別邸
[住所]愛知県名古屋市中区栄3-9-2 ジェムズ栄10階
[TEL]052-211-8700
[営業時間]17時~24時(金、土、祝前日は~翌1時)
[定休日]不定休

永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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永谷正樹
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