辛いけど旨いモノって、ついついクセになって、あぁどうにも止まらない!そんな、ピリリと刺激的な“旨辛”メニューをどどーんとご紹介する本企画。読むだけで、滝汗!
画像ギャラリー『味坊鉄鍋荘』@湯島
・水煮魚(白身魚のとうがらし煮込み)(1480円/1名、2人前~)
辛さレベル 2
白身魚はアブラメやソイなど(写真は鯛)。青森県の日本海側の漁師鶴田さんから届く
香りよく抜ける辛さと痺れが心地いい!
各テーブルにビルトインされた大きな鉄鍋。
クツクツいうその鍋をみんなで突く、中国東北地方の料理を堪能できるのがここ『味坊鉄鍋荘』だ。
今回選んだのがこれ、「水煮魚」。く~、湯気と一緒に立ち昇ってくる香りがすでに辛い。けど何ともそそられる。
散りばめられた唐辛子に花椒、ニンニクや生姜、八角などのスパイスで香りづけられた油に、鶏の白湯ダシの旨みが加わったスープ。
その中にディープフライされた白身魚がど~んと丸1尾。
表面がカリッとした魚の身質はほわりと柔らか、そこにややオイリーな旨辛さや痺れが刺激的に絡み、爽やかな香りが鼻に抜ける。セロリやきゅうり、キクラゲ、しめじなど、ともに煮込まれた具もとろりと旨みを出してこれもたまらん。
ここにぴったり合う自然派のワインもあり。いやあ、幸せ!
『味坊鉄鍋荘』
落ち着いた店内。予約制でゆっくり楽しめる
[電話]03-5826-4945
[営業時間]17時~23時
[休日]無休(不定休あり)
[交通]地下鉄千代田線湯島駅6番出口から徒歩3分
『牧谿』@市ヶ谷
・鯖レモングラスバナナリーフ(800円)
辛さレベル 3
生とドライの2種類の赤唐辛子を使ったシャープな辛さ。中国・雲南風の料理をバナナリーフに包んでインドテイストに
インドと中国少数民族 どっちもありのいいとこどり
バナナの葉を開くと、食欲をそそるレモングラスや生姜の香りの鯖が現れ、食べれば唐辛子のシャープな辛みが舌を刺激する。
カレーは烏龍茶で煮た豚肉と中国のスパイスでほんのりスモーキー。
白味噌の甘さが引き立つ麻婆は、ミントや花椒で爽快かつ最後にピリっと辛みが走る。
これはインドかはたまた中国か?そのどっちでもあり、どっちでもない。
南インド料理とマニアックな中国郷土料理の両方を学んだ店主の水野さんは、その知識をベースにスパイスを駆使する。
しかも合わせる酒が日本酒という絶妙なる意外性。初めて出合うのになぜか親しみがもてるこの味は、なんだかとってもクセになりそう。
・羊レモングラス麻婆(900円)
辛さレベル 3
とあるインドネシア料理にヒントを得たという、甘酸っぱくて爽やかに辛い不思議なテイストにハマる人続出
・ウーロン豚咖喱(800円)
辛さレベル 2
烏龍茶で煮た豚肉がさっぱりしている
『牧谿』
意外にも純和風の佇まい
[電話]090-9182-1144
[営業時間]18時~22時LO
[休日]日・月
[交通]JR総武線ほか市ケ谷駅から徒歩12分
『東洋食堂 百』@北参道
・辛い真っ赤なクッパ(1100円)
辛さレベル 2
粉唐辛子で真っ赤だが見た目ほどは辛くなく野菜たっぷり。ヘルシーな五穀米ご飯にかけて
辛くとも野菜たっぷりで夏の疲れた胃に優しい
真っ赤なクッパをひと口飲むと、まずはまろやかな旨みが広がり後から唐辛子の香りと辛さがジワッと広がる。
辛いけれど、これは体の中から温めてくれる癒しのスープ。暑さで食欲が落ちた時にも体にストンと入ってくれそうだ。
「韓国料理は辛いものも多いですが、それだけでなく体にも優しいんです」と店主の横山さん。
できるだけたくさん野菜が摂れる工夫も怠らないという。
でももっと目が覚めるような辛さが欲しい~という人は夏限定の「ビビン冷麺」をぜひ!
