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開局直後のNACK5で始まったソウル専門番組でDJ

1988年10月31日、FM埼玉(NACK5)が開局した。編成部長と親しくさせて頂いていたので、番組企画を頼まれた。マーティンと仕事をしたかったぼくは「Just Feelin’ Groove」というマーティンをDJとする1時間番組を提案した。マーティンと打ち合わせをした結果、彼の希望はブラック・ミュージック以外は一切、オンエアーしないことにした。さらに彼はなるべく女性ヴォーカルは避けて、男性ヴォーカルのみで放送したいとも希望した。こうして当時は珍しかったソウル専門プログラムが1988年11月1週からスタートした。

彼のしゃべり声はマイクを通すと低音の部分が微妙にセクシーに聞こえる。そこでマーティンも好きなウィスパー・ヴォイスの名ヴォーカリスト、バリー・ホワイトにヒントを得て、マーティンに“キング・オブ・ウィスパー”を演じてもらうことにした。この番組は1997年12月まで9年間続く長寿番組となった。月2回の録音スケジュールだったが、スタジオでマーティンと逢う楽しみの日々が続いた。

2008年、NACK5の開局20周年を記念して、「Just Feelin’ Groove」が一度だけ放送されることになった。義理堅いマーティンは、ぼくを構成者に指名してくれた。彼は絆~ソウル・ブラザーをいつも大切にする男なのだ。売れない頃にインタビューして感謝されても、売れるといろいろな事情があるのだろうが、それを忘れる人もいる。

一方、義理堅くそのことをずっと覚えてくれる人もいる。長く人気を保ち続けているミュージシャンは、音楽以前に人間として大切な義理堅さを持ち続けている人が多い気がする。

岩田由記夫

1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。

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