週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。 著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返…
画像ギャラリー週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第9回目は、「バーベキュー(BBQ)」です。
アウトドアレジャーシーズン到来 ひと味違ったBBQを楽しむためには
いよいよ4月下旬から、ゴールデンウィーク(以下、GW)に突入します。過ごしやすい気候に誘われて、待ちに待ったアウトドアレジャーシーズンの到来です。近年のアウトドアレジャーブームの筆頭はBBQですが、コロナ禍のなか外出を控え、自宅の庭やベランダで楽しむご家庭も多いことでしょう。
クッキングパパ「COOK.77バーベキューを焼こう!」では、なんと自宅の庭の一角にレンガを積み上げ、BBQのためのかまどを作ることから始まります。
荒岩流BBQは市販の専用コンロではなく「かまどの炭火」こそ、主役級の役割を担っていますので欠かせません。日曜大工(DIY)でかまどを作るなんて、いっけんハードルが高いように思われますがレシピ同様、詳細な組み立て方が記載されていますので、時間に余裕のあるこの機会に、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう。
レンガ、セメント…2日でできる機能的でオシャレな「かまど」が完成
まずは、かまどを設置する場所を決めるにあたり、食材を焼いた煙が流れる向きやワイワイ楽しむ際の騒音など隣家の迷惑にならぬよう、くれぐれも配慮が必要です。
材料のレンガやセメント、鉄柱、鉄筋、木炭などを購入したら、土台になる基礎工事から始まります。といってもそんな大袈裟な工事ではないのでご安心を。ただ、土台こそ完成に大きく影響するので気を引き締めて。レンガを積み上げる前に、土台に傾きがないよう水平かどうかを確認するための水準器は、DIYのお助け道具として用意しておくと便利です。
小石や砂利をセメントで固めた土台がたいらになったところでその上にレンガをのせます。その際、セメントに接着する側のレンガを濡らしてから置くようにします。空気の通り道になる空間を開けて「コの字型」にレンガの1段目を並べます。ここまででいったん作業は終了です。初心者でも半日もあれば充分ではないでしょうか。
土台を充分に乾燥させたら、翌日、いよいよレンガを積み上げて完成させます。土台がしっかりできあがっていれば、あとは互い違いに積めばいいのであって、まるで、子どもの積み木遊びの要領です。
ただ、遊びと違って、保温性を高めるためレンガに隙間ができぬようしっかりセメントで接着させていきます。途中、鉄筋を横に渡したら完成です。ここまで作業日程は2日間、材料費の目安としては、約1万円といったところでしょうか。市販のBBQコンロと比べて保温、耐火性とも高く、庭をオシャレに演出してくれるのもうれしいですね。
「クッパパ」流本格BBQと炭火 肝は「遠火の強火」
なぜ、ここまで「かまどの炭火」にこだわるのでしょうか。調べてみると、炭火には、食材の持つ美味しさを最大限に引き出す科学的なワケがあるのです。
BBQで使う木炭は、燃やすと強い遠赤外線が放射されます。その勢いは家庭で主流のガス火に比べて約4倍とも言われています。さらに炭火の表面温度は300℃以上の高温に達します。遠赤外線で食材を直接加熱することで、うま味を逃さずぎゅっと内部に閉じ込められるため、表面は焼き目がついて香ばしく、中はふんわりジューシーに仕上がるのが特徴です。
さらに、ガス火は水蒸気を発生させるのに対し、炭火は二酸化炭素しか出さないので、食材に余分な水分を与えることがなく、表面がカリッと焼き上がり、焼きムラが起きにくいのです。
また、食材を焼く時に網から落ちた汁や脂(あぶら)が炭に当たって煙が立ち上ることで、燻すような風味が加わって、いっそう食欲が刺激されます。
注意すべきは、こうした炭火のスゴさをうまく活用するために、炭火と焼き網にのせた食材との距離を適切に保つことです。炭火は一度火がつくと強火のまま高温状態がずっと続くことになるので、あまり近いと焦げてしまいます。炭火を使用する際は、よく言われるように「遠火の強火」を覚えておきましょう。
高級ステーキ肉も魚も丸ごと1匹! たっぷりの野菜とともにかぶりつこう
おまたせしました! 金網を充分に熱してから食材をのせて焼いていきましょう。かまどの炭火があれば、なんでも美味しく焼けることウケあいです。
味付けは、シンプルに塩こしょうでもイケますが、レシピにあるすりおろしたタマネギ、ニンニク、リンゴなどの入った特性ダレも、味に変化がほしい時のために用意しておきます。作中では、高級なステーキ肉もおススメされていますので、この際、思い切って焼いてみましょう。
BBQのメニューは、どうしても肉に偏りがちですが、魚やタコ、ホタテ、エビなどのシーフードも積極的に取り入れましょう。なかでも、魚を丸ごと1匹炭火にかけると、ふだん焼き魚にはなかなか箸の進まないお子さんも、パリッとふっくらした美味しさにパクついてくれます。食わず嫌いが、BBQを機に改善されるメリットも大きいです。
野菜もどんどん焼きましょう。特に焼きトウモロコシは、香ばしさがたまりません。デザートには焼き芋もいいですね。その際は、サツマイモを濡れた新聞紙で包みさらにアルミホイルで二重に覆って、早目に炭火にいれておくとメインを食べ終えるころに、良い具合に焼き上がります。
我が家にいながら、非日常を味わえるのはBBQの醍醐味です。DIYで作ったかまどがあれば、なおさらです。ただし、くれぐれも火の後始末をお忘れなく。
※現在は当時の状況と異なる場合があります。
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち、メイン画像/exclusive-design-Stock.Adobe.com
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。
週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年1月現在、単行本は160巻。
※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.77バーベキューを焼こう!」を一話丸ごと読むことができます。
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