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国内外のアーティスト2000人以上にインタビューした音楽評論家の岩田由記夫さんが、とっておきの秘話を交えて、昭和・平成・令和の「音楽の達人たち」の実像に迫ります。歌手・鈴木雅之の第3回は、シャネルズとしてメジャーデビューするきっかけとなったエピソードに触れます。大滝詠一と山下達郎。この偉大な2人が、シャネルズの音楽性に着目したことも大きかったといいます。

シャネルズのスタイル

鈴木雅之~マーティンをソロへの成功に導いたのは彼自身の努力も大いにあったろうが、シャネルズのリーダーとしての人気も寄与していると思う。シャネルズと言えば黒いスーツに白いシャツと手袋、顔を黒人のように茶色く塗ったファッションも評判になった。そのスタイルはシャネルズのメンバーにとっては奇を衒ったものでは無かった。

“本当は黒人にも生まれたかったんだよね。スラムでもいいから黒人に生まれて、声ひとつでのし上がってゆくような人生、最高じゃない? シャネルズで顔に靴墨を塗ってパフォーマンスをしたのは、肌は黄色でも、せめて顔だけは黒人になりたかったんだ。手まで塗るとどこかに触った時に汚れるから、白い手袋をしていたというわけ”と、マーティンは語っていた。

大滝詠一と山下達郎がデビュー前から着目

優れたハーモニー・ワークでドゥー・ワップを歌う。そんなシャネルズにデビュー前から着目していたのが大滝詠一と山下達郎だった。マーティンはまずシャネルズの音楽を直接聴いてもらおうと、“福生の御隠居”と言われていた大滝詠一のもとを訪ねることにした。マーティンの生家から、ようやく探し当てた東京・瑞穂町の大滝邸までは50kmくらい離れている。そこへオートバイを走らせた。けれども、いきなり見ず知らずのオートバイ青年が訪ねて行っても、すぐに会ってくれる訳が無い。何度か訪ねて、雨の日には門の外で待った。後に大滝詠一は、“あの根気は凄かった”と教えてくれた。日本のミュージシャンでドゥー・ワップ・ミュージシャンに明るいのは、まずは大滝詠一。そして、かつてはその弟子とも言えた山下達郎の名が上がる。

ドゥー・ワップなら大滝詠一。ならば大滝さんに直接、自分たちの音楽を聴いてもらいたい。でも伝が無いから自宅を捜して訪ねてみよう。何というストレートな発想だろう。若かったからできることであり、自分たちの音楽に自信を持っているからできることだった。

デビュー前のシャネルズを気に入った大滝詠一は、山下達郎にもその話を伝えた。デビューのきっかけとなるように動いてくれた。第2話で紹介したシャネルズのムック『Ladies and Gentlemen!This Is The Greatest Doo‐Wop Group THE CHANELS』をぼくが作った時も、大滝詠一は快くシャネルズの魅力について語ってくれたのが、今は懐かしい。大滝詠一を慕い続けるマーティンは、大滝の作品をずっと歌っている。新作『DISCOVER JAPAN DX』でも、3曲、大滝作品を取り上げている。

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