コロナ禍で、食材や料理を産地から新幹線で直送するニュースを見かけます。それを超えるスケールで展開するのが「サバヌーヴォー」。ノルウェーから飛行機で水揚げから約60時間でやってくるのです。しかもこれが相当な美味というのです。サバジェンヌ渾身のレポートをご覧あれ。
コロナ禍が生んだ壮大なサバプロジェクト
世界有数の漁業王国・ノルウェー。サバの漁獲量は年間約12万トンを誇る。じつは日本は、ノルウェーサバの最大消費国。ノルウェーで水揚げされたサバの4割を消費し、ノルウェーサバは日本国内で流通するサバの約50%を占めている。フィレや切り身を塩加工した「ノルウェー塩さば」は日本の食卓でおなじみだ。
ノルウェーのサバの魅力は「ふくよかでジューシーな脂」。
美味しさの秘密は自然環境。国土の半分以上が奥行きのあるフィヨルドに接し、山から溶け出した雪が冷たく澄んだ海に混じって、魚の成育に最良の塩分濃度となり、美味しい魚を育む素晴らしい環境となる。
冷たい水温から身を守るため、サバはたっぷりと脂を蓄え、旬を迎える秋に、その脂肪率は、身全体の最大30%ほどに達する。
サバが誇る栄養素といえば、オメガ3脂肪酸の代表格であるEPA・DHA。その含有量は脂肪分が高くなると増加するという特徴がある。そういった意味でも「健康効果バツグン」のサバだ。
「日本に届けられるノルウェーのサバはすべて、ベストシーズンに水揚げされた高品質なサバです」と語るのは、ノルウェーシーフードの市場開拓に取り組むノルウェー水産物審議会(NSC)日本・韓国担当ディレクターのヨハン・クアルハイムさん。
ノルウェーではサステナブルの観点から、サバの脂が霜降り状になり、バツグンに美味しくなる9月下旬~11月上旬に期間を限定して漁を行っている。
さらに厳格な漁獲枠規定で資源を管理。食用に適した一定のサイズ以上のものだけを水揚げしている。
なおかつ「水揚げから梱包までフルオートメーション」という最新鋭の漁業システムによって、身体に傷がつきやすいサバを「手で触れることなく」「生きたまま」工場に運び、スピーディに加工。高品質を実現している。
「品質維持は徹底しています。水揚げされたサバは、海水を入れた大きな貯蔵タンクに適切な量で保管、スピーディに0℃前後に保ちます。また、フィッシュポンプを使って海から船へ、そして岸へと可能な限りサバにストレスを与えないように努力しています」とヨハンさん。
持続可能な漁業で漁獲された高品質なサバは冷凍され、船便で日本へと送り届けられる。その美味しさは、日本人みんなの知るところだ。
そんなわたしたちの食卓に欠かせない、ノルウェーサバのビッグニュースが飛び込んできた。
「ノルウェーから旬の『生サバ』がJAL便で日本初上陸」!
ノルウェーから、獲れたてピチピチ冷凍なしの生サバが、はるか地球の真裏の日本まで、空を飛んでやってきた!!!
その名は「サバヌーヴォー」。
しかも、たんに旬のサバ、というだけではない。「脂肪率約30パーセント、500gアップ」の規定で厳選された「最高品質のサバ」のみ。ノルウェーサバの一軍ともいえる「スターサバ」の来日だ。
ひえぇー、マジですか!?
サバヌーヴォープロジェクトを発案したのは、JALグループの商社である「JALUX」。
そのきっかけは「旬のノルウェーサバが、ありえないくらい美味しかったから」だった。
「わたしたちは20年以上にわたり、ノルウェーサバの買い付けを行っています」と語るのは、JALUX水産部水産第1課課長である増田仁さん。
「毎年、秋にはスタッフ一同でノルウェーに入り、2か月ほど合宿のような生活をしていますが、そのときの楽しみが『ノルウェーサバ』を食べることなんです。
現地で水揚げされたサバの品質チェックを行う際に、これはかなりいい! というものを数匹チョイスして食べるのですが、もう最高に美味しいんですよ!!! 身がふっくら、ふわっふわっとしていて、とろける柔らかさで、脂がサラッとしていて……」と、うっとりした表情で説明する増田さん。聞いているだけで、よだれが出そうだ。
歴代のJALUXノルウェーサバ買い付けスタッフ全員が感動、「またノルウェーで食べたい……」と待ち焦がれるほどの究極のサバ。
しかし、その機会はコロナ渦にあって途絶えた。
「出張で世界へ赴きビジネスを開拓することもままならず、できる仕事が限られて守りに入らざるを得ない日々が始まりました」と増田さん。空港にあるJALUXの土産物店も当然ながら苦境にあった。いうまでもなく、大元であるJALも厳しい状況だ。
「そんななかにあっても新たな事業ができないか、と弊社食品部門、JALの貨物部門チームとブレーンストーミングを続けていたんです」と増田さんが振り返る。
そんななか、商品として白羽の矢があたったのが、あの「とんでもなく美味しい旬のノルウェーサバ」だった。
「コロナ渦にあって、外食もなかなか難しいなか、あのサバをおうちで召し上がっていただけたら。サバが好きな方、お魚が好きな方に喜んでいただけるのでは」。
関係各社に伝えたところ「面白い事業になるのでは」と、プロジェクトが立ち上がった。ノルウェーから、空飛ぶサバ。簡単に海外への行き来ができなくなっているいま、海を越えた壮大な「サバプロジェクト」がスタートした。
水揚げから約60時間! 鮮度バツグンのサバが来日
最高のノルウェーサバを、日本に持ってくるなら最高のコンディションで届けなくては!!
