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福岡人が太鼓判を押す絶品を食べ歩き! 「東京ごまさばホッピング」!

サバグルメ最強の地といえば福岡! 

博多は鮮度のいいサバが食べられるうえに、もともと食のレベルが高いという、サバファンにとっては垂涎の街。

サバの刺身が当たり前だからこそ、ハンバない「さば眼力」で生み出される料理の完成度は感動モノ! 

そしてなんといっても福岡を代表するサバ料理といえば、サバの刺身を醤油ベースのたれ、白ごま、薬味であえた「ごまさば」。

以前、拙著『サバが好き』(山と渓谷社)の取材で、市内6店舗のごまさばを食べ歩いたが、どちらも絶品! 

そして、サバと醤油だれと白ごま、薬味だけなのに、店によってまったく味わいが変わることに感動! 

さらに、各店舗において味わいのみならず、ビジュアルも全部違う! 

しかもいずれもサバの身があまりにも美しく、読者のみなさんから「神ページ」といわれるほど(ぜひ『サバが好き』62、63ページをご覧ください……)。

もう夢のようなひととき。思い出すたびにうっとりするジェンヌ。 

あんなすばらしい、いや、ごまさばらしい時間は福岡に行かなければ到底ムリ……(涙)

「そんなことありませんよ」

え?

思わず耳を疑うような発言をするのは、約7500人が参加するFacebookグループ『東京にある福岡のお店に行こう』発起人の宮脇さん。

宮脇さんは北九州市出身で、大学は福岡市。

会社勤めの傍ら、愛する福岡を盛り上げるさまざまな活動を行っている。

Facebookグループ「東京にある福岡のお店に行こう』。
コロナ禍でがんばっている、東京にある福岡のお店を応援したいと宮脇さんはじめ、福岡を愛する有志たちが3月に設立。
福岡県人や福岡ファン約7500人が参加し、福岡料理を提供したり、福岡出身者が営むなど福岡にまつわるお店をシェアしている。

「東京都内で福岡の料理を提供しているお店の多くに、ごまさばがありますよ」と宮脇さん。

えーーーーー!!! 

行きたい、食べたい!!!

「じゃあ、行きましょうか。ごまさばホッピングに」。

キヤー!! 

行きます、行きます! 

かくして、「ごまさ番長」宮脇さんの案内のもと、「東京ごまさばホッピング」に出かけることになった。

東京ごまさばホッピング、1軒目は……?

ごまさばホッピングのために宮脇さんと待ち合わせたのは浅草。

向かうのは福岡ならではの料理が堪能できる西浅草「徳」だ。

「看板メニューは、鶏の水炊き。最高に美味しいです」と宮脇さん。

えっ?? 

ごまさばは……?

「『だから』、ごまさばも最高に美味しいです」

ん? ん? 

「だから」? 

宮脇さんによれば福岡人にとって、ごまさばは、他県民から考えられないほど「ソウルフルな存在」らしい。

熱血九州男児の宮脇さんも、もちろん「大のごまさば好き」。

というか、宮脇さんいわく「福岡人にとって、ごまさばは日常的なもの」。

「ごまさばは家庭料理です。お父さんの酒のつまみに、そして子どもたちはごはんのおかず、あるいはお茶漬けにして食べる。これが当たり前の風景」と宮脇さん。

「小学校のとき、好きな女の子に『好物はなに?』と聞いたら『ごまさば茶漬け』って。オレもおんなじってことがあったなあ……。それくらい生活に密着してます」といきなり、遠き日の思い出に相好を崩す宮脇さん。

