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北陸新幹線と富山県の昆布締めづくし&昆布パン/2015年~2020年

富山での、ある取材後の世間話でのこと……。

「昨日の夜はスーパーで買った昆布締めを食べたんです。おいしいですね」と話しかけると、
「なんの昆布締めでしたか? こっちの人は、魚でも野菜でも、なんでも昆布締めにするから」との返事。

その日訪れたスーパーで気にしてみると、なんとも昆布製品の多いのにびっくりです。

総務省統計局、令和元年の家計調査統計を見てみると、富山市の昆布消費金額がダントツの1位(1位:富山市2002円、2位京都市1581円、3位福井市1467円、ちなみに東京区部では32位817円)です。
(量としては青森市が1位、富山県は3位)

近年に富山観光がクローズアップされたのは、なんといっても2015年の北陸新幹線金沢延伸のとき。

それまでは東京駅から富山駅までは上越新幹線で越後湯沢駅に行き、在来特急に乗り換えて3時間以上かかっていました。

それが北陸新幹線の開業で最速2時間8分。

その気になれば日帰り観光も可能です。

登場した車両はE7系とW7系、E7系はJR東日本の車両、W7系はJR西日本の車両で、フロントガラスの文字以外はほとんど同じ車両です。

グリーン席の上をゆくグランクラスも話題になりました。

本革の贅沢なシートが3列、サービスで出るお酒もおかわりOKです。

北陸新幹線用に作られたE7系(2013年報道公開で撮影)

北陸新幹線を走るJR西日本のW7系。
E7系とほとんど同じ車両(2016年撮影)

雪国を走るだけあって、
雪よけのスノープロウも大きい
(2013年報道公開で撮影)

E7系のグリーン車
(2013年報道公開で撮影)

グランクラスはなんと3列席
(2013年報道公開で撮影)

アテンダントさんのサービスも
(2015年報道試乗会で撮影)

お酒は飲み放題!?
(2015年報道試乗会で撮影)

北陸新幹線に乗って進行左側に立山連峰が見えてくると、間もなく富山到着です。

北陸新幹線の車窓に立山連峰が広がると
富山駅はすぐに到着(2015年報道試乗会で撮影)

立山連峰をバックに富山駅を出発する(2015年撮影)

駅弁と水もE7系型(2015年撮影)

さて、東京から身近になった富山県の、昆布締めのお話です。

冒頭の会話の中、スーパーで買った昆布締めは“サスの昆布締め”とありました。

んん? 

「サス」とは?

伺ってみると、富山ではカジキをサスと呼ぶそうです。

自宅にいるときに、ときどきカジキを買ってくることもありますが、料理は大抵ムニエルです。

気にしていないだけかもしれませんけど、私は東京の魚屋で刺身用のカジキを見かけた記憶がありません。

スーパーで買ったサスの昆布締め
(2018年撮影)

昆布をめくってみると、良い具合に水分が抜けていていい感じ。

そのまま食べると、ねっとりとした食感。

昆布の味としっかりした魚のうまみがたまりません。

これはおいしい!

富山の方が、サスの昆布締めが好きなのがよくわかります。

昆布の粘り気も出ている
(2018年撮影)

翌日はイカです。

それも“かんのんいか”……??

調べてみました。

“かんのんいか”は、「観音いか」と書き、地方名が多く、袖イカ、アカイカ、樽イカなどと呼ばれますが正式名は「ソデイカ」です。

これは新潟の市場で見たことがありますが、びっくりするくらい巨大なイカです。

市場で食べ方を聞いたところ、このまま刺身や料理をすると固くて味が弱いので、いったん冷凍してからがオススメだそうです。

昆布締めが、味を引き出す方法なのでしょう。

これもしっかりしたイカの味と、やはりねっとりした食感が素晴らしい!

