東京の鴨南蛮が美味しい店4選!噛むほどに滋味が広がる鴨の旨味

温蕎麦の中でも王道の鴨南蛮に注目しました。名店の隠れた逸品あり、専門店あり。蕎麦・ツユ・タネ物が織りなす美味でほっこりする一杯をお楽しみください!

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手打ちそば しながわ翁@北品川

鴨南蛮そば1620円
ツユが染み込むよう斜に切るネギはとろっ。鴨はジューシー
蕎麦は丸抜きを石臼挽き。産地は北海道や茨城など時期で変わる。単体だと味にムラが出る場合もあるため状態を見てブレンド。店主は蕎麦打ちの神様といわれる高橋邦弘氏の元で修業

さすがは名店 安定の旨さに心も体もぽっかぽか

冷たい蕎麦が旨いのは大、大、大前提。その上で我々が熱視線を送るのが根強いファンがいる鴨南蛮だ。火入れにこだわる鴨肉はしっとりと柔らかく、香ばしい焼き目を付けた太めのネギは甘くて中がとろっとろ。

その旨みが溶け込んだツユの何と奥ゆかしいことよ。質と量といい、満足感が半端ない。

もりそば ざる860円
均一で美しい二八の蕎麦は喉に心地いい食感だ。つけ汁は本節と亀節を基本に、椎茸や昆布なども加えたダシに最低3週間寝かせたかえしを合わせる

丸抜きを自家製粉して打つ蕎麦は店主曰く「味、香り、すべてにおいて食べた時に気持ちいい味」が理想。

安定した品質を提供するため、その時々で産地をブレンドしているそう。旨さは素材選びから提供まで。手を抜く工程は一切ない。正直な味に脱帽だ。

玉子焼き(冷製)680円、画像右:生のりの佃煮(自家製)500円
佃煮は三陸産の生海苔を醤油や酒などで煮た酒のアテ。玉子焼きはダシが上品
湯豆腐660円
グツグツと音を立てて運ばれる。土鍋の中に薬味の器を入れるのは食べる時に豆腐が冷めないように

住所:東京都品川区北品川1-8-14
TEL:03-3471-0967
営業時間:月・火11時~14時半(14時LO)、水・木・金11時~14時半(14時LO)、17時半~21時(20時LO)、土・祝10時~15時(14時半LO)※政府の要請で変動あり
定休日:日、第2・4・5月、祝は不定休
交通:京浜急行線北品川駅から徒歩5分、JR山手線ほか品川

手打ちそば しながわ翁

手打蕎麦たかせ@神保町

鴨南蛮1950円
肉の旨みと脂のバランスがいい蔵王産の鴨を使う。モモ肉の団子は旨みを逃さないよう一度オーブンで焼く。ダシは本枯節の薄削り。上品な旨み
石臼挽きで自家製粉する蕎麦粉は北海道や福島など産地は時期で変わる。温蕎麦はせいろと同じ二八。 石臼挽きで自家製粉する蕎麦粉は北海道や福島など産地は時期で変わる。温蕎麦はせいろと同じ二八。甘皮を多めに入れた田舎や季節の変わり蕎麦も人気。店主は浅草「蕎上人」等で修業
石臼挽きで自家製粉する蕎麦粉は北海道や福島など産地は時期で変わる。温蕎麦はせいろと同じ二八。 石臼挽きで自家製粉する蕎麦粉は北海道や福島など産地は時期で変わる。温蕎麦はせいろと同じ二八。甘皮を多めに入れた田舎や季節の変わり蕎麦も人気。店主は浅草「蕎上人」等で修業

野趣あふれる上質な蔵王鴨のフレッシュな旨さ

品書きを見れば鴨の串に陶板焼き……鴨のつまみが充実している蕎麦屋は、100%の確率で鴨南蛮が超絶に美味しい(筆者調べ)。

ということでご対面。おお~、ふくよかな肉に2個の団子を携えた魅惑のルックス、食べる前から心が躍る。鴨は宮城・蔵王産の生のむね肉を使用。噛むほどに野趣あふれる鮮やかな旨みは新鮮な素材ならではだ。

月見納豆1200円
納豆、ネギ、海苔、卵黄を蕎麦と一緒に混ぜて味わう

ツユは2年物の本枯節を毎朝自家削りしてダシを仕込み、スッキリと雑味のない味に仕上げている。時期で産地を変える蕎麦は歯切れのいい食感と香り。それらすべてが三位一体となった冬のご馳走、さあ召し上がれ!

