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『麺創庵 砂田』@巣鴨

懐かしくも新しい砂田流の白河ラーメン 拍手喝采の完璧なる1杯

時代に左右されない中華そば。それを目指して店主・砂田さんがたどり着いたのが福島のご当地麺、“白河ラーメン”だった。

なるほど、心に沁みる懐かしさがある。しかしスープから立ち上るスモーキーな香りは今までにない新味に満ちていた。

この香りの要となるのが実はチャーシュー。吊るし焼きの際、炭火に滴る肉汁から上がった煙で燻された豚内モモ肉を醤油ダレに漬けこむ。深い香りとエキスがにじんだタレは、そのまま“かえし”に使われる。

そこへ銘柄鶏や豚ゲンコツなどを素材に、数段階に分けて炊いたスープを注げば、各々の旨みが完璧に調和する。さらに麺は仕込みから3日間熟成させた手打ちの手揉みで、プリッと弾けるようなコシとなめらかに唇をなでる感覚が愛おしい。

声を大にして言おう。嗚呼、こんな中華そばを求めていたんだ!

中華そば(780円)

豚内モモ肉を使うチャーシューは、しっとりと焼き上げ、身からあふれる燻香が徐々にスープに溶け出すことでさらに奥深い味へ変化する。

歯応えあるメンマ、瑞々しく茹でられた小松菜、魚のすり身の味を感じる無添加のナルトと、トッピング類も名脇役だ

炭火で焼いた香り高きチャーシューが、中華そばの味作りには、なくてはならない重要な要素だ
チャーシューワンタン麺(1130円)

「中華そば」に加え、豚肩ロースのチャーシューと、鶏挽き肉で作るワンタン3個がのる。

ワンタンの皮は麺と同じ生地を薄く伸ばしたもので、ツルっとした口当たりが心地良い。餡は中華そばと同じタレやスープで味付けし、全体の一体感を生んでいる

[住所]東京都豊島区巣鴨4-24-6
[電話]なし
[営業時間]11時~17時※売り切れ次第終了
[休日]水、第2・4木
[交通]JR山手線巣鴨駅北口から徒歩8分

『麺創庵 砂田』内観

『らぁ麺や 嶋』@西新宿五丁目

醤油のキレと多重な旨み 何種類もの食材を丼の中でまとめ上げる

『支那そばや』、この店名は誰しも知るところだろう。そう故・佐野実氏の店だ。氏のラーメン作りに憧れて門を叩いたのが盛島さん。技術だけでなく信念や食材に対する姿勢も刻み込んだ。

そんな彼が作るのが、スープに山水地鶏や信玄どり、豚のゲンコツや背ガラ、さらに魚介類と、ここでは書ききれないほどの素材を組み合わせた1杯だ。タレにも5種類の醤油と魚醤を使う。

これだけの食材を駆使してもなお、すべてが必然のように丼の中で協調し、多重で複雑な旨みや香りとなって押し寄せる。

小麦の風味を引き出す麺の茹で方、直前に備長炭で炙るチャーシューなど、一分の隙もない完成度だ。

醤油らぁ麺(880円)

タレには風味の強い生揚げ醤油や能登魚醤など何種類もブレンド。風味やコクの中にキレが光り、のど越しの良いストレート麺がよく絡む

鰹昆布水つけ麺(醤油、1000円)

粘りの強いガゴメ昆布とカツオダシに麺を浮かべ風味を引き立てる

チャーシューは直前に備長炭で炙って香ばしさと薫香をプラス 

[住所]東京都渋谷区本町3-41-12
[電話]なし
[営業時間]11時~16時 ※売り切れ次第終了
[休日]木
[交通]都営地下鉄大江戸線西新宿五丁目駅A2出口から徒歩4分