ヒリヒリする唐辛子の辛さに思わず汗が噴き出す。
暑い季節にダレた体をシャキッとさせる唐辛子使いは、食で健康を保つ韓国料理におまかせだ。
・テジプルコギ(1430円 ※ディナー)
辛さレベル 2
甘辛い自家製ヤンニョムで和えた豚肉を焼き、みずみずしい野菜で巻いて食べる。上に乗った青唐辛子を加えると激辛に
・ビビン冷麺(1280円)
辛さレベル 3
韓国でも夏の風物詩という辛い和え麺は夏限定メニュー
『東洋食堂 百』
落ち着いた雰囲気で寛げる
[電話]03-3796-2428
[営業時間]11時半~14時半LO(※土はランチなし)、18時~翌1時半(24時半LO)※来店時に電話で要確認
[休日]日・祝は要問合せ
[交通]地下鉄副都心線北参道駅から徒歩7分、JR総武線千駄ヶ谷駅から徒歩8分
『中國菜 四川 雲蓉』@吉祥寺
・楽山鉢鉢鶏(四川楽山名物ボーボーヂー)(5000円)
辛さレベル 1.5
鶏肉はやさしくボイルされ、モモ、ムネ、砂肝、ハツなど各部位が入る。レンコン、キクラゲ、ネマガリダケ、空芯菜など10種類ほどの野菜も美味しい
真紅のラー油と鶏スープが奏でる香り高い旨さ
大きな鉢皿に湛えられた真っ赤なスープに、細長い串に刺さった鶏肉や野菜がいくつも横たわる。
シェフの北村和人さんも現地に行くと必ず食すという、四川・楽山名物の鉢鉢鶏だ。
香辛料と香味野菜で炊かれた鶏のスープに香り高いラー油。
自家製のラー油は四川の4種の唐辛子をはじめ、18種のスパイスと9つの香味野菜が使われている。
串には福島・川俣シャモの様々な部位、そして地元三鷹の野菜もたくさん。
なんだろう、透き通るような深い辛さと香りのよさをまとい、鶏肉も野菜も滋味鮮やかにきれいに美味しい。
他の皿も然り。幾重にも重なる香りや味わいに、四川って旨い!と目覚めること必至だ。
・陳麻婆豆腐(1800円)
辛さレベル 1.5
毎年2回現地を訪れて食材も入手、シェフ曰く「四川の魂」という豆板醤も自ら仕込む。味の深さが違う逸品
・豚豆とレバーと新生姜 四川ピクルスの黒酢炒め(1600円)
乳酸発酵の酸味も心地よいやさしい味わいだ
[電話]0422-27-5988
[営業時間]11時半〜14時半、18時〜22時
[休日]火・水
[交通]JR中央線ほか吉祥寺駅北口から徒歩6分
『ソムタム ダー 虎ノ門』@虎ノ門
・タムタイカイケム(1298円)
辛さレベル 3.5
数種類あるパパイヤサラダの中では食べやすいというのがこの塩卵入り。唐辛子はリクエストで好きなだけ増量できる
タイ東北部イサーン地方の本物の辛さを東京で体験
ひ~辛い!今回の辛いもの企画でも群を抜いて辛かったのがこの青パパイヤのサラダ「タムタイカイケム」。
それもそのはず、青パパイヤのサラダは、タイ料理の中でも激辛で知られるイサーン地方の名物なのだ。
「ソムタム」といえばタイ料理好きなら分かるだろうか?
『ソムタム ダー』はイサーン出身のシェフとオーナーが、本当のイサーン料理を知って欲しいと始めたレストラン。
バンコクでも大人気で、この度ウワサの虎ノ門横丁にオープンした。
辛み・酸味・甘みのバンコク料理から甘みを除いたのがイサーン料理というが、甘みの代わりに発酵の旨みが加わるから激辛でもグルメも納得の美味しさだ。
奥から、
・シンハー生ビール(770円)
・ナムトックムー(1320円)辛さレベル 2
細切り豚肉のスパイス、ハーブ和え。日本では珍しいシンハーの生ビールと一緒に
・カオパット ゲーンキ アオワーンガイ(1375円)
辛さレベル 1
グリーンカレーを使ったチャーハン。伝統料理ではなく、タイのカフェなどから広まった今どきのタイ料理だ
[電話]03-6550-9667
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~22時(21時20分LO)
[休日]無休
[交通]地下鉄日比谷線虎ノ門ヒルズ駅直結
『SION』@広尾
・SION薬膳火鍋(3000円/1人前 ※写真は2人前)
辛さレベル 2
鎌倉野菜はシャキリとして味が濃い。食感最高な生キクラゲはシェフのお父様が育てたものだ
体に染みるヘルシーさが心地いい ザ・旨辛!
