「湯葉めし」の沁み入る旨さ 絶品!豆腐料理の専門店東京4選

『豆富食堂』豆腐めし 660円 カツオと牛肉の合わせダシを木綿豆腐にじっくり5〜6時間かけて味を含ませる。ちょっと濃いめのダシが染みて、粒立ち良く炊いたご飯が進む

厳選された国産大豆ときれいな水を使って丁寧に作られる豆腐。大豆の自然な甘みがとじこめられたみずみずしい味わいは、何もつけなくてもご馳走だ。専門店で味わえる逸品をご紹介! 『とうふ空野 渋谷店』 @渋谷 足しすぎず、引きす…

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厳選された国産大豆ときれいな水を使って丁寧に作られる豆腐。大豆の自然な甘みがとじこめられたみずみずしい味わいは、何もつけなくてもご馳走だ。専門店で味わえる逸品をご紹介!

『とうふ空野 渋谷店』 @渋谷

足しすぎず、引きすぎず 豆腐と真摯に向き合った端正なひと皿に唸る

豆腐は、それ自体が完成された料理。そんなことを思ったのは、こちらの「空野豆腐」を口にした瞬間のこと。

空野豆腐 1200円(2人前)

『とうふ空野 渋谷店』空野豆腐 1200円(2人前)豆腐のピュアな味わいを楽しむならコレ。できたては熱々で、少し冷めた頃合いには、さらに大豆の風味が強まる

七輪の上に置いた木箱の中で、北海道産のトヨマサリを絞った豆乳をニガリと合わせ、ゆるゆると温めていく。そうしてできあがったばかりの豆腐は、他に足し引きしようがないほど香り高く、澄んだ甘みがあった。

とはいえ、お品書きを眺めていると気になる料理も続々。毎日店で作る絹ごし豆腐を使った揚げ出しは、衣に馴染んだダシが絶妙な塩梅。少し固めに炊いたご飯に、これまた自家製のクリーミーな湯葉と餡が絡まる「湯葉めし」の沁み入るような旨さにも唸った。

どの料理にも、根底にあるのが豆腐へのリスペクト。店の開業からおよそ20年間、丁寧に向き合ってきたからこそ生まれた端正な味わいは、舌も身体も喜ばせてくれる。

『とうふ空野 渋谷店』

[住所]東京都渋谷区桜丘町4-17
[電話]03-5728-5191
[営業時間]17時〜23時(22時15分LO)、土16時〜23時(22時15分LO)、日・祝16時〜22時半(21時45分LO)
[休日]年末年始
[交通]JR山手線ほか渋谷駅西口から徒歩7分

『豆富食堂』 @恵比寿

工房と食堂を併設 甘い香りに包まれた店内で豆腐の奥深き魅力を知る

店内に足を踏み入れると、どこか懐かしくなるような甘い香りに包まれた。昨年11月にオープンしたこちらは、豆腐屋と飲食店のふたつの顔を持つ。

冒頭の香りの出どころは、店に併設された製造室。国産大豆「ミヤギシロメ」を仕入れ、宮城の老舗で修業した職人が朝から手作りする豆腐は、豆の風味をストレートに表現したふくよかな味わいだ。

おぼろ豆腐 550円

『豆富食堂』おぼろ豆腐 550円 大豆の甘みもコクも驚くほど濃く、舌触りもなめらか。ひと口目はぜひそのまま味わいたい。添えられたオリーブオイル+塩で食せば、ワインのお供にも

まず、おぼろ豆腐や湯豆腐で素の味わいを楽しんだ後は、ぜひ「麻婆豆腐」にも手を伸ばしてほしい。豚と羊のミンチ“麻”と“辣”を効かせたパンチの強い餡の中にあっても、主役は確かに豆腐なのだ。

さらには干し豆腐を麺に見立てた「豆腐白湯」や、バーガーなどの和の枠にとどまらないアレンジ料理も満載で、あれもこれも注文したくなる。豆腐という身近な食材の、その懐の深さを再発見した。

