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“主役”チーズアイスは特注のフロマージュブランが要

アイスに、ケーキ、マドレーヌ、そのすべてがチーズ、チーズ、チーズ! 白金高輪に2021年6月18日にオープンした『CASA DE GAZTA(カーサ デ ガスタ)』は、チーズスイーツ専門店

『CASA DE GAZTA』

数あるチーズスイーツで中心となるのが「チーズアイス」

スペイン・バスク地方の港町・ゲタリアで魚の美味しいレストランとして名高い『エルカノ』の締めのデザートとして提供されるメニューだ。現地で食べて感動した戸谷尚弘シェフは、現地シェフに美味しさの秘訣を直撃。そのまま厨房へ招き入れられ、製法を教えていただいたという。

バスク地方のゲタリアにあるレストラン『エルカノ』

喜び勇んで、いざ日本で作ろうとするも、チーズアイスを再現するチーズが日本で見つからず。いろいろ取り寄せて作ってみても何かが足りない……。模索する中で出合ったのが、丸の内の人気ブラッスリー『VIRON』の代表・西川氏が営む「美瑛放牧酪農場」

「美瑛放牧酪農場」

牛が牛らしく健康に過ごせるよう広大な放牧地には、ジャージー牛、ホルスタイン、モンベリアード、ブラウンスイスの4種類の牛がのびのびと育っている。

ここでチーズアイス用の特別な「フロマージュブラン」の開発に着手。手掛けたのは、フランスで2年間チーズ留学をするなど、10年以上チーズの世界に携わるスペシャリスト・小熊章子さん。

美瑛放牧酪農場の加工責任者・小熊章子さん(写真右)。その隣にいるのが戸谷シェフ

戸谷シェフがゲタリアのチーズのニュアンスを伝えては試作、伝えては試作を何十回も重ねて理想の「フロマージュブラン」が完成。菌の配合、温度、時間に気を配りながらひとつひとつ手造り。乳味があってみずみずしいものに仕上げている。

フロマージュブランを作る小熊さん

儚く消えゆく口溶けの良さに衝撃!

美瑛から直送されるフロマージュブランを元に作られるチーズアイスは、『エルカノ』のある場所から「ゲタリアイス」と名付けられた。

「ゲタリアイス」800円(テイクアウト750円)

できたてで提供される「ゲタリアイス」。見た目からして溶けるのが早そうなので、サッと撮影を終えてすぐさま実食。

口に入れるやいなやスッと溶けていく。ミルキッシュなフロマージュブランから鮮度の高さが伺える。

そして、ひと口食べたときにはたと気づく。ホーローでコーティングされたスプーンが、専用と勘違いするほどに相性バツグンだということを。アイスにスプーンを入れると吸い寄せるようにスッとすくえて、口当たりがすごくいい。そのあとは前述の通り。

土台にはイチゴソースが敷かれている。絡めて食べればイチゴの酸味とチーズの酸味が合わさって、味に奥行きを持たせる。ソースと合わせることで、単なるアイスではなくチーズスイーツとして成立するのがよくわかった。

食べるときに合わせてほしいのが、紅茶(700円〜)。チーズの余韻を残しつつ、口中をサッパリとさせてくれるのでおすすめだ。

「ゲタリアイス」はテイクアウトも可能。ゲタリアにある赤い船をモチーフとした赤いカップに入れてくれるのだが、これからの季節、なんせ溶けるのが早い。入り口脇にあるテーブルか店の正面にある近くの公園で食べることが前提になりそうだ。

第2のバスクチーズケーキは「とろける」旨さ

『CASA DE GAZTA』が第2のバスクチーズケーキとして期待しているのが、イートイン限定で提供される「カーサ デ フォンデュ」

バスクのレストラン『スベロア』で出されているチーズケーキからインスパイアを受けた一品で、こちらも美瑛放牧酪農場でこのメニュー用に作られたフロマージュブランを使用。ゲタリアイスのものより、チーズらしい濃厚なコクと風味を意識している

「カーサ デ フォンデュ」900円

フォークを入れるとふにゃっと崩れるくらいとろっとろなチーズケーキは、極限まで薄いタルトのザクッとした食感とのコントラストが秀逸。

オーブンで焦げ目がつく程度に焼いていて、液体と固体のギリギリをつく焼き加減が絶妙。チーズの風味からして洋酒に合わせたくなる、大人のチーズケーキだ。

手土産に最適! パクっといけるチーズマドレーヌ

チーズスイーツ専門店を謳うからには、手土産として買えるものもほしいところ。かわいい魚を象った「バスクレーヌ」という名のチーズマドレーヌがその役割を担っている。

「バスクレーヌ」1個380円

モチーフになっているのは、チーズアイスで登場したレストラン『エルカノ』の名物料理「イシガレイの炭火焼」。お店・料理に敬意を表して、オリジナルでイシガレイの金型を作る力の入れよう。

『エルカノ』の名物料理「イシガレイの炭火焼」


イシガレイの金型

こちらは、ヨーロッパの厳選したチーズを使用。深いコクと風味を与えている。噛むとほのかにサックリと歯が入ったのち、ふんわりしっとりした食感が訪れる。外と中のコントラストが素晴らしい。

マドレーヌは得てして重たくなりがちだが、これは軽い。パクパクっと食べる手が止まらないので、うっかり食べすぎてしまわないよう要注意。

中の気泡からも軽さがわかるだろう

持ち帰り用のボックスは6個入、12個入を用意。店内では1個から食べることができる。

ほかにも、「チーズショートケーキ」や、クッキー生地にチーズクリームを挟む「チーズサンド」、「チーズミルクレープ」といったスイーツもラインナップ。このあたりのメニューはその日その日で違うので、行ってからのお楽しみ。

船内を思わせる店内。天井は竜骨をイメージしている。イートインはカウンター席のみ

“日本のバスク”白金高輪でバスクグルメ巡りもできる

ちなみに、すぐ近くにある『GAZTA』はバスクチーズケーキを全国に広めるきっかけを作った“先駆け的存在”。こちらのバスクチーズケーキを食べて、ローソンがヒット商品「バスチー」を思いついたという逸話があるのだから間違いない。

すべてのはじまりは、シェフの戸谷尚弘さんがスペイン・バスク地方の「サンセバスチャン」にあるバル『La Vina(ラ・ヴィーニャ)』で食べたチーズケーキに惚れ込んだことから。

「この味を学びたい」という一心でシェフに何度も働きかけた結果、家族・親類のみしか入れない厨房に入ることが許されるだけでなく、製法を継承された

『GAZTA』の「バスクチーズケーキ」1個760円

現地の味を日本でも伝えたい。その思いをのせたチーズケーキは、バスク語でチーズの意味を持つ『GAZTA』と名付けたお店で販売。行列ができるほどの人気を集めるだけでなく、全国的に知名度も広まり、あっという間に日本人のハートを鷲掴みにした。

しかし、バスク愛にあふれる戸谷シェフはそこで立ち止まらなかった。現地の焼菓子「ガトーバスク」がいただける『メゾン・ダーニ』、挽き肉料理の「アショア」や定番のタパス「トルティージャ」などがオールタイムで楽しめる『バスクバルHIKIXOU』で、バスクのスイーツや料理の魅力を発信。

これらの店が並ぶ白金高輪は、今や日本のバスクと化している。『CASA DE GAZTA』へ行ったら、他の店も巡って“バスクツアー”を楽しんでみては。

■CASA DE GAZTA
[住所]東京都港区白金1-14-3 1階
[電話番号]03-3473-7495
[営業時間]9時〜19時
[休み]無休
[交通]

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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