■黒木 純/くろぎ じゅん
3年の時を経て、あの衝撃作が映画館に帰ってくる!
2021年8月20日に公開される『孤狼の血 LEVEL2』は、2018年に公開された『孤狼の血』の続編。広島の架空都市・呉原を舞台に、暴力団と警察の灼熱の攻防戦を描いた本作は、R15+指定のバイオレンスな描写ながら大ヒットを記録。
また、緻密なストーリーと豪華俳優陣による熱い魂のぶつかり合いで映画関係者を唸らせ、第42回日本アカデミー賞最優秀4部門を含む最多の12部門の優秀賞ほか、30を超える映画賞を受賞した。
あれから3年。主要スタッフが再集結。主演の松坂桃李をはじめとする前作の続投組に、鈴木亮平、村上虹郎、西野七瀬といった今をときめく俳優が参戦し、話題を集めている。
大好きな白石和彌監督作品への出演。されど広島弁に大苦戦!
そんな超話題作に黒木さんが出演。中村梅雀さんとの麻雀のシーンに登場する。テレビ番組『アイアンシェフ』をはじめ、テレビ番組には多数出演してきたが、今回は映画。なぜ出演することになったのだろうか。
「懇意にさせていただいている広島のお客様からお声がけいただいたのがきっかけです。
『孤狼の血』はもちろん『日本で一番悪い奴ら』など、白石和彌監督の作品が大好きで何度も拝見していました。人間臭さといいますか、独自の人物描写が素晴らしいです。
テレビ番組もそうですが、映画は一生残ります。しかもこんなにも有名な映画に出演させていただける。こんな光栄なお話はない! と出演を決めました」
はじめての役者挑戦が、大好きな作品の続編。「僕なんてエキストラですから」と謙遜するが、それは相当なプレッシャーだったのでは?
「実は撮影に入る前に撮影現場を見させていただきました。主に松坂桃李さんと中村獅童さんが絡むシーンを拝見しまして、ひとつはふたりがもみ合いになるシーン。もうひとつは暗い駐車場で深刻な会話を行うシーンでした。
駐車場のシーンでは、おふたりの真後ろで物音を立てないようにしゃがみこんで隠れて見ていました。全テイクを監督さんよりも近い距離で見させていただき、スタッフのみなさんには非常に感謝しています。
ただ、現場そのままの雰囲気で撮影に臨んだことで、より緊張しましたけど(笑)」
今回登場したシーンの撮影時間は約1時間だったそう。その中で最も苦労したのはどこだったのだろうか。
「それはもう広島弁ですね。私は宮崎県出身で西の人間ではありますが、広島弁のイントネーションはまた違うんです。
ご指導いただきながらずっと練習していたのに、本番では意識しすぎて却って違うイントネーションになり、結局3テイクも撮っていただいてしまいました。エキストラで2回NGを出す人なんていないと思うんですよね……難しかったです」
場所は違えど相手を喜ばせるために必要な“演じる”こと
そんな苦労を重ねて撮り終えた、はじめての映画出演。俳優業を通して、料理人・黒木純にもたらす影響はあったのだろうか。
「料理もお店も常に真剣勝負。料理人として心がけているのは、お客様に喜んでいただける100%の料理を出すこと。そこに我を出した料理は単なる自己満足であって、美味しくもなんともないと思っています。
お客様にウケるためにどうすればいいか。常にそう考えているのは、役者さんも同じではないでしょうか。カウンターの中で相手に喜んでいただく料理を作って提供する料理人を“演じてる”という意味では、役者さんと一緒なのかもしれません。
今回撮影に参加させていただいて、何事も真剣勝負には通ずることがあると、勉強させていただきました」
カウンターの向こうで調理する料理人の所作から完成まで、その一挙手一投足に目が奪われ、できあがった料理に舌鼓を打つ。「カウンターが舞台」という料理人さんがいるが、黒木さんと同じ思いで板場に立っている方は多いだろう。
イチファンとして言いたい『孤狼の血』の魅力
冒頭で話してくださったように、もともと黒木さんは『孤狼の血』のファン。ズバリその魅力を聞いてみた。
「どのヤクザ映画よりも、泥臭さというかリアリティを感じます。コンプライアンスが叫ばれる中規制がかかり、最近のバイオレンス系の映画は少しゆるい印象がありましたが、『孤狼の血』は徹底的にやりましたよね。
ビジュアルだけでなく、人の汚さのような精神的な部分も表現されているのが面白いですし、何が正義で正義じゃないのか、ホントの人間の正義感とは何かを考えさせてくれたのが1作目でした。
全編広島で撮影されていることで独特の雰囲気がありますし、地方に特化したヤクザ映画もあまりないじゃないですか。現代の『仁義なき戦い』という感じがしましたね」