『豆富食堂』

[住所]東京都渋谷区恵比寿西1-3-1
[電話]03-6455-2516
[営業時間]12時〜14時半(14時LO)、17時〜23時(フード22時、ドリンク22時半LO)
[休日]無休
[交通]JR山手線ほか恵比寿駅西口から徒歩4分

『とうふ家 ゑん重』 @大塚

大豆の魅力満載!豆腐屋三代目が作った流れるような懐石コース

大豆って偉大だ。全10品のコースをひとしきり食べて、素直にそう思った。

豆の木 4042円(コース)

『とうふ家 ゑん重』豆の木 4042円(コース)の一部(右奥から時計回りに)里芋揚げ出し豆乳あんかけ すくい豆腐 本日のお通し 生湯葉 この日のお通しは冷製トウモロコシのポタージュ 豆乳仕立てと、自家製の飛龍頭。すくい豆腐は池袋にある実力派の「大桃豆腐」から作りたてを仕入れている

豆腐に豆乳、湯葉に油揚げが、時にはメインとなって、時には他の食材の支えとなって、全く異なる表情を見せる。しかもコースはひと皿ごとに味わいも食感も温度にも緩急が付けられていて、次の料理を待ち遠しくさせるのだ。

これを月替わりで組み立てているのが店主の近藤さん。豆腐屋の三代目として生まれ、自身も長らく家業を継いでいたが、現在は料理作りに専念している。

旬を織り交ぜた、品のある佇まいと味わいは上質な懐石そのものだが、ほぼ自己流で学んだというから、そのセンスに恐れ入るしかない。

ちなみに近藤さんの目指すところは現代版の「豆腐百珍」の制作とか。そんな意気込みは、繰り出される料理すべてから、しみじみと伝わってくる。

『とうふ家 ゑん重』

[住所]東京都豊島区南大塚3-45-7 ザ・シティ大塚1階
[電話]03-4361-4662
[営業時間]11時半〜15時(14時LO)、17時半〜22時半(フード21時、ドリンク21時半LO)
[休日]日・祝
[交通]JR山手線大塚駅南口から徒歩3分

『豆腐room Dy’s(ダイズ)』 @千駄木

毎日でも食べたくなる 名水仕込みの豆腐を使った創作料理とスイーツ

「ミルクの代わりに豆乳を飲んで育ちました」と語るのは、店主の吉越幸子さん。生まれは北千住で評判を呼んでいた豆腐屋だ。現在、実家の店は名水百選の地、佐野市の出流原町に移転し、今も素材と技に妥協なしの豆腐作りを続けている。

そこから毎朝直送される豆腐や豆乳は、幸子さんのアイディアと丁寧な手仕事でサンドイッチやケーキにと洋風に姿を変えつつも、いきいきとした大豆の風味は豆腐料理そのものだ。

アボカドサラダのヘルシー豆腐サンド 1350円(14時半以降はドリンク付きで1850円)

『豆腐room Dy’s(ダイズ)』アボカドサラダのヘルシー豆腐サンド 1350円(14時半以降はドリンク付きで1850円)白味噌を使ったドレッシングや豆腐のマヨネーズがあっさりと具材を引き立てる。パンも豆腐に合うようシンプルな味わいとふんわりとした口当たりに特注。豆腐サンドは全4種類を揃える

しっかりと水切りして半丁分を挟んだ豆腐サンドは、みずみずしい野菜の食感の後から大豆のおだやかな甘みがじんわり広がり、食べ応えも十分。

木綿と絹ごしを合わせたチーズケーキも、軽やかで優しい味わいにほっとする。そして店内の冷蔵ケースをのぞけば、湯葉やがんもに厚揚げなどがスタンバイ。さあて、どれを買って帰ろう。

『豆腐room Dy’s(ダイズ)』

[住所]東京都文京区千駄木2-48-18 カテリーナ千駄木1階
[電話]非公開
[営業時間]11時半〜16時(店内) 11時半〜19時(販売)
[休日]木
[交通]地下鉄千代田線千駄木駅1番出口から徒歩6分

撮影/貝塚隆、取材/菜々山いく子

※2022年10月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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