初夏が近づいてくると行きたくなるのが富山県の鉄道です。 地元では「地鉄(ちてつ)」と呼ばれている富山地方鉄道。 沿線の風景も美しくて、平野を走る区間では立山連峰を眺めて走り、山に分け入れば渓谷も見ることができる観光鉄道でもあります……。
画像ギャラリー富山地方鉄道で、ますの寿司/2008年~2020年
初夏が近づいてくると行きたくなるのが富山県の鉄道です。
少し前になりますが、第50回でも富山のホタルイカをご紹介しました。
今回は、富山の駅弁と風光明媚な富山地方鉄道のお話です。
立山連峰を背に走る平野区間(2015年撮影)
地元では「地鉄(ちてつ)」と呼ばれている富山地方鉄道(鉄道ファンには富山地鉄と呼ばれることがおおいです)。
名前はものすごくローカル線感があるのですが、実はかなり大きな鉄道会社。
鉄道線は本線を含めて5路線、総延長はだいたい100Kmにもなります。
さらに富山を中心に走る路面電車もこの会社の運転で、6路線があり、合計11路線という大手私鉄に次ぐ中規模鉄道です。
沿線の風景も美しくて、平野を走る区間では立山連峰を眺めて走り、山に分け入れば渓谷も見ることができる観光鉄道でもあります。
山間部では渓谷の風景も見られる(2015年撮影)
車両の種類も、自社オリジナル車両や大手私鉄から購入した車両などバリエーションが多いのも魅力です。
車両の一部を紹介しましょう。
14760形:1979年から走り始めたオリジナル車両です。
2枚の大きな窓がクラシックな感じで好きな車両です。
雪の中を走る14760形(2012年撮影)
10030形:京阪3000系として走っていた車両です。
京阪で走っていたときには車内にテレビがあり、“テレビカー”とも呼ばれていました。
2階建て車両を連結した“ダブルデッカーエキスプレス”も走っています。
地鉄カラーの10030形(2018年撮影)
ダブルデッカーエクスプレスは、京阪カラーで走る(2015年撮影)
2階建て車両が特徴的(2015年撮影)
16010形:西武鉄道で初代レッドアローとして走っていた車両です。
私の地元を走る特急だったので、実に懐かしい車両です。
車内を観光用に改造した“アルプスエキスプレス”も走っています。
元西武レッドアローの16010形(2018年撮影)
西武鉄道で走っていた初代レッドアロー(1981年撮影)
17480形:最近まで東急電鉄で走っていた通勤用の車両です。
元東急の17480形(2015年撮影)
TLR0600形:元のJR富山港線が富山ライトレールというトラムが走る路線に転換されました。
さらに今年(2020年)2月には富山地方鉄道に組み込まれました。
この富山港線を走る車両です。
富山ライトレール時代のTLR0600形(2007年撮影)
JR富山港線は普通の電車が走る路線だった(1989年撮影)
そのほかにも市内線を走るトラムや市電がたくさん。
車両を見ても実に楽しい路線です。
市内線を行き交う車両もたくさんの種類がある(2018年撮影)
2016年の夏に『おとなの週末』本誌の取材で、“アルプスエキスプレス”で運転する特急アルペン号に乗せていただきました。
外観は西武時代のままですが、車内は見事にリニューアル。
木で作られたインテリアが素晴らしい出来栄えです。
比較的短い乗車時間に良く合ったライトな感覚で、富山に行ったときにはぜひ乗っていただきたい列車です。
富山地鉄の観光列車アルプスエキスプレス(2016年撮影)
木製のインテリアも美しい(2016年撮影)
売店コーナーも充実(2016年撮影)
車内ではアテンダントさんが
旅の案内をしてくれる(2016年撮影)
JR富山駅にある駅弁のお店でこのとき選んだはぶりの寿司、押し寿司です。
きゅっと締まった酢飯にぶり、かぶら、人参がのっています。
よくこれだけ相性の良い食材が集まったと思えるお寿司です。
富山駅の駅弁売り場。
種類がものすごく多くて迷う(2016年撮影)
車内で食べたぶりの寿司(2016年撮影)
この、ぶりの寿司を作ったのが、ますのすしで有名な“源”です。
富山地方鉄道の沿線に工場があって、見学もできます。
製造工程の見学や、ますのすしを作る体験(要予約)に加えて駅弁の歴史や全国の駅弁の掛け紙の展示などがあって、駅弁ファンにはたまらない施設です。
源の工場。
見学施設もある(2019年撮影)
全国の駅弁の掛け紙も展示(2019年撮影)
もちろん、駅弁やますのすしも購入できます。
食べて楽しかったのは、駅弁の「富山湾」。
その名の通り富山湾の味がこれでもかと入っています。
ほたるいか(50回参照)、白エビのかき揚げ(58回参照)、ぶり大根、幻魚(ゲンギョ:44回参照)……、ひとくちますのすしまで入っているので、迷ったらこれです。
駅弁 富山湾(2019年撮影)
富山湾のおいしいもの満載!(2019年撮影)
もちろんホタルイカも(2019年撮影)
そして、ここの本命は「ますのすし」です。
1500円のますのすし、1900円の特選ますのすし、2700円の伝承館ますのすしがあります(サイズ等のバリエーションはほかにもあり)。
工場へ立ち寄ったときには、「特選ますのすし」と「伝承館ますのすし」を食べ比べてみました。
外観はあまり違わないのですが、食べてみると別物です。
「特選」は、ますと酢飯が一体になって見事にまとまった感じ。
「伝承館ますのすし」は、ものすごくおいしくふっくらとした“ます”が主役です。
次回買うなら……悩みます。
やはり、そのときの気分で選んでしまいそうです。
特選ますのすし(2019年撮影)
食べる直前まで
竹とゴムで締められている(2019年撮影)
竹を外したら裏返し、
この状態で切る(2019年撮影)
酢飯とますの一体感がいい(2018年撮影)
伝承館ますのすし
(現在はパッケージが変わり、
丸形になっています 2018年撮影)
ますの味がたまらなくおいしい(2018年撮影)
何度訪れても、楽しくておいしい富山。
ぜひ訪れてみてください。
佐々倉実(ささくら みのる)
鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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