2020年秋から、テスト輸送がスタートした。氷の打ち方、温度帯………。何度もテストを重ねて、鮮度バツグンの着荷に成功。
そして先月9月24日、生のノルウェーサバが「サバヌーヴォー」の名で、デビュー!
2021年9月24日、羽田空港にサバヌーヴォーが到着。お披露目イベントが開催された。
右から、ヨハン・クアルハイムNSC日本・韓国担当ディレクター、リーネ・アウネ臨時代理大使、丸川潔JALUX副社長、岩越宏雄日本航空執行役員貨物郵便本部長
ちなみに、サバヌーヴォーが辿る道のりはざっと、こんな感じだ。
ノルウェー西部に位置するモルデ漁港に水揚げ後、選別してパッキングしたのち、トラックで首都オスロを経由してお隣のフィンランド・ヘルシンキ空港へ。そしてJAL48便羽田行きで9時間半のフライトを経て、日本に到着!
これまで、冷凍品の場合は、9月に獲れたサバが船でノルウェーを出てから日本に到着するのは早くても11月末。加工されて店頭に並ぶのは、最速でも年末で3か月を要した。それがなんと、水揚げから約60時間で日本入り!
デビューに臨むサバの漁獲にあたる日は、ノルウェーは猛烈な悪天候。現地スタッフが固唾をのんで待ち受ける中、1隻の漁船だけがサバヌーヴォーにふさわしいサバを水揚げしたというハラハラドキドキの状況だったそう。
フィヨルドの港町から、サバが北欧の道路を突っ走り、フライトする姿を思うと、なんだか胸がキュンとするジェンヌさん。
よく来たね(涙)。
やってきたサバは「もちろん、最高の美味しさです」とヨハンさんが胸を張る。
「ノルウェーで食べていたものと同じですか?」と尋ねてみた。
するとヨハンさん、まさかの返答。
「ノルウェーで食べていたものより美味しかった!」
もう一度繰り返すが、サバヌーヴォーは、「脂肪率約30%、500gアップ」の規定で厳選された「最高品質のサバ」である。旬の時期の「トップ・オブ・トップ」。ノルウェーにおいても貴重な厳選品なのだ。
日本のサバとの決定的な違いとは
ちなみに、ノルウェーから生サバが輸出されているのは、デンマーク、スウェーデン、イタリアの3か国。サバヌーヴォーとして空輸されたのは日本が初めてだ。
日本のサバファン、こーれーは凄いことですよーーーーーー!!!!! サバらしい!!!
「初めての企画が、NSC、JAL、サプライヤーのみなさんのご協力で実現しました」と語る増田さん。もちろんその味わいは現地で食べたときと同様、と笑顔で語る。まったくそん色がなく、届いたサバヌーヴォーを食べたときに思わず「コレだよ、コレ!!」と叫んでしまったそう。
「このサバは老若男女どなたが食べても美味しいと感じていただける自信があります。サバが大好きな方はもちろん、魚が苦手であまり食べない方もこのサバを食べたらきっと大好きになってくれると確信しています」と力強く語る増田さん。
冷凍ではなく生サバであることの違い、そして日本のサバとの決定的な違いは、「食感」と増田さんが続ける。
「焼いたサバヌーヴォーの身に、箸を入れていただくとわかっていただけると思います。『ふわっ』と箸が入るんです。これはみなさん、ビックリされますね。ふわふわの食感が決定的な違いですね」。
また、脂があるけれどサラッとしているのも、大きな特徴だそう。「これだけの脂質があると、ふつう1枚食べたらかなりお腹いっぱいになるはずですが、お客さまからは『脂にくどさがないので、1枚ペロリとあっさりいただける』と好評です」。
塩焼き、煮付け、どう使っても美味しいけれど、増田さんのおすすめは、グリルして「塩+レモン」。
「軽く塩をふって焼いてから、追い塩をしてレモンを搾って食べるとバツグンに美味しいです。白ワインと最高に合いますよ」。
お話を聞けば聞くほど、サバヌーヴォーへの期待が高まるジェンヌさん。いざ! ノルウェーから、はるばるやってきた旬の生サバを実食!!!
