厳選された国産大豆ときれいな水を使って丁寧に作られる豆腐。大豆の自然な甘みがとじこめられたみずみずしい味わいは、何もつけなくてもご馳走だ。専門店で味わえる逸品をご紹介!
『とうふ空野 渋谷店』 @渋谷
足しすぎず、引きすぎず 豆腐と真摯に向き合った端正なひと皿に唸る
豆腐は、それ自体が完成された料理。そんなことを思ったのは、こちらの「空野豆腐」を口にした瞬間のこと。
空野豆腐 1200円(2人前)
七輪の上に置いた木箱の中で、北海道産のトヨマサリを絞った豆乳をニガリと合わせ、ゆるゆると温めていく。そうしてできあがったばかりの豆腐は、他に足し引きしようがないほど香り高く、澄んだ甘みがあった。
とはいえ、お品書きを眺めていると気になる料理も続々。毎日店で作る絹ごし豆腐を使った揚げ出しは、衣に馴染んだダシが絶妙な塩梅。少し固めに炊いたご飯に、これまた自家製のクリーミーな湯葉と餡が絡まる「湯葉めし」の沁み入るような旨さにも唸った。
どの料理にも、根底にあるのが豆腐へのリスペクト。店の開業からおよそ20年間、丁寧に向き合ってきたからこそ生まれた端正な味わいは、舌も身体も喜ばせてくれる。
[住所]東京都渋谷区桜丘町4-17
[電話]03-5728-5191
[営業時間]17時〜23時(22時15分LO)、土16時〜23時(22時15分LO)、日・祝16時〜22時半(21時45分LO)
[休日]年末年始
[交通]JR山手線ほか渋谷駅西口から徒歩7分
『豆富食堂』 @恵比寿
工房と食堂を併設 甘い香りに包まれた店内で豆腐の奥深き魅力を知る
店内に足を踏み入れると、どこか懐かしくなるような甘い香りに包まれた。昨年11月にオープンしたこちらは、豆腐屋と飲食店のふたつの顔を持つ。
冒頭の香りの出どころは、店に併設された製造室。国産大豆「ミヤギシロメ」を仕入れ、宮城の老舗で修業した職人が朝から手作りする豆腐は、豆の風味をストレートに表現したふくよかな味わいだ。
おぼろ豆腐 550円
まず、おぼろ豆腐や湯豆腐で素の味わいを楽しんだ後は、ぜひ「麻婆豆腐」にも手を伸ばしてほしい。豚と羊のミンチ“麻”と“辣”を効かせたパンチの強い餡の中にあっても、主役は確かに豆腐なのだ。
さらには干し豆腐を麺に見立てた「豆腐白湯」や、バーガーなどの和の枠にとどまらないアレンジ料理も満載で、あれもこれも注文したくなる。豆腐という身近な食材の、その懐の深さを再発見した。
[住所]東京都渋谷区恵比寿西1-3-1
[電話]03-6455-2516
[営業時間]12時〜14時半(14時LO)、17時〜23時(フード22時、ドリンク22時半LO)
[休日]無休
[交通]JR山手線ほか恵比寿駅西口から徒歩4分