「福岡人の人生において『ごまさば』は欠かせないもの、なんです」。

No Life , No ごまさば。 

そんな福岡人は、東京で愕然とするらしい。

「ごまさばは福岡県内の居酒屋には必ず存在するメニュー。いつだって身近。なのに東京に来て日常からごまさばが、切り取られてしまったことに気づくんです」。

いきなりの、「ごまさばロス」。

このくだりを読んで、「いやいや。ごまさばってときどき、都内の居酒屋で見かけたりするけれど」というあなたに説明しておこう。

福岡県人にとっての「ごまさば」の大前提は、まず「サバは福岡および九州のサバ」が使われていること。

これをクリアしていることが重要なのだ。

そして子どものころから、ごまさばを食べ続けているので、「ごまさばレベル」はハンパなく高い。

行ってしまえば「福岡県人」が認めたごまさばは、「相当美味しい」ということ。

これは、いわば「ごまさばを提供する福岡料理のお店」にとっては、相当の覚悟が必要、ということだ。

「東京にある福岡のお店で、ごまさばを出しているお店は、相当なプライドを持ってやっていらっしゃる。福岡の名を掲げて『ごまさばがまずい』、となったらとんでもないことになります」と宮脇さんが説明する。

「ごまさばが美味しくない」=「この店の料理が美味しくない」と思われてしまうからだ。

「サバの仕入れ体制が整っていなければ、提供することも難しいんです。正直、お店にとっては手間がかかる。でも、ごまさばが美味しければ、『間違いないお店』と福岡県人は判断するんですよ」と宮脇さん。

「徳さんは、ごまさばが最高に美味しい。だから水炊きも絶品なんです」

宮脇さんの「だから」の意味はそういうことだったのだ。

西浅草にある「徳」

徳は2017年にオープン。

宮脇さんが言うとおり「博多地鶏の水炊き」が看板メニュー。

福岡を中心に、九州各地の料理も提供している。

つくばエクスプレス「浅草駅」から徒歩5分に位置する「徳」。
料亭で腕を振るった経験をもつ徳永博史さんによる、
絶品料理の数々を楽しみにくるお客さんで賑わう。

「福岡の料理を掲げる店であれば、ごまさばは絶対に提供しなくてはならないメニューですね。もちろん気合が入ります(笑)」と語るのはご主人である徳永博史さん。

福岡県出身だ。

お酒にぴったりのさまざまな料理がそろうが、
やはり目立つのは「胡麻鯖」の文字。

福岡人が太鼓判を押す徳の「胡麻鯖」に使うサバは大分水揚げ。

サイズは700~800g、ときには1キロアップ(!)を使用。

タレは江戸時代からの歴史を誇る福岡市・天神の「ジョーキュウ醤油」がベース。

福岡ならではの少し甘めの醤油に、刺身醤油、生醤油、煮切りしたお酒、みりんを混ぜ合わせてサバを和え、白ごま、ネギ、そして味のりをトッピング。

「生のサバの味わいをいかしたいので、漬けというより、タレであえるレベルで仕上げています」と徳永さん。

目の前に提供されたごまさばを見るなり、宮脇さんがひとこと。

「間違いない」

福岡人は、「うまいサバかどうか」を「サバのエッジ」で判断するらしい。

「角が立ってるけど尖ってない、んです」

角があっても「カクカクしてない」のだそうです……。

さすが、サバ眼力……。

そんな福岡人が絶賛するごまさば、いただきます!!

福岡人大絶賛の胡麻鯖。
鶏の水炊きが看板メニューとはいえ、料亭でフグ懐石などを手掛けていた徳永さんは魚料理もお手のもの。

バツグンにのった脂は、みずみずしく上品。

じんわりと口の中でふくらむ旨み、確かな歯ごたえ。

そんなサバの味わいを浮き上がらせるようにからむ、濃すぎずほどよい塩梅のタレと白ごま。

後味はスッキリ。

シャープでエレガントな味わいのごまさばだ。

サイズの大きいサバならではの麗しい味わいを、タレ、白ごま、薬味とともに楽しむ。
福岡の「本気のごまさば」に、うっとり。

サバが凄いのに全体としてさりげなく、味付きのりの風味も援護射撃して、思わずもうひと口、もうひと口と食べてしまう。

ああ、幸せ……。

ここは福岡か天国でしょうか……。

ちなみに福岡の居酒屋における定番「酢もつ」も絶品!

