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2種の海苔の風味・個性が極まれり

『山本山 ふじヱ茶房』@日本橋の 「海苔重-鮭-」

1600円

海苔が主役の弁当である。

ご飯を敷き詰め、口溶け柔らかな「あさくさ」海苔をのせる。風味を際立たせるため、味付けは奥深い味の自家製醤油ダレのみというのが潔い。

上段にも海苔をのせ、その上にさらに通常より香りの濃いバラ干し海苔をのせるのが真骨頂。香り、食感の異なる2種を使うことでシンプルな中に複雑な妙味を生み出すのだ。

脇を固めるおかずも、また見事。脂ののった甘塩の銀サケをはじめ、味の染みた野菜の炊き合わせ、焼き明太子、だし巻き玉子など、海苔とご飯を美味しく味わえるよう計算され尽くした内容に感動。

食べ終えた後の海苔の香りの余韻も素晴らしく、贅沢な気分に浸れる。
※2021年3月末まで販売の予定

[住所]東京都中央区日本橋2ー5ー1 日本橋髙島屋三井ビルディング1階
[電話]03ー3271ー3273
[営業時間]10時半~18時(17時LO)
※テイクアウト弁当の販売は11時〜。無くなり次第終了
[休日]不定休
[交通]地下鉄銀座線ほか日本橋駅B4出口から徒歩1分

粋な仕掛けの“新・海苔弁”に心躍る

『HIGASHIYA GINZA』@銀座の 「海苔弁」

1944円

海苔と玉子焼。黒と黄の二色で構成された、これ以上はないシンプルな見た目の弁当に驚かされる。だが、ここからがドラマの始まりだ。

ご飯をひと口食べると、有明海産の海苔の香りと共に、塩加減が抜群のサケの旨みが口中に広がる。食べ進むと、今度はアサリの佃煮が出現。そう、海苔の下に6種類の具材が潜み、新しい味に出合うたび、三分づき玄米との味のハーモニーを楽しめるという粋な趣向なのだ。

玉子焼は江戸前の甘辛いだし巻きで、すこぶる美味。この下にもまた、ニンジンやシイタケの上品な炊き物が隠されている。五感が刺激され、食べる悦びをしみじみ感じる海苔弁、ぜひご賞味あれ。

[住所]東京都中央区銀座1ー7ー7 ポーラ銀座ビル2階
[電話]03ー3538ー3230
[営業時間]11時~19時
[定休日]無休
※海苔弁は5日前までに要予約(数量限定で店頭販売分も用意。『HIGASHIYA man 丸の内』でも予約可)
[交通]地下鉄有楽町線銀座一丁目駅7番出口から徒歩すぐ

魚の旨さが際立つ“呑める海苔弁”

『根津松本』@根津の 「のり弁当」

2916円

極上の魚を扱うことで知られる魚屋『根津松本』が手掛ける「のり弁当」は、まさに魚の旨さが群を抜く

本紅鮭の塩焼きは、脂ののり、塩加減、ホロリと崩れる引き締まった身の旨さ、すべてが完璧。銀だらの西京揚げは、揚げることで旨みを余すところなく閉じ込め、なんともジューシーな味わいだ。

ボリューム感のあるちくわの磯辺揚げ、芝エビ入りのカステラ玉子焼きもほれぼれする出来栄え。

米は冷めても美味しい会津産の白虎米、海苔は磯の香りが心地良い、老舗『丸山海苔店』の「こんとび」を使用。魚を筆頭に旨いおかずで一杯やり、ちりめん山椒や漬物で海苔とご飯をいただく。そんな食べ方も、また一興。

[住所]東京都文京区根津1ー26ー5
[電話]03ー5913ー7353
[営業時間]11時~19時
(電話予約は11時から受け付け。弁当は前日の17時までに要予約)
[休日]日・月
[交通]地下鉄千代田線根津駅2番出口から徒歩6分

究極の海苔弁当を探した結果、どれもキャラのたったお弁当に出合えた。海苔、海苔の下に潜む具材、魚、それぞれの店が持ち味を発揮して作る海苔弁に感動した。

たかが海苔弁、されど海苔弁、究極の海苔弁は新たな海苔弁の方向性として、今後より増えていくのではないだろうか。

撮影/小島 昇 取材/松田有美
※お店の情報は2021年4月号発売時点の情報です。店舗の営業時間等の情報は、状況に応じて変更になる場合があります。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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