『らぁ麺や 嶋』内観

『麺や べらぼう』@銀座一丁目

煮干しの滋味あふれる上品なスープと幅広の手揉み麺

ウルメやキビナゴなど数種類の煮干しと昆布だけでとるスープは、まさしく淡麗! 雑味やエグみを抑え、後味に残るほのかなビター感が舌を引き締めてくれる。

煮干しスープには、ストレートな細麺が定番の組み合わせだが、敢えての幅広ちぢれ麺を持ってきた。これが大正解! シルクのごとくなめらかな麺肌がピロピロと唇に当たる感触が心地良く、いつまでも啜っていたくなる。

そして何と言ってもチャーシューの旨さよ! 豚肩ロースを低温でレアに仕上げ、厚めに切ってのせている。これがしっとり柔らかな上、脂身が少なくあっさり。我々“おとな”世代でもペロリと入ってしまうのだ。

淡麗煮干(850円)

ラードに煮干しの香りを移した香味油が表面を覆い、啜れば香りが弾けるように広がる。アオサの風味もスープや麺によく合う

チャーシュー淡麗煮干(1150円)

丼一面に乗るチャーシューは、150g~180g。とんかつ肉約1枚分の大奮発!

スープに合わせて選んだ手揉み麺は、京都の製麺所から直送

[住所]東京都中央区銀座1-14-15
[電話]なし
[営業時間]11時~15時半、17時半~21時 ※売り切れ次第終了
[休日]日・祝
[交通]地下鉄有楽町線銀座一丁目駅10番出口から徒歩2分

『麺や べらぼう』内観

『くじら食堂bazar』@三鷹

本場公認! 都内で唯一認められた笠岡ラーメン

東小金井の実力店『くじら食堂』のセカンドブランドで、岡山のご当地麺“笠岡ラーメン”を看板に掲げる。

親鶏でとったスープと醤油ダレで煮た親鶏のチャーシュー、斜めに切ったワケネギがのる本場仕様で、都内で唯一、笠岡から公認を得ている本物の一杯だ。

ただし、現地で主流の低加水のストレート麺ではなく、同店のトレードマークである中細ちぢれ麺を合わせてオリジナリティをプラス。細かいウェーブに鶏の旨みと醤油の香りが見事にのった麺は、するすると軽快な啜り心地もまた素晴らしく、箸が止まらなくなる。

麺とスープのコンビネーションの良さにも感服せずにはいられない。

醤油(800円)

茹でる前によく揉んで、麺にちぢれを加えている

葱皮(1000円)

甘辛く煮たショウガ風味の鶏皮と大量の白ネギを散らした一杯

花椒と黒コショウでアクセントを加えたコリコリの親鶏チャーシュー


鶏のコラーゲンをたっぷり含むスープには魚介のダシが合わせてある。冷蔵庫で冷やしておき、注文ごとに手鍋で温めて提供

[住所]東京都武蔵野市西久保1-5-8
[電話]0422-27-7330
[営業時間]11時~15時、18時~21時
[休日]日の夜
[交通]JR中央線ほか三鷹駅北口から徒歩5分

『くじら食堂bazar』内観

『中華そば うめ川』@板橋区役所前

ラーメンとチャーハン 旨さを増幅し合う新潟名物の満腹セット

新潟市内の多くのラーメン店や中華料理店で出される隠れ名物グルメ、それがご覧の“ラーチャン”。いわゆる半チャンラーメンのセットだ。市内の人気店『来味』の東京支店だったこの店を、当時の店長・梅川さんが譲り受け、リニューアルオープンした。

まずはラーメン。品の良い煮干しのダシに、厚みを持たせる豚骨を合わせ、薄口醤油で仕上げたすっきりとした味わい。一方のチャーハンは、ラードで米をふわパラに炒めたパワフル系。

それらを交互に食べればわかる。両者が支え合ってこそ、単品ではわかり得ない真の旨さが発揮されるのだ! ちなみにこのラーチャンは昼も夜も味わえる。

ラーチャン(1050円)

チャーハンの具は刻みチャーシューとネギ、玉子とシンプル。米粒をスープで流し込み、箸に持ち替えのど越しの良いストレート麺を啜る。自由自在に味わいたい

旨エビそば(950円)