2軒目は、日本橋の「博多ニューコマツ コレド室町テラス店」

続いては、日本橋へ。

福岡でイタリアンバル、洋風酒場、カフェ、バーなどを展開し、いずれも大人気の「COMATSU」グループが、2019年9月にオープンした「博多ニューコマツ コレド室町テラス店」も、「ごまさば」が人気メニュー。

コレド室町テラス地下1階にオープンした「博多ニューコマツ」。
ちょい飲みから、ディナーまでさまざまなシチュエーションで利用できるお店。
ドリンクのラインナップも豊富。
グラスを2段に重ねてシャンパンを注ぐ、「ひとりシャンパンタワー」(!)も。

博多の屋台文化を東京に合わせたという、カウンター席中心のおしゃれな店内の黒板には「博多長浜空輸直送 ゴマさば」の文字が躍る。

おすすめメニューはもちろん「ゴマさば」!
博多名物「鶏皮串」もぜひ。

「福岡市・長浜市場からベストコンディションのサバを仕入れています」とスタッフの相垣魁さん。

タレはもちろん、地元福岡の醤油をベースにして砂糖などをプラス、さらに白すりごまと白練りごまを使い、仕上げになんと黒ごまをトッピングという「トリプルごま使い」!

ゴマさば。
薬味は、かいわれ、みょうが、たまねぎ、のり。
かいわれとみょうがが全体をピリッと引き締める。

宮脇さんが「サバの身を見て。ここも角が立ってるでしょ」とニヤリ。

ワクワクしながら食べてみる。

おおっ。

サバのとろり、たっぷりした脂に甘めのタレ、白ごま、黒ごまがコクを添えて、きわめて濃厚、まろやか。

そして華やかな味わい!

とろけるサバに練りごま入りで、ちょいこってりしたタレが絡んで、こくまろな味わい。

わあ、焼酎に合いそう!

「そうです!福岡ですから、焼酎に合う味わいに仕上げています」と相垣さんがニッコリ。

では、ごまさばに合う焼酎をお願いします! 

……ということで出していただいたのは、鹿児島県佐藤酒造の芋焼酎「佐藤 黒」。

ごまさばに合う、とおすすめされた焼酎「佐藤 黒」。
石原裕次郎のような味わい、らしい……。

福岡の焼酎の飲み方は「ロック」が定番。

なおかつ、グラスになみなみ!!

「当たり前です」とグイグイ焼酎ロックを飲み続ける宮脇さん。

「福岡は、酒を飲むの好きで、陽気な人たちがほとんどだからね」

博多ニューコマツオリジナルグラスに、
焼酎なみなみ……。

なみなみ焼酎ロックをグイッ、ごまさばをパクリ。

わっ。

ヤバい……。

こくまろなごまさばと、クールに冷えた力強く甘みのある芋焼酎の相性は、劇的に合う(涙)。 

ここは間違いなく、焼酎お湯割りではなくて、ロックの出番。

たまらん! 

焼酎ぐびぐび。

東京ごまさばホッピング、3軒目は内幸町の「HAKATA MEGUSTA 日ゞ小路店」

焼酎ロックで、ほぼほぼ……いい気分のジェンヌさん。

おそらく焼酎ロック10杯目くらいの宮脇ごまさ番長(顔色変わらず)の「次は、立ち飲みでごまさば!」の指令で、内幸町へ移動。

向かったのは2020年2月、「日比谷国際ビル」地下2階の「日ゞ小路」にオープンした「HAKATA MEGUSTA(博多メグスタ)日ゞ小路店」。

「HAKATA MEGUSTA日ゞ小路店」。
九州と東京の下町をテーマにした店舗が集結した飲食街「日ゞ小路」のなかで、
ひときわ目立つ「にわか面」の暖簾が目印。店内はコの字カウンターの立ち飲み。

福岡市内において、立ち飲み店舗「MEGUSTA」ブランドで4店舗を展開するシンキングフォーが初めて、東京に出店。

MEGUSTAは、女性でも入りやすいおしゃれで美味しい「ネオ立ち飲み」として、福岡で大人気を博している。

MEGUSTAはそもそも、サバつまみが人気。

日ゞ小路店でも、福岡で大人気の「鯖スモーク」を提供。

MEGUSTA自慢の「鯖スモーク」。
サバにブラックペッパーとマスタードを塗り、熱燻で仕上げる。
凝縮した旨み、でも軽やかな味わいで、お酒が進む!!
お値段なんと190円(涙)!

