厚さ5cmの特大かき揚げ、巨大舞茸天…名物のある立ち食い蕎麦、東京の6軒

高コスパも魅力だが、他店との差別化のために考案された名物があるのも立ち食い蕎麦の醍醐味だ。ここでは一度食べたら常連の仲間入り必至!な、ここだけの美味を置く店を紹介します。 『そば切り うちば』 @青物横丁 香りと甘み広が…

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高コスパも魅力だが、他店との差別化のために考案された名物があるのも立ち食い蕎麦の醍醐味だ。ここでは一度食べたら常連の仲間入り必至!な、ここだけの美味を置く店を紹介します。

『そば切り うちば』 @青物横丁

香りと甘み広がる丹精込めた”手打ち”蕎麦に脱帽

まずはシンプルなもりそばを試して欲しい。なぜなら店で毎日仕込む正真正銘の手打ち蕎麦なのだ。「値段を気にせず真っ当な蕎麦をお腹いっぱい食べて欲しくて」と店主の中村さん。多い時で日に200人前(!)を打つという。

少し太めのそれを手繰ってみれば、噛むたびに香りと甘みが広がる素朴な風合い。そこへザラメでコクを持たせ、しっかり寝かせたかえしのツユが品良く寄り添う。

そして夏の時期限定がご覧の「胡麻汁そば」。

特製胡麻汁そば 720円

『そば切り うちば』特製胡麻汁そば 720円 キタワセを中心に、国内外の蕎麦粉をブレンドし、二八で打ち上げる。すり胡麻の風味豊かなツユとも相性抜群だ。梅干しとミョウガの天ぷら付き

香ばしいツユが麺のふくよかな風味を膨らませ、さりげなく浮かべたきゅうりの食感も爽やかだ。ダシの風味が立つ温蕎麦に、揚げ立ての天ぷらと、どのメニューからも実直な手仕事が伝わってくる。

『そば切り うちば』

[住所]東京都品川区東品川3-27-24 KAHARA品川1階
[電話]03-6712-3388
[営業時間]9時半~14時半、17時半~21時半(21時LO)※土・祝は昼のみ営業
[休日]日
[交通]京急本線青物横丁駅から徒歩5分

『南天』 @椎名町

”豚肉どっさり”腹ペコも大満足の懐かしい旨さ

始発から終電まで、ほぼ休みなく26年間営業を続ける街の顔。創業から変わらぬ看板が「肉そば( うどん)」で、ツユで炊いた豚コマを、麺が見えないほどどっさり乗せる。

肉そば 450円

『南天』肉そば 450円 閉店から開店までの間に仕込むツユは、隠し味に玉ねぎのエキスを加え自然な甘みを生んでいる。肉そばダブル(肉2倍)は550円

やや平打ちでつるっとした蕎麦を引き出して、肉と一緒に勢いよく啜ればパワフルなのにどこか懐かしい、そんな実家の味を思い出した。

舌にじんわり沁みる甘めのツユは、朝方はあっさりと、夜になれば濃厚にと、そこで煮込む豚肉の量によって刻々と味が変化するのも何度も来たくなる理由。さあて、次はどの時間に行こう。

『南天』

[住所]東京都豊島区長崎1-2-2 アクティスビル1階
[電話]03-5966-3600
[営業時間]5時半〜翌1時半
[休日]無休
[交通]西武池袋線椎名町駅北口から徒歩1分

『加賀』 @初台

注文から作り出す 中までサクサクの”特大かき揚げ”

食券を渡すと「少々お待ち下さい」の声と共に、かき揚げのタネが油に落とされた。待つこと4分でやってきたのが厚さ5㎝はあろうかというこの勇姿。

かき揚げそば 520円

『加賀』かき揚げそば 520円 創業から38年。1日に200人以上の客が訪れる同店のかき揚げは、玉ねぎ、にんじん、ねぎを使い、低温の油で食感よく揚げる

薄い衣をまとったそれは、表面ばかりか中までサクサクだ。歯触り抜群の揚げ立てもいいけれど、食べ進むうちにツユに馴染んだ衣が日高昆布や魚介節の風味を押し上げて、深みがどんどん増していく。

加えてなめらかな麺肌に長さを持たせた蕎麦を啜れば唇も舌も喉も快感!かえしを効かせた温に、すっきりとした冷と、どちらも捨てがたい。

『加賀』

[住所]東京都渋谷区本町1-2-3
[電話]03-3320-8746
[営業時間]7時〜20時、土10時〜16時
[休日]日・祝
[交通]京王新線初台駅北口から徒歩1分

『やしま』 @西葛西

”絶品かき揚げ”に淀みないツユ 抜群の完成度!