色合いも鮮やかでみずみずしい野菜は、契約農家から届く有機の鎌倉野菜。
そこにシェフの故郷鹿児島の食材も加わり、肉は鹿児島県産黒豚とラム肉。
そして迎え撃つ薬膳麻辣スープは、鰹節ベースに鶏白湯がブレンドされ、
発酵により旨みを増した2種の唐辛子をはじめ、数種の香辛料が入る。
しゃぶっとやれば何とも清々しく、ヘルシーな火鍋だ。コクと素材の旨みが立ち、辛過ぎず香りがいい。
黒豚や羊肉をじわりと噛みしめつつ、生キクラゲや野菜の味わいも満喫を。
中華の名店と日本料理で腕を磨いたシェフが繰り出す料理は、いずれも味がクリアでイキイキ。
旨辛のバランスが絶妙な麻婆豆腐や担々麺もご一緒に。
・SION特製麻婆豆腐(1200円)
辛さレベル 1.5
染みるように心地いい痺れと辛さ。ぐつぐつで提供
・こだわり濃厚胡麻スープと鎌倉野菜の担担麺(1300円)
辛さレベル 1.5
かえしや胡麻ソースも手作り。香り高い肉味噌に細麺が絡み、グリルした鎌倉野菜もうれしい。締めに白飯も◎
[電話]03-6427-6099
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時~24時(23時LO)
[休日]水
[交通]地下鉄日比谷線広尾駅4番出口から徒歩10分
『アフリカ大陸』@吉祥寺
・アベンクワン(1500円 ※要予約)
辛さレベル 3
パームナッツの実を使った西アフリカ・ガーナの辛いスープ。羊やカニ入り。中央にあるお餅のような食感の主食フフと一緒に
アフリカの未知なる辛い味覚はガーナのスープ
「『アベンクワン』をアフリカで初めて食べた時、あまりの辛さに倒れそうで思わず柱をガッと掴んだのよ。わっはっは」と豪快に話すのは店主のミホさん。
その思い出の味よりは随分マイルドにしたが、この店イチ辛い料理と言えばこれだという。
グリーンチリやハバネロなど数種類の唐辛子を加え、とろみをつけたスープは、羊やカニ、クレイフィッシュ(ざりがに)のパウダーなど様々な具が入り、ひと口目は優しく感じるが、やがて辛さが押し寄せてくる。
他にもナイジェリアの唐辛子を使った「ペペスープ」など、ここには初めて出合うアフリカ料理がいっぱい。
そんな辛いアフリカ料理は甘酸っぱいヤシ酒と共に。
奥から、
・ヤシ酒(900円)
・ペペスープ(800円)辛さレベル 2
ナイジェリアの代表的な辛いスープは皮付きのヤギ肉や牛の内臓入り。意外にもさっぱり
・スイヤ(800円)
辛さレベル 2
牛肉と玉ネギの串焼きはガーナの屋台料理。辛いペーストをつけて
[電話]0422-49-7302
[営業時間]17時~24時(23時LO)
[休日]月・木・金
[交通]JR中央線ほか吉祥寺駅南口から徒歩7分
『源来酒家』@神保町
・麻婆カレー麺(大辛)(1100円 ※ランチ1050円)
辛さレベル 1.5
味わいのベースは、しっかりとった無化調のスープ
辛さと痺れ・スパイシーさ ナイスコンビネーション!
麻婆豆腐の肉味噌の辛さを、カレーのスパイシーな香りがほどよく追う。
もっちりとした麺に絡むとよりカレー感を感じ、今度はすかさずレンゲで麻婆豆腐をすくう。
ふ~、ナイスなコンビネーション。
4種の豆板醤をブレンドし、自家製の甜麺醤を使う麻婆には隠し味に白味噌も。
「激辛過ぎず、旨みも大事に」(店主・傅さん)の言葉通り、奥行きのある旨辛が人気の秘密だ。
・天使の海老のスパイシー揚げ(4200円)
辛さレベル 1
香りも旨みも抜群の天使の海老。山椒や麻辣醤も利いてカラッとスパイシー。ビールが欲しくなる!
『源来酒家』
店は5階まである
[電話]03-3263-0331
[営業時間]11時~22時(土・日・祝~21時)
[休日]無休
[交通]地下鉄半蔵門線ほか神保町駅A1出口から徒歩2分
『エル・アルボル』@四ツ谷
右から、
・フローズンマルガリータ(900円)
・ハバネロの肉詰め(1300円)辛さレベル 4
こちらは日本で初めてハバネロを出した店だという
痛い!けど旨い これぞハバネロ~
最初口に含んだ瞬間は「あれ?行けそうだな」。
ハバネロの中に詰められた肉とチーズの旨みがやさしく感じられるからだが、追って鮮烈な辛さが襲ってくる。
おお~、痛い。
肉厚のフレッシュなハバネロを使用している。
これにはすかさず爽やかなフローズンマルガリータを合わせて、で、もう1個。
不思議と手が伸びる痛烈な辛さと旨み。
本格メキシカンの名物をぜひ!
・カラマレス(1200円)
辛さレベル 1
香ばしく揚げられたイカリングは香辛料が利いてピリ辛!
・チキンタコス(サルサソース)(1000円)
辛さレベル 1
自家製の3種のサルサソースがイケる
『エル・アルボル』
店内には現地から持ってきた調度品なども数々。雰囲気も◎
[電話]03-3357-6868
[営業時間]11時(土は15時)~23時
[休日]日・祝
[交通]地下鉄南北線ほか四ツ谷駅2番出口から徒歩2分
取材/池田一郎、岡本ジュン(牧谿、味坊鉄鍋荘、百、ソムソム ダー、アフリカ大陸)
※店のデータは、2020年8月号発売時点の情報です。
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