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明治期の札幌の街をつくった「札幌軟石」の故郷、石山エリア

一方、簾舞から札幌中心部方面に15分ほど行くと、同じ南区内に石山(いしやま)エリアがあります。

エリア内にある公園「石山緑地」は、札幌軟石の産出地だった巨大な石切り場跡を公園に再生したものです。園内にはアーティスティックなデザインのオブジェが多く、見る人を楽しませてくれます。

市民の憩いの場となっている石山緑地

石山はその名の通り、かつて建材に最適とされた「札幌軟石」の産出地でした。札幌軟石は4万年前に支笏湖ができた時の火山活動で流れ出た火砕流の堆積物が固まった際にできた石材で、市内にはこの石材を使った開拓期の石造りの建物が多く残っています。

今はカフェなどが入る旧石山郵便局(ぽすとかん)も札幌軟石を使った建造物

明治時代の札幌市内は木造の家が多く、冬は寒さをしのぐために家の中で火を焚き、火災が発生しやすかったそうです。そこで、開拓使が発見したのが、加工しやすく質の良い札幌軟石。札幌軟石で造られた建物は保温性が高く、野菜や果物の保管、酒の醸造所などに利用されました。また、耐火性にも優れていることから、電話局や郵便局などの公共施設にも使われました。

明治初期に現在の南区で発見され、その後、札幌近郊に軟石造りの建物が数多く建てられました。また、軟石を運搬する道や馬車鉄道も整備され、現在の幹線道路や路面電車に発展しており、都市の基盤整備とも深いつながりがあります。

今も札幌市内や近郊には札幌軟石の倉庫や石蔵などが残り、おしゃれなカフェなどに活用されています。

ちなみに私は以前から地理が好きで、地理の楽しさを伝える活動をしています。街歩きイベントでこのあたりを巡りましたが、札幌の街を造った建物のふるさとに参加者の皆さんも興味津々の様子でした。

そのほか、南区には「滝野すずらん丘陵公園」野外美術館のある「札幌芸術の森」など、市民の憩いの場所がたくさんあります。一足早い秋を楽しみに、自然とレジャーを満喫しに足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

文・写真/森順子

森 順子

元テレビ北海道アナウンサー。現在は教育サービスの会社を運営しながら地理の楽しさを普及する活動も行っている。地理女net代表/札幌国際大学短期大学部講師/札幌観光大使

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