あっという間に完食です。

かんのんいか(ソデイカ)の昆布締め
(2018年撮影)

新潟で見たソデイカ、
この店では樽イカと書いてあった(2018年撮影)

そして気になっていた魚以外の昆布締めを、富山湾沿いのお店で見つけました。

よく見ると、野菜というより山菜の昆布締めです。

ワラビ、ゼンマイ、タケノコ。

食べてみると、昆布の味がよく移り、少し漬物のような感じです。

食感は、ワラビ=さくさく、ゼンマイ=ぐにぐに、タケノコ=しゃくしゃく……実に楽しめます。

帰り路、高速道路のパーキングで、お土産用の山菜の昆布締めを見つけましたが、地元で話に聞いていた野菜の昆布締めは残念ながら見つかりませんでした。

山菜の昆布締め発見。
即購入(2018年撮影)

さまざまな食感が楽しめる
山菜の昆布締め(2018年撮影)

高速道路のパーキングで買った
山の幸昆布締め(2018年撮影)

コロナ渦の自粛期間中に、野菜の昆布締めにトライ!

時は過ぎて2020年5月。

そう、ステイホームの期間です。

近くのスーパーで、生のワラビを見つけました。

水煮はあっても、生はけっこう珍しいです。

それで思い出したのが、富山で食べられなかった野菜の昆布締めです。

時間もたっぷりあるので、じっくりと料理することにしました。

実は富山のスーパーには、普通に昆布締め用の昆布を売っています。

もちろん私の地元でも売っているのですが、富山のものは薄手の昆布がだいたい3枚くらい入って200円台後半です。
(地元で売っているのは、厚手で数倍の値段です)

もちろん、大人買いしてきました。

富山で買った昆布締め用昆布
(2020年撮影)

ほっと安心!
いつもの昆布(2020年撮影)

裏面には合う食材や作り方も
書いてある(2020年撮影)

しまい込まれていた昆布締め用の昆布を出してきて料理開始です。

まず、生のワラビのあく抜き。

熱湯に重曹を入れて粗熱をとりワラビを投入します。

ときどき硬さをチェックしながら放置。

今回は固めにしたかったので、2~3時間でOKでした。

近くのスーパーで購入した
生のワラビ(2020年撮影)

重曹を使ってあく抜き
(2020年撮影)

そのほかの野菜も準備します。

アスパラガス、オクラは軽く茹で、ミョウガは湯通し程度。

長いも、キュウリはそのままで料理してみました。

あとは、お酢で拭いた昆布に並べてラップをして、冷蔵庫で寝ませます。

野菜の準備OK(2020年撮影)

昆布をしいて、
上に並べます!(2020年撮影)

昆布を重ねて並べます!
(2020年撮影)

もう一層重ねて、
まだまだ並べます!(2020年撮影)

重ね終わったら
ラップをして冷蔵庫へ(2020年撮影)

1日寝かせて、念願だった野菜の昆布締めが完成です!

野菜の昆布締め完成!(2020年撮影)

できあがった日に食べてみると、昆布の香りはしっかりと移り、食感はしゃきしゃきでおいしくいただけました。

2日目、3日目と時間をおいて食べてみると、食感も変わって日々楽しめます。

もちろん、昆布締めの王道、魚もやってみました!

当然のように魚の昆布締めも同時進行で作りました。

今回はタイです。

もちろんおいしく完成です。

タイの昆布締めも
同時に完成(2020年撮影)

この、タイに使った昆布ですが、捨てるのはもったいないので、そのまま出汁にしてみました。

生臭さが心配だったのですが、思いのほか濃くて、おいしい出汁が出てびっくりです。

タイに使った昆布で
出汁を作る(2020年撮影)

こうなれば作るしかありません。

そう、タイ茶漬けです!

炊き立てごはんにタイと薬味の野菜(もちらん昆布締め)を乗せて、温かい出汁をかけます。

おいしくないハズがないです。

大満足でした!

タイ茶漬け完成(2020年撮影)

ところで、富山でもうひとつ買ったものがあります。

……昆布パン……。

富山の昆布パン(2019年撮影)

それも、けっこうメジャーに売っています。

食べてもしっかり昆布の味がします。

どれだけ昆布が好きなんでしょうか!?

まだまだ、富山の昆布は奥が深そう……。

次回の富山行きも楽しみになってきました。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
 鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
 ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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