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その夜はしんみりとした雨だった。だからだろうか、迎えてくれた女将さんの、向日葵のような笑顔がうれしかった。

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※コロナ禍で外食が自粛・縮小されている状況ではありますが、ぜひ知っておいて欲しい飲食店を、ご紹介しております。

旬楽(最寄駅:中目黒駅)

真心あふれる女将の料理と瓶ビールの愛おしさが心に響く

瓶ビールを頼むと、昔ながらの水冷式冷蔵ケースから取り出し、しずくを拭いて「はいどうぞ」。錫の酒器に注ぎ、口を潤す。美味しい。家で飲むより何十倍も。「縁日のラムネみたいなもんやね。冷蔵庫からポンと出すのも味気ないし、私やっぱり水で冷やす方が美味しいと思うの」 カウンターに並ぶおばんざいを盛りながら女将さんが言う。お浸し、キンピラ、ピーマン肉詰め……あ、銀ダラもある。それらを酒の進み具合やお腹の加減で少しずつ供してくれる。銀座の割烹で修業した彼女の料理は、野菜中心で、体に優しい。「家庭でも作れる味だけどダシは手間を掛けて毎朝引いてます。後は真心を込めて作るだけ」 そうか、手間だ。瓶の魅力も。小グラスでちょこちょこ飲む愛おしさ。少し面倒だけど、常に注ぎたてで美味しい気がする。「面倒臭いことが実は豊かさ。人間関係もそうやね。そのひと手間が、いい関係を生む」 明日もまた、頑張ろっかな。

サッポロ黒ラベル(中)

600円

『旬楽』のおまかせ料理。最初は酒が進む味の盛り合わせ。よく冷えたビールがことのほか合うのだ

おまかせ(季節のおばんざいなど12~13種類、その日で変わる)

4500円の一例

料理はおまかせ中心。この日は銀ダラの煮付けや春菊の煮浸し、ロール白菜など。添加物は使わずダシの旨みを生かした関西風の優しい味付けだ。〆は蕎麦やじゃこ飯など好みで用意してくれる



旬楽の店舗情報

[住所]東京都目黒区上目黒2-13-7 [TEL]03-3794-8399 [営業時間]17時半~23時 [休日]日・月 [席]カウンターあり、全10席/全席禁煙/予約可/カード不可/サ・お通し代なし [交通アクセス]東急東横線ほか中目黒駅南改札から徒歩2分

電話番号 03-3794-8399

撮影/西﨑進也 取材/肥田木奈々

2020年9月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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