ランチではサバサンドも提供。

サバサンド発祥の地・福岡のレベルの高さを実感する激ウマサバサンドは、毎日完売御礼だ。

「サバサンド」。
ランチで限定20食販売。こんがりとオーブンで焼いた塩サバを、たまねぎ、レタス、トマト、レモンとともに粒マスタード、ガラムマサラを混ぜたマヨネーズを塗ったパンにはさむ。ホックリ焼きあがったサバと野菜、パンの一体感がすばらしい!! 寿司の「ネタとシャリの一体感」レベル! サバサンドの醍醐味を満喫して! 

そんなMEGUSTAの「胡麻鯖」も、福岡はじめ九州から厳選したサバを使用。

こちらでも福岡「ジョーキュー醤油」を使用。

白ごま、みりん、酒を加えたタレであえる。

こだわりは「サバを小さめにカットすること」。

「サバを薬味といっしょに食べていただきたいんです」と店長の片倉拓也さん。

あえて、部位ごとに大きさ、厚みも変えて切ってあるサバと、「たまねぎ、ネギ、大葉、のりと全部わーっと混ぜて食べるのがおすすめです」。

胡麻鯖。
そして、ごまさばといっしょに盛りつけられた「サバのなめろう」も絶品! サバと大葉、ネギ、しょうが、ニンニク、コチジャンと豆板醤、味噌を合わせてたたいて仕上げる。サバは骨のまわりの身や、血合いの部分も入れ込んでいる。驚くほど、がっつりパンチのある味わい!!!

プリッとジューシーなサバとたまねぎの甘み、ピリッとしたネギ、さわやかな大葉、香ばしいのり……。

そこに白ごまがピタッと接着剤になって、口の中で見事な「サバオーケストラ」を奏でるような味わいに! 

そしてお酒がすすむ(涙)。

小さめカットでも、むっちりてりてりとろり感全開のサバ。
薬味としっかりまぜまぜして召し上がれ。

合わせたのは福岡県久留米市・紅乙女酒造の「ごまさば専用ごま焼酎」。

なんと、ごまさばとのマリアージュを考えて誕生した焼酎だ。

ごまさばと、ごま焼酎。

そりゃあ、もう最高でしょう!

紅乙女酒造の「ごまさば専用ごま焼酎」。
アルコール度数は14度。
冷やしてそのまま飲むのがおすすめ。

「豚足のガレット風」もおすすめ!!
「サクサクでねっとりプルプル」ってミラクル!

「ほかのお客さんとも仲良くなれるのが立ち飲みの魅力」と、角打ち発祥の地でもある北九州出身の宮脇さん。

福岡の屋台でも気さくな福岡人とお話できるのが確かに楽しい。

こちらも福岡出身のスタッフたち、お隣に居合わせたお客さんと「楽しいスタンディングごまさば飲み」ができるのも楽しい!

いやいや、東京ごまさばホッピング、最高に美味しくて楽しすぎる! 

ぜひ、「東京にある福岡のお店」でごまさばを。

「間違いない」味わいを楽しんで! 

そして、まだまだほかにもごまさばの美味しいお店が、東京にはたくさんありますばい!

★徳
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13213204/

★博多ニューコマツ
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13239101/

★HAKATA MEGUSTA日ゞ小路店
http://hibikoji.jp/shop/shop8/

■東京にある福岡のお店に行こう
https://www.facebook.com/groups/197738514781703//

池田陽子(いけだ ようこ)
サバファンの集い「鯖ナイト」や、日本中のサバ好きが集まる「鯖サミット」などの活動を担う「全さば連(全日本さば連合会)」広報担当/サバジェンヌとして活躍。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)、『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)、『春夏秋冬ゆる薬膳。』(扶桑社)、「ゆる薬膳。」はじめたらするっと5kgヤセました!(青春出版社)、『サバが好き!』(山と渓谷社)など。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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池田 陽子
池田 陽子

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