続けて、今回出演された『孤狼の血 LEVEL2』の見どころについても伺った。そこではある登場人物への熱い思いが聞けた。
「1作目で役所広司さんが演じられた大上刑事が信じた正義、マインドを受け継いだ松坂桃李さん演じる日岡は前作から変わらず大好きです。そこに最強の敵が現れるという、続編として非常に美しいストーリーに引き寄せられました。
展開が早いので2時間強の時間があっという間。人は裏切ったり裏切られたり、そういう中で関係性が成り立っていて、決してうまくいかないんだというのを、作品を見て感じていただきたいです。
印象的だったのが、鈴木亮平さん演じる上林が寺島進さん演じる角谷に対してあることを行うシーン。あれは衝撃的でしたね。あぁ、もう徹底的にやるんだな上林は、というのをすごく感じました。
上林でいうと、冒頭の出所前のシーンもすごくいい。入れ墨の入った背中を向けてサッとジャケットを羽織る瞬間は、ゾクゾクっとしました。上林が出所したら世界がめちゃくちゃになる、そんな雰囲気を背中で出せるのだからしびれます。ここから何かが起きるという怖さが伝わってきましたね」
と、上林に対して相当な熱量で話していた黒木さん。「もしご自身が作中のメインキャラクターを演じられるとなったら誰を選びますか?」という質問に「そんなことはあり得ないですが」と戸惑いながら「上林」と答えてくださった。
「あんなに悪いヤクザは見たことがない。見ていてちょっと恐怖を覚えたほどです。クランクアップ後に鈴木亮平さんがお店にお越しくださったのですが、そのギャップにビックリ。一流の役者さんはホントにすごいなと思いましたね」
オリジナルムビチケから見えた白石監督のこだわり
今回の出演にあたり、黒木さん仕様のムビチケ(ネットで座席指定可能なデジタル映画鑑賞券)を特別に制作。ご自身が登場したシーンがプリントされている。それがくわえタバコをしている写真なのだが、このくわえタバコが相当大変だったそう。
「雀荘ですから『室内をモクモクにさせてほしい』という要望がありました。そのために、撮影中にタバコを15本も吸いました。料理人がくわえタバコで麻雀を打つという非日常の世界を体験できたのはいい思い出です」
出演シーンはわずか30秒。そこにここまでの情熱を注ぐ。期せずして白石監督の細かいディテールのこだわりぶりが伺えた。
さて、このムビチケは1000枚作られ、お店からのお中元に忍ばしたり、いらっしゃったお客さんに配っているといつのまにやら残りわずかに。そのため、お店へ来たらもらえる! とも書けない状況になっている。
「映画鑑賞後はぜひ『くろぎ』に食べに来てください!」とおっしゃっていただきましたが、お店は予約のみの対応。すでに先々まで予約で埋まっていて、お店には伺うのは至難の業となっている。
『孤狼の血 LEVEL2』鑑賞者にまさかの特典!?
ということで、本記事の読者には、上野「上野PARCO_ya」内にある甘味処『廚(くりや) otona くろぎ』をおすすめしたい。こちらは黒木さんがプロデュースするかき氷やパフェがいただけるお店。
しかも、施設の7〜10階にはシネコン「TOHOシネマズ上野」がある。『孤狼の血 LEVEL2』鑑賞後、そのまま甘味を楽しむということができるわけだ。そこで、黒木さんが本記事を読んだ読者のためにご提案くださった。
「『廚 otona くろぎ』に、『TOHOシネマズ上野』の『孤狼の血 LEVEL2』の半券を持ってきてくださったお客様には、トッピングを1品無料となります!(1枚の半券につき、1名1回限り)」
これはうれしい! 『孤狼の血 LEVEL2』で火照った体を『廚 otona くろぎ』のかき氷でクールダウンしてはいかがだろうか。
■『くろぎ』
[電話番号]03-6452-9039
[営業時間]12時〜14時半、17時〜23時※完全予約制
[休日]日、ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始
[交通]都営浅草線ほか大門駅A6出口から徒歩2分
■廚 otona くろぎ
[電話番号]03-6284-2796
[営業時間]10時〜20時(19時LO)、金・土10時〜22時(21時LO)
[休日]施設に準ずる
[交通]JR山手線ほか御徒町駅から徒歩2分
撮影/石井明和(黒木 純)
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