画像左:しいたけ海老しんじょう1200円、画像右:お通し600円
粗めに切ったエビを白身など生のすり身の種に加え、椎茸にのせた真丈。プリリとした食感。取材時のお通しは鴨ハツの唐揚げなど 

住所:東京都千代田区神田神保町2-21-10 高野ビル1階
TEL:03-3288-1370
営業時間:11時半~15時(14時半LO)、17時半~23時(22時LO) ※政府の要請で変動あり
定休日:日・祝
交通:地下鉄半蔵門線ほか神保町駅からA1・A6出口などから徒歩3分

手打蕎麦たかせ

手打そば もり@西早稲田

鴨南蛮そば1970円
ダシは本節の厚削り
築地の老舗仲卸で仕入れる鴨は適度な脂身のマグレ・ド・カナールを使う。焼いて脂をしっかり出しつつ、身は火を入れ過ぎないよう気を付ける。初代は名店「吟八亭やざ和」出身

せいろ派も必食 今こそ食べたい絶品の鴨南

せいろ派も身を乗り出す極上の一杯をご紹介しよう。その店はわずか8席の小さき名店。鴨南蛮を注文すると、若き2代目がロース肉をカットして作り始めた。フライパンで脂身の側をよく焼くのがポイント。後はサッと表面に火を通し、溶け出した脂も残さずツユの中へ。

ひと口味わって、天を見上げた。何という奥深いコク、滋味に満ちた芳しさなのか。分厚い旨みを受け止める蕎麦は細くたおやかな口当たり。感動。

三色そば 1100円(せいろ、田舎そば、変わりそば〈写真は柿切り〉)
二八で打つ人気3種を1枚ずつ提供。蕎麦の実は北海道石狩沼田産。玄蕎麦の挽きぐるみを使う田舎は塩で。変わりは一番粉に旬の素材を練り込む。取材時はほんのり甘い柿

もちろん冷たい蕎麦の旨さは言わずもがな。せいろ、田舎、そして一風変わった季節の変わり蕎麦まで、ハートをぶち抜く味が揃う。

酒肴盛り合わせ860円
鴨のスモークや自家製カラスミなど充実の肴

住所:東京都新宿区高田馬場1-3-10
TEL:090-1764-1136
営業時間:11時半~14時半、18時~21時(20時半LO、蕎麦が売り切れ次第終了)※政府の要請で変動あり
定休日:月
交通:地下鉄副都心線西早稲田駅2番出口などから徒歩2分

手打そば もり

京都鴨そば専門店 浹(あまね)@日本橋

画像左:かやく御飯(中)300円、画像右:鴨そば(温)1100円
蕎麦は基本的に北海道産の蕎麦粉を使う。ひと口サイズの鴨もも肉は適度な弾力。ダシで炊いた「かやくご飯」も人気
上品なダシが特徴。真昆布をカットして断面部分を増やすことで旨みを引き出す。京都から毎日届く九条ネギは火を止める直前に投入。浄水器と軟水器でまろやかにした水を使う

昆布ダシがベースの香り高い風味が心身に染みわたる

旨い蕎麦を追求する店主のこだわりはさまざまだが、関西出身の米田さんが営むこの店の要はダシ。それが看板の「鴨そば」だ。澄んだ琥珀色は品格をたたえ、舌で受け止めれば丸みのある旨さがじわりと伝わってくる。

特徴となるツユは北海道産の昆布を水にひと晩つけ、翌朝煮出したものに、カツオやサバなど節類を加えて淡口醤油で調えたもの。クセのない国産鴨とも相思相愛。のどを滑り落ちる二八蕎麦の香り、ツユに移る九条ネギの甘みまで計算され尽くした渾身の一杯なのだ。

梅とじそば(温)1100円
夜のメニュー。とじた玉子と梅肉のさっぱりした味わい

焼生麩の鴨味噌田楽800円
ヨモギなどの生麩は鴨もも肉を入れた自家製味噌で味わう

ダシ命の徹底ぶりは他の料理にも。揺るぎない姿勢に、ただ感服です

鴨皮の煮こごり700円
ダシの味を生かした煮こごり

住所:東京都中央区日本橋小舟町4-10 西村ビル1階
TEL:03-6206-2853
営業時間:11時~14時半、17時半~22時半(22時LO) ※政府の要請で変動あり 
定休日:土・日・祝
交通:地下鉄銀座線ほか三越前駅A6出口などから徒歩5分

京都鴨そば専門店 浹

撮影/大西尚明、小島昇(もり)、小澤晶子(浹) 取材/肥田木奈々

2022年1月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

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