「『霊泉』元湯」のお湯加減は如何に!?
「『風ちゃん』起きなよ、着いたよ!」
車はJR磐梯熱海駅前に到着した。
「親方、随分早かったですね〜。あ〜ちゅう間に到着ですか?」
「オイオイ!寝すぎだよ」
「起きざめの湯は気持ち良いと昔から決まってますから、せつはわざと惰眠を貪っていたのでありますよ」
まだ、うたた寝しながらうだうだ言う師匠を連れて車を降りた俺は携帯で共同浴場の位置を確認した。およそ駅より2分の場所を地図は指している。
「『風ちゃん』こっちこっち」
ここの道を曲がって「おっ発見!!」
「昭和レトロの門構えが出てきたよ」
「本当でゲスね、これは期待ができそうで身が引き締まりやす。そんでキン○マも、ついでに引き締まりやす」
玄関の引き戸をガラガラと音を立てて開けると気の良いオヤジさんが「一人500円だよ」と声をかけてきた。
「はい二人で1000円」とお金を渡しながら料金表を見ると概ね二時間までの入浴と書いてある。 俺たちは「二時間は幾ら何でも入りきれないだろ〜」と笑いながら脱衣場に向かった。
(その時、後ろでオヤジさんの眼鏡がキラリと光ったのを俺は迂闊にも気がつかなかったのだ)