驚くべき完成度なのだ。麺はかれこれ24年以上前から信州長野の製麺所から取り寄せる生麺。きれいにダシを取ったツユは醤油のカドや苦味を感じさせることなく、淀みない味わい。

かき揚げ天そば 470円

『やしま』かき揚げ天そば 470円 単品で買って帰る人も多いというかき揚げは味も濃く旨し。そば、ツユと一体になるとさらにイケる

店長の杉山さんが「普通のお蕎麦屋さんと同じ感覚で出したい」と食べ歩き、店主と二人三脚で試行錯誤を続けて来た味だ。すべてが手揚げだという天ぷらも種類豊富。

かき揚げは玉ねぎや小エビがたっぷり入って甘く、蕎麦ツユにほどけるところをズズっと口に運ぶのがまた旨い。食してなお余韻の残る美味しさだ。

『やしま』

[住所]東京都江戸川区西葛西6-14-1 メトロセンター2番街
[電話]03-3675-1461
[営業時間]7時~21時半(土・日・祝~17時)
[休日]無休
[交通]地下鉄東西線西葛西駅改札から徒歩1分

『おくとね』 @新橋

”巨大舞茸天”を崩しつつ 香りとともに味わう

刻んだ舞茸を巨大な薄焼き煎餅のごとく揚げた舞茸天が印象的なルックス。こちらでぜひ味わいたいのがこの舞茸天そばだ。

舞茸天そば 490円

『おくとね』舞茸天そば 490円 ひと口大の天ぷらでは「インパクトがない」と舞茸天は開店当初からこの形。飲み干せるツユの美味しさにもこだわりが

舞茸は店主の親戚がいる群馬県と埼玉県産。開店した28年前、まだ都内では一般的でなかった舞茸天の美味しさを知ってもらおうと名物にしたものだ。

からりと揚がった舞茸天をパリパリ崩しながら蕎麦をたぐると、きれいなツユと一体となって香りも上がり、なんとも旨い。削り節を使い、かえしで割ったツユも丁寧な作りで“飲める”美味しさ。最後のひと口まで堪能を。

『おくとね』

[住所]東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 地下1階
[電話]03-5568-3590
[営業時間]7時~20時
[休日]土・日・祝
[交通]JR山手線ほか新橋駅汐留口から徒歩1分

『柳屋そば店』 @笹塚

漆黒のツユと相性抜群な”スパイシーなカレー”

笹塚にある昔ながらの十号通り商店街。ここに49年前から店を構える小さな立ち食いそば店が『柳屋』だ。店を始めたのは現女将さんのお父さん。元々はここで実家の千葉で覚えた芋飴屋から始め、菓子屋を営んでいた。ところが近隣にスーパーが進出。若い頃、銚子の蕎麦屋で修業した経験もあったことから業種替えしたのだとか。

で、『柳屋』といえば当時から変わらないという漆黒のツユ。カツオ節とサバ節、昆布をしっかり使ったツユはコクがあるのだけどあたりは丸い。

さらにもうひとつの名物が毎日開店前から揚げ始めるホクホクの天ぷらたち。これがまた何とも素朴、ツユとの相性も抜群でいい。そして実はさらなる隠し球的人気メニューがキーマカレーそばだ。

キーマカレーそば 480円

『柳屋そば店』キーマカレーそば 480円 キーマは挽き肉たっぷりでかなりスパイシー。ねぎと玉ねぎのスライスもうれしい

「うちのツユに合うものを選んだ」というキーマのスパイシーな風味がツユのコクとまたとない組み合わせ!ジャガイモ天をのせるのも人気だ。

『柳屋そば店』黄色いプラのお品書き。店内はカウンターに丸椅子席が4つだが、雰囲気は昔ながらの立ち食いそのものだ

[住所]東京都渋谷区笹塚2-11-4
[電話]なし
[営業時間]6時10分~14時半
[休日]土・日・祝
[交通]京王新線笹塚駅北口から徒歩3分

撮影/大西尚明(そば切 うちば、南天、柳屋そば店)、小島昇(加賀)、西崎進也(やしま)、小澤晶子(おくとね)、取材/奈々山いく子(そば切り うちば、南天、加賀)、池田一郎(やしま、おくとね、柳屋そば店)

※2022年9月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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