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リーズナブルで旨い! 今里で、名店「八十八」を知らずして寿司を語るべからず!

「僕自身が88年生まれで、初心を忘れずにという意味で屋号を八十八にしたんです。
米という字を崩すと八十八で、米寿でもある。さまざまな意味を込めてこの店名にしました」
こう語るのは、今里にある寿司屋の名店「八十八」の店主冨永光宏さん(31)。
屋号は「やそはち」と読む。

年齢は若いがキャリアは長い。
15歳からこの業界に飛び込んだ。
「兄弟が多いので一刻も早く家を出たい一心でした。
ミナミのお寿司屋さんで寮もあって働けるというのでそこで修業をスタートしたのが最初です」
若くして独立。
“活きの良い”店主のこだわりは、魚の鮮度だ。

「関西の特徴として、歯ごたえのある魚が好まれる。そうすると鮮度が命なんですよ」

さらに生野という土地柄は「安くて旨いのは当たり前」という文化をもつ。
その理由をこう解説する。
「商売人の町なので、仕入れ値を知っている人が多いんです(笑)。
そして、このお店でしか食べられないものを望む。
だからうちのお店、商売人も忙しい金曜日が暇で、土日が忙しいんです」

言うならば、この町で続けられれば大阪のどこに行っても通用する。
そんな風土なのだ。
さて、会話はココまでにして、まずは「ホタルイカ酢みそ」(680円)と「キンキ塩焼」(1980円)を注文。

大きめのホタルイカに加えて、その量にも驚く。
2人前ほどあってこの時期のホタルイカは外れなしの美味。
人気のキンキは半身で、身を口に入れると途端に甘味が広がる。

ここのキンキを食すとほかの魚を食べられへん!
思わず、「旨い!」と唸ったほどだ。
冗談抜きで、それほど絶品の塩焼きなのだ。
焼酎や日本酒との相性も抜群で会話にきっと花を咲かせてくれる一品だろう。
当然ながらメインの寿司もお値打ちでいて味も保証つきだ。
まずは「剣先いか」(380円)と「まぐろ(赤身)」(380円)をオーダー。

切り分けたまぐろの厚みと、しゃりの配分が絶妙。
大きめのまぐろも鮮度が良いので脂が少ないぶん、しつこさもない。
口に入れると途端にとろけていく。
赤身好きにはタマらない旨味がある。
剣先も歯ごたえと柔らかさのちょうど中間。
柔らかさだけが際立つ、そこらのいかとは異なり、こちらも厳選されたものとわかる。

続けて「ホタテ」(380円)と「タコ」(300円)を追加で……。
見ての通り、すべてが申し分なし。
ホタテの絶妙な噛み応えに、顔もニンマリだ。
同店は深夜3時まで営業。
だが、夜中でも満席の場合も少なくない。
今里でも人気なのが頷ける賑わいだ。
店主の冨永さんはこういう。
「いつかはこのお店を弟に継いでもらいたいんです。
僕はまた別のことに挑戦したいと思っています」
飽くなき探求心が、店の向上を図る。
ぜひ、ご堪能あれ!

寿司処 八十八(やそはち)
[住所]大阪市生野区中川2-2-13
[TEL]06-7172-0364
[営業時間]18:00~翌3:00
[定休日]水曜

加藤 慶(かとうけい)
大阪在住のライター兼カメラマン。週刊誌のスクープを狙う合間に関西圏の旨いモンを足で稼いで探す雑食系。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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