岩手・盛岡で親しまれる「わんこそば」が東京で楽しめる。しかも、新宿・歌舞伎町で! その情報をキャッチしたライター・カーツさとうが潜入。本誌2022年9月号の「おと週瓦版」での記事を完全版でここにお届け!
画像ギャラリー回転式かつセルフスタイルのわんこそばとは如何に
新宿に“回転わんこそば”の店ができた! でも、それって何? と、編集えびす&本場・盛岡でわんこそば大食い大会にも出場歴のある私のふたりで行ってまいりました。
“わんこそば”といえば、自分のお碗に蓋をするまで、給仕さんがひと口分のそばをお碗に入れ続ける、岩手の郷土文化食べ放題システム。
そしてこの店『回転わんこそば くるくるわんこ』は、回転レーンを流れるひと口分蕎麦の入った小碗を自分で取ってマイお碗に入れるセルフ方式。
40分3300円で食べ放題ですが、その前に食券を自販機で買うという、ここもセルフ! さらに岩手のわんこそばは、お給仕さんが、「はい、じゃんじゃん! はい、ドンドン!!」という独特の掛け声で、食べる客を鼓舞し、その場を盛り上げるのがなんとも郷土色ゆたかなんですが、この店にそんな掛け声はまったくない!
それどころか、そばの盛られた碗が無機質にレーンを回り続ける中、当初の客はオレとえびすのふたりだけという静寂の世界は、なにやら近未来SF映画のようですらある。
これが最先端の食か!?
とはいえ!! 「はい、じゃんじゃん!」と鼓舞する給仕さんはいないが、ヤング&キュートな女性店員さんが、システムの説明をしてくれ、マイお碗&薬味(ネギ、生姜、わさび)といったセットを運んでくれ、さらに40分のタイマーをセット。いざ食べ放題がはじまる。
本場とは違うスタイル……それはそれでいい面も!
記憶によれば盛岡で食べたわんこそばの汁は熱かったのだが、ここの汁は冷たい。むせることもなくスルスルといける。
さらに碗一杯分の蕎麦の量は、岩手よりも少なめかもしれない。私が大食い大会に出たのは、確実に今より食の太かった20年ほど前。その時は、50杯ほどでかなり満腹感があったのだが、50杯の時点では、胃袋にまだ若干の余裕が感じられた。
食べている最中、レーンから取った空になったお碗は、時々店員さんが数を数えてくれるんだが、ここで朗報!! 空のお碗を数え終えた店員さんが、「35杯です。その調子でがんばってください!」と、応援してくれるのだ!
岩手の「はい、じゃんじゃん」もいいが「がんばってください」もグッとくる! いやむしろ、東京のわんこそばはこのくらいがいいのかもしれない。
しかし、その瞬間以外は、やはり近未来SFの世界ではある。ま、これも東京か!!
ところが若いビジネスマン4人組が入店した途端にムード一変! 「喰ったるでぇ〜」とか「やった百杯達成ェェェェ!!」などと、グループで大盛り上がりなのだ!
“呑みニケーション”が古臭いといわれる今、この回転わんこそばでは“わんこミニケーション”という新たなコミニケーションが生まれていた! そういう意味でも近未来!!
■『回転わんこそば くるくるわんこ』
東京都新宿区歌舞伎町1-22-9 J GOLDBUILD 5階
取材・撮影/カーツさとう
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