中崎町のこぢんまりとした路地裏で見つけた湯葉専門『ひみつのトビラ』
梅田から歩いて少しの場所にある中崎町。
2000年以降、お洒落タウンとしてその地位を不動なものにしつつあるこの町で、入り組んだ路地裏に湯葉専門店を見つけた。
6月20日にオープンしたばかりの湯葉料理とお酒『ひみつのトビラ』だ。
大阪で、湯葉の専門店とは珍しい。
「湯葉をメインにするとは最初から決めてました」とは、店主の八島さち子さん。
アラカルトのほか、人気はやはりコース(3800円と4300円がある)。
今回はコースで湯葉を堪能。
ボードに記されているように、上から順に運ばれてきた。
まずは「卵焼とゆば牛肉巻」から。
こちらに合わせたアルコールは「作」。
伊勢志摩サミットで有名となった日本酒で、そのなかでも入手が困難になりつつある「雅乃智中取り」。
見てのとおり、いちばんクリアな中取りのみを集めたお酒だ。
和食との相性は絶妙。
「うちは神戸六甲にある『北山ゆば』のみを取り扱っているんです」
湯葉といえば京料理をイメージするが、そんなことはない。
六甲の生ゆばも実に評価が高い。
ただし、大半が東京に出回っていたこの湯葉を、大阪の飲食店で初めて用いるという。
生ゆばを楽しむなら、コースにはない「ゆば三種盛」(900円)をオーダーしてほしい。
生ゆば、出汁ゆば、豆乳入りの3つを、好みに合わせてだし醤油やトリュフ塩、わさびなどで食す。
これがこれが、湯葉本来の味わいが楽しめる。
初めて知ったが、塩がまたよく合うのだ。
続けてコース料理の「でき立て湯とうふダシゆばのせ」「豆乳ゆば入りねっとりポテトサラダ」が配膳。
映え要素もあって、味もしっかり。
アンティークなお皿に盛られたこちら。里芋入りでみょうがとしば漬けがアクセントとなっている。
さらにさらに、「タラの塩麴蒸し」と「ゆばと野菜のアラビアータ風」が。
アラビアータとはイタリア語で怒りという意味。
味付けもそうだが、色彩豊かで食事もマンネリしない。
均一化されると、途中で飽きてしまうものだ。
ここでいったん箸休め。
その名のとおり「箸休めのあて盛り」が提供された。
低温調理した牛の干し肉、干しタコ、サバ、梅干し、焼万願寺ナスの燻製など。
これを食べ始めると、お酒がグググッと進む。
アルコール好きならこれ一つで酒が飲めるヤツやんか。
しっかりと喉が潤ったところで「ローストビーフ」「豆乳ゆばのラザニア風」を。
ご覧どおり、お皿一つもこだわりが強く感じられ、ローストビーフに添えられた玉ねぎのソースやにんにくのソースもすべて手作り。
ラザニアのほうは湯葉とのコラボ料理。
これがまた合うから、新たな領域に踏みいった感覚だ。
最後は「ゆばたっぷり食べる豆乳スープ」でシメ。
3種の湯葉入りで、和山椒に塩麴で味付け。
湯葉と聞くと、どうしても敷居が高いと想像してしまう。
でも『ひみつのトビラ』は、きっと新たな発見とともに新しい扉から見える別の世界を用意してくれているはずだろう。
湯葉料理とお酒 『ひみつのトビラ』
[住所]大阪市北区中崎3-1-12
[TEL]06-6373-9100
[営業時間]12:00~18:00(水曜および不定)
17:30~22:30
[定休日]不定休
加藤 慶(かとうけい)
大阪在住のライター兼カメラマン。週刊誌のスクープを狙う合間に関西圏の旨いモンを足で稼いで探す雑食系。
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