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“町中華”と呼ばれるようになってからますます親しみが込もってきた、みんな大好き中華食堂。さらに最近ではどんどん進化(深化)しちゃいまして、アレとコレのミックスもアリなんだ、高級中華レベルなのにこんなに手頃なの!?本国より先行ってるんじゃないの~! な店、続出。そんなうれしい悲鳴を上げに、今宵ゆるりと出かけませんか?

『香記豚記(ホンキートンキー)』@新中野

扉を開ければそこは香港の屋台 異国情緒に酔いしれる

今日は旅行気分で楽しく中華を食べたい! そんな気分にぴったりな、カジュアルかつ本場の空気感あふれる店が続々と登場している。香港のストリートフードを集めた『香記豚記』はその代表格だ。

奥:肩ロース叉焼550円、手前:豚バラ叉焼550円
嚙み応えのある豚ロースと、脂の甘みが沁み出る豚バラの2種。野菜ダシと醤油や、味噌を合わせた漬け込み液の風味、焼き上げてから塗るハチミツのコクが利いた奥行きのある味。揚げピーナッツが添えられている

青菜やシュウマイが素朴な食器で出てくるさまは、まるで現地の屋台。部屋着風の客までいるが、まったく違和感がない。それはきっと、低めの丸椅子やテーブルが、現地のラフな風景を忠実に再現しているから。

しかし中華だからと紹興酒にこだわる必要もない。たとえば、チャーシューにはバーボンをどうぞ。豚の脂の旨みとバーボンの甘い香りが口内で調和して、思わず「こんな美味しさあったんだ……」とため息が漏れる。ほろ酔いになった頃には、ここが日本であることを一瞬忘れてしまうのである。

『香記豚記(ホンキートンキー)』

[住所]東京都中野区本町6-21-16 カーサ新中野1階
[電話]03-5340-7359
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時半~23時(22時LO)
[休日]月・火
[交通]地下鉄丸ノ内線新中野駅1番出口から徒歩5分

『旬菜china 口水(コウスイ)』@神田

すーっと上品に口の中から消えていく 美しい味に心奪われる

ギャップが大きいほど惹きつけられるのは人も店も同じだ。

店内はカジュアルな雰囲気で、前菜や揚げ物は600 ~ 800円といった居酒屋価格。すっかり気を抜いて座っていたが、厨房から運ばれてきた見目麗しい「特製よだれ鶏」に一瞬で目が覚めた。

特製よだれ鶏700円
タレの要・自家製甜醤油(テンジャンユ)は、ほんのり甘く、黒酢のまろやかな酸味も利いている。シェアする際はタレを小皿に多めにすくいたいほど美味

ふっくらとしたツヤツヤの骨付き鶏モモ肉は、食べる前から柔らかくてジューシーだとわかる。ラー油を混ぜた真っ赤なタレは辛すぎない上品な味。黒酢やスパイスの風味が食欲をそそり、二度漬け(いや、三度でも四度でも)したくなる。嗚呼!

シェフの鄭(てい)晃さんは横浜中華街で生まれ育ち、『ホテルオークラ』に26年勤めた経歴の持ち主。本格中華の技と味はそのままに、価格だけぐっと親しみやすくしてくれているのがありがたい。この店の登場に、心から感謝したい!

『旬菜china 口水(コウスイ)』

[住所]東京都千代田区神田紺屋町6-3
[電話]03-6674-9959
[営業時間]17時~22時(21時半LO)
[休日]日・祝
[交通]JR山手線ほか神田駅東口から徒歩4分※昼(11時半~14時半)は、担々麺と醤油ラーメンの2種のみで営業

『中華 汀』@江戸川橋

若き店主が始めた実力派のネオ町中華 日常のごちそうが勢揃い

町中華といえば、いつでも気軽に行けて、地域の人々の胃袋の支えになってくれる、ありがたい存在。四川の名店「神楽坂芝蘭」で料理長も務めた、若き店主・江崎さんが目指すのも、まさにそれだ。

麻婆豆腐や成都担々麺といった伝統的な四川の味はそのままに、焼餃子や焼売、チャーハンなどの日常の料理も大事にする。しかも夜でも麺類だけ、はたまたメインにご飯を付けて定食でという楽しみ方もあり。

奥:回鍋肉1100円。 油や湯通しをせず、生から炒めることで豚肉の旨みを引き出す。具材に入るスライス生姜が香りと食感のアクセント
右:トマトと卵のふんわり炒め1100円。 シンプルな塩味の中にも、トマトの酸味や玉子の甘みが生きていて、ご飯にもお酒にも合う
手前:麻婆豆腐1100円。 辛さや痺れは控えめながら、醤をしっかり炒めた香ばしさが味に厚みを出している

一方、飲んべえに向けては、紹興酒や白酒に加えて、中国各地の地酒・黄酒なんて変化球も。晩メシも、飲みたい気分もかなえてくれる懐の深さも町中華のスタンスだ。

店名は水のほとり、波打ちぎわといった意味。転じて心おだやかになれる場所という想いも込めて、たくさんの料理を作って待っていてくれる。

『中華 汀』

[住所]東京都新宿区山吹町128 米川ビル1階
[電話]070-8373-4767
[営業時間]11時半~13時半LO、17時45分~20時LO
[休日]日(他に不定休あり)
[交通]地下鉄有楽町線江戸川橋駅1b出口から徒歩6分

『喜記(ヘイゲイ)』@銀座

本場香港で広東料理を学んだシェフが腕を振るう

聞けばこの店、ひとりで来店し点心のコースを注文したり、紹興酒を飲みながら前菜をつまんだりするツウな客が多いらしい。酒好きにとっては頼もしい情報だ。

料理長・山﨑浩一さんが心がけているのは「塩や調味料を控えめにして、余計な味付けをしないこと」。だが、どの料理も味わいの輪郭がしっかりとしていて、食べ応えがある。香港で修業を積んだ山﨑さんが熟練の技を使い、素材本来の味を最大限に引き出しているからだ。

鮑とトリュフ和牛の黒胡椒パイ1200円(1個)
パイに包まれた黒胡椒煮の牛肉と、上に乗ったアワビには素材の旨みが凝縮されていて、これ1個でビール
1杯飲めるほど満足感のある味。香港『カーボンブリューズ』の缶ビールも店のオススメのひとつ

たとえばアワビの乗ったパイは、少しずつかじってチョビチョビと酒をすすりたくなるほど、旨みが凝縮。

自分へのご褒美にきれいな中華料理を食べに行きたい。そんな日にピッタリの一軒だ。

『喜記(ヘイゲイ)』

[住所]東京都中央区銀座5-7-10 EXITMELSA7階
[電話]050-3173-1505
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時半~21時(20時半LO)、土・日・祝は11時半~21時(20時半LO)
[休日]無休(*施設に準ずる) 
[交通]地下鉄銀座線ほか銀座駅A2出口から徒歩2分、JR山手線ほか有楽町駅銀座口から徒歩7分

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