焼売を肴にグイッと一杯もいいけれど、昔からある街の中華の焼売だって美味揃いだ。ここでは、中でも焼売が名物となっているお店をピックアップ。庶民派~ちょっと贅沢店まで、気軽にパクりと頬張りに出かけよう。 『中華居酒屋 千の香…
画像ギャラリー焼売を肴にグイッと一杯もいいけれど、昔からある街の中華の焼売だって美味揃いだ。ここでは、中でも焼売が名物となっているお店をピックアップ。庶民派~ちょっと贅沢店まで、気軽にパクりと頬張りに出かけよう。
『中華居酒屋 千の香』 @大塚
豚肉ともち米の旨みが凝縮した奥深い味わい
あまり知られてないイイ店ほど入りにくかったりするものだ。この店も同様、地元感満載の佇まいは常連の知人情報がなければ通り過ぎていたに違いない。そんなある日の品書きで運命的に出合ったのがご覧の焼売。
焼売(糯米)660円
具は豚肉ともち米だけ。あえて玉ねぎ類は入れず、中国の溜まり醤油で味を付ける。これが肉感ありつつ食感軽やか。米粒まで染みた肉の旨みにゾッコンだ。
それにしても改めて品書きを見直すと、本格中華から創作つまみ、珍しい野菜の料理まであり楽しいったらない。「自分の目で見ていい食材を仕入れてるよ」。
気さくな店主の李さんは上海出身で薬膳の造詣も深い。彼のイメージ通りに料理を作る同郷のチーフの腕もまた見事。大塚に住みたいなあ。
[住所]東京都豊島区北大塚2-11-2
[電話]03-3916-5716
[営業時間]17時~24時半頃、日 15時~21時頃
[休日]無休(年末年始は休)
[交通]JR山手線ほか大塚駅北口から徒歩1分
『広東料理 Foo(フー)』 @松陰神社前
確かな技術で生み出す美味が口福を呼ぶ焼売
店名はFoodの「Foo」、ひと息つく「ふぅ」、そして広東語で「福」を意味する発音「フッ」からイメージしたという。その名の通り店主の林さんが作る料理はどれも口福を呼ぶ美味ばかり。
中国・広東料理の名店「聘珍楼」で経験を積んだ確かな技術が評判だ。真摯な姿勢は定番の焼売にもしっかり宿る。実はこれ、リピート率の高い逸品。
干し貝柱入りシュウマイ 2ヶ440円
広東式は豚肉とエビの具が基本だそうだが、ここでは種が締まり過ぎないよう玉ねぎも入れて柔らかさと甘みをプラス、干し貝柱を戻し汁と共に加えてコク深く仕上げている。
他にも五島列島直送の鮮魚の姿煮など素材を生かした味は染み入る旨さ。熟練の腕で生み出される豊かな恵みの食の幸せが、心身に活力を与えてくれる。
[住所]東京都世田谷区若林3-15-3
[電話]03-5432-9598
[営業時間]12時~14時LO(ランチは日・月・水・金)、17時~22時LO
[休日]火
[交通]東急世田谷線松陰神社前駅から徒歩3分
『上海 四川料理 廣安』 @広尾
口いっぱいに旨みが充満する看板の大焼売
ズシリと1個約80gの圧倒的な存在感。宙を舞う甘い香りも全部逃さず吸い込んでひとり占めしたい。いやあ、かつてこれほど焼売にときめいたことがあったろうか。
廣安名物 大シュウマイ 900円(3ヶ)
蒸籠の中で誇らしげに輝く至宝、名物「大シュウマイ」である。単に大きいだけじゃない。豚モモ肉の粗挽きに手切りの背脂を入れることでゴロッとした肉々しさと肉汁のジューシー感を表現。
長ねぎと干し貝柱で独特の甘みと旨みを補う。さらにクワイのシャクッと小気味いいアクセントが加われば、もうシビレルほど完璧な組み立て……完全にヤラレました。
味のバランスと食感へのこだわりは全メニューに共通だ。ぷるんと舌の上で踊るフカヒレの茶碗蒸しなど、食べずに帰れぬ名作が揃う。
[住所]東京都渋谷区広尾5-23-2 広尾センターハイツ108
[電話]03-6277-2623
[営業時間]11時半~14時、17時半~22時半(21時LO)、日・祝 17時半~22時(20時半LO)
[休日]月
[交通]地下鉄日比谷線広尾駅2番出口・JR山手線恵比寿駅東口から徒歩8分
『海上海』 @根津
ぎゅっと詰まった餡からは甘みと旨みが押し寄せる
店主の王新毅さんは上海の出身。上海で10年調理師を務め、日本に来て20年ほど。本場で覚えた味に、日本人の舌に合うようにとアレンジも加えた上海家庭料理だ。
骨付き蒸し鶏の糟滷(ザオルー)漬け 650円 ゆでワンタン自家製ラー油のせ(6個) 700円
基本は本格派。しかもリーズナブルでボリュームもあるから学生や家族連れにも人気だ。中でも人気のひとつが、手作り、自家製の点心。海老春巻、大根餅、ゆでワンタン、餃子……と10種類以上。見逃せないのが「ジャンボ焼売」だ。
熱々で供される焼売は確かに迫力十分。ふわりと柔らかな皮に包まれた餡には、干しエビとしいたけ、玉ねぎと挽き肉がたっぷり詰まっている。
パクリとやると、もちもちした食感から甘みと旨みが押し寄せてくる。酢醤油につけ紹興酒と合わせたら、もう止まらない。
[住所]東京都文京区根津2-29-3
[電話]03-5832-4787
[営業時間]11時~14時半、17時~23時(22時半LO)
[休日]無休
[交通]地下鉄千代田線根津駅1番出口から徒歩4分
『平和軒』 @五反田
地元で人気の老舗の味わいは安定の旨さ
グリーンピースがちょんとのった定番の姿に思わず頬がゆるむ。噛み締めれば肉感むぎゅっ、玉ねぎの甘さふんわり。そうこれこれ。体の中にある郷愁という感情が一気にあふれ出て泣けてくる。焼売をあーだこーだと書いてきたけど、ふと求めるのはこんな味。
「先代の父は風変わりな料理が嫌いで( 笑)。うちはどれも奇をてらわない味なんです」。3代目が話すように、焼売も〝ザ〟が付くほど王道だ。皮まで手作り。そもそも麺も餃子の皮も全部自家製で、焼売の場合はワンタンより薄くなるよう丁寧に手で延ばすんだとか。
しゅうまい 650円
つるんとほどよい食感の皮とゴマ油多めの種、それが一体となった味はホッとする旨さ。うれしい時も泣きたい日も、食べたくなる味なんです。
[住所]東京都品川区西五反田7-18-4
[電話]03-3491-4301
[営業時間]11時~14時半、17時~21時(水の夜は休)
[休日]土・日・祝
[交通]JR山手線ほか五反田駅西口から10分、東急池上線大崎広小路駅から徒歩5分
撮影/竹崎恵子(千の香)、小澤晶子(Foo、廣安)、西崎進也(海上海、平和軒)、取材/肥田木奈々(千の香、Foo、廣安、平和軒)、池田一郎(海上海)
※2022年9月号発売時点の情報です。
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