【実食】これまでにない脂ノリ、食感に困惑のち感嘆
ノルウェーから我が家に、サバヌーヴォー降臨! 長旅お疲れさば!!(涙)
大きい!!! 持つと重い! つかむともっちりムチムチ。うー、ナイスバディである。
さっそく、増田さんおすすめ「グリルで塩レモン」にトライ! 半身、豪快にグリル。
じゃーん。ギャー、黄金色に輝く美しすぎる焼き上がり!! 煌めきのサバゴールド! わー、ゴージャスすぎる!!
裏返してみる。おーっ。驚嘆するほどの麗しい脂ノリ。もはや「脂ジェニック」である。
いざ! 箸を入れてみる。香ばしくパリッと焼けた皮の魅惑のサクサク音♪
そして。え? え? え?
ふわっふわ。
は? 動揺するジェンヌさん。確かにこれまでにない「サバ感触」。口に入れるとまろやかな脂にくるまれた、しっとりした身。ひえー、なんなの、この「とろけジューシー」!
断言します。
旬のノルウェーサバは「キング・オブ・ジューシー」!
そして、力強く、濃く深い旨みがジワジワ押し寄せる。
あのですね……これは、もはや肉です。
A5ランクの、霜降りステーキと匹敵!
そして特筆すべきは、バツグンすぎる脂のりだけど、まったく脂に重さがない。水にも溶けそうなくらい、軽やかでピュアなオイル。
女子ならわかるかもだけど、優秀コスメオイルの「テクスチャーが軽やかで、スッとなじんでベタベタしない」っていうあの感じ! 顔に塗ったら美しくなれそうだー。
それにしても、栄養価バツグンの脂効果か、食べ進むうちになんだか身体が覚醒してくる感じ。フツフツと力がみなぎる。
恐るべし、サバヌーヴォー。
食べれば「オメガ3温泉」入浴状態!
そしてレモンを絞ると、たんに爽やかというよりサバヌーヴォーの味わいがキラッと鮮やかになる感じ。
サバヌーヴォーに合うワインとしてJALUXワイン部の方におすすめいただいたのが、
チリを代表するワイナリー・エラスリスの「マックス・ソーヴィニョンブラン」(https://www.jalux.com/errazuriz/verify/)。
爽やかな酸味、そして柔らかさがあるワインは、サバヌーヴォーのまろやかな脂と一直線につながるような、最高のマリアージュ!
煮てもすごい! ジェンヌ作のサバヌーヴォー料理で驚愕
さらに、いろいろ作ってみました。
栄養たっぷりのサバヌーヴォーで、ジェンヌさん本業の「サバ薬膳」。
まずは、「血液サラサラ サバヌーヴォーすき焼き丼」
ジェンヌ作「血液サラサラ サバヌーヴォーすき焼き丼」。
サバは薬膳において、血行促進に役立つ食材。同じ効能の野菜を組み合わせて、すき焼き仕立てに。割り下で、サバヌーヴォー、ネギ、玉ネギ、エノキダケ、黒きくらげ、チンゲンサイを煮て、ご飯にオン!! サバヌーヴォーの旨みが出た汁がまた美味しい(涙)
サバヌーヴォーをすき焼き風に、割り下で野菜と煮てみました。
……「とろっとろ」。
サバヌーヴォー、煮てもすごい! 1ミリも角がない、魅惑のとろとろ。とろけすぎて腰が抜けました……。
そして「サバヌーヴォーソテー 薬膳カレーサルサ添え」。
サバヌーヴォーをオリーブオイルでソテー。トマト、レッドオニオン、ピーマン、パプリカ、そしてジャパニーズピクルス・らっきょうを合わせてカレー粉を加えたサルサソースを添えて。
ジェンヌ作「サバヌーヴォーソテー 薬膳カレーサルサ添え」。
こちらもサバ同様血行を促進する食材を組み合わせて。カレーの風味、らっきょうがアクセントになってサバヌーヴォーを、爽やかにいただけますよー
ソテーにすると、味のふくらみが倍増。軽やかなソースでサバヌーヴォーの魅力が炸裂―。
いやいや、ノルウェーサバの本来のポテンシャルが、十分理解できる、そしてなんとも贅沢なひととき。
サバファンなら、絶対食べるべき! あなたのサバ人生において確実に、ドラマティックなサバメモリーが刻まれるはずだから。しかも、ノルウェーに行かずして!
サバヌーヴォーは現在、首都圏のロピア、クイーンズ伊勢丹で販売(11月上旬までを予定※漁・天候次第で変更あり)。JALファーストクラスの機内食でも提供され、JALUXでは、「サバヌーヴォー鯖寿司」の販売も予定している。
ただいまノルウェーサーモン派・ノルウェーサバ派を選ぶと、ノルウェー旅行やノルウェーシーフード1年分など豪華賞品が当たる「ノルウェーシーフード全国調査キャンペーン」実施中。
https://norwaysaba-or-salmon.jp/
JALUXは皆様に心豊かな生活をお届けする「生活提案企業」です。航空機部品や機材などの航空関連事業、保険、不動産などの顧客サービス事業、そして生鮮品や通信販売などの生活関連事業まで、幅広い事業展開を行っております。
取材・撮影/池田陽子
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