「ラーチャン」の中華そばに自家製の蝦醤(エビペーストの調味料)と揚げた桜エビをトッピング。煮干しの香りにさらなる深みを加える

煮干しを引き上げる一瞬のタイミングに注力した、エグみや雑味のないスープ。あっさりとしつつも多重な厚みを感じる味わいだ

[住所]東京都板橋区板橋3-44-6
[電話]03-5375-5037
[営業時間]11時~14時半(14時20分LO)、17時半~21時(20時50分LO)
[休日]火、月の夜
[交通]都営地下鉄三田線板橋区役所前駅A1出口から徒歩6分

『中華そば うめ川』内観

『オールドラーメンショップ 逆流』@板橋本町

老舗の味をパワフルに仕立てて現代風にアレンジ

十条の人気店『煮干そば 流。』の新ブランド。店主が影響を受けた古き良き老舗のラーメンたちを現代風にアレンジして提供している。

スープは、豚のゲンコツをベースに豚足や豚、背脂で重厚に炊き上げ、6種類の煮干しと節類で力強いダシを重ねたもの。

『大勝軒』の味をオマージュしたという看板の「ラーメン」は、クラシカルながらもどっしりとした味わいに仕立てている。つるつる、もちもちの自家製麺も絶品で、200gのボリュームにも大感謝。食後の満足感もひとしおだ。

ほかにも『丸長』インスパイアのつけ麺や『珍珍亭』をイメージした油そばなど、リスペクトメニューが多数!

ラーメン(並、830円)

チャーシューは八角がふわりと香る肩ロース

背脂煮干しラーメン(900円)

粗めにクラッシュした背脂をふり、かえしを強めに利かせたパワフルなラーメンは、新潟“燕系背脂ラーメン”の元祖『杭州飯店』からインスパイア。トッピングには玉ネギやバラ海苔などがのる

煮干しはアジ、ヒラゴ、カタクチ、ウルメ、シロクチの6種類をブレンド。メインで使うカタクチは、青森産と千葉産の2種類を使っている

[住所]東京都北区西が丘3-1-3-102
[電話]03-5948-5820
[営業時間]11時~15時LO、17時~21時LO
[休日]火
[交通]都営地下鉄三田線板橋本町駅A2出口から徒歩9分

『オールドラーメンショップ 逆流』内観

『つけ麺 麦の香』@西早稲田

こんな麺、初めて! 香り豊かな小麦の風味としなやかなコシに感動

6年連続でミシュランのビブグルマンに選ばれている『らぁ麺やまぐち』による、“麺”を主役に立てた新ブランド

北海道産小麦と全粒粉をブレンドして作るオリジナル麺は、華やかな小麦の香りとしなやかなコシが特長で、麺の本当の美味しさに気付かせてくれる

なめらかな食感を邪魔しないよう粒子の細かい全粒粉を合わせたり、理想の弾力に仕上がるよう小麦に含まれるタンパク質の量まで計算してから配合していると聞いて、「そりゃあ、美味しいわけだよね」と納得。

ゲンコツ・鶏ガラベースの厚みのあるダシに魚介の旨みをしっかり利かせたスープもさすがの味わいで、貫禄すら漂う。

ラーメン(1080円)

看板は「つけ麺」ながら、「ラーメン」も圧倒的な仕上がり。厚めに切られた肉々しいチャーシューも旨さが際立つ。肉は、上質な国産豚かスペイン産ガリシア栗豚の肩ロースを使用している

ゆず香 塩つけ麺(並、1080円)

麺を茹できって締めることで、“硬さ”とは異なる本当の“コシ”が出せるそう。酢の酸味におろしたユズ皮とユズオイルの香りを加え、爽やかな味に仕立てている

小麦とかんすい、塩、水だけで作る自慢の麺。「ラーメン」でも1人前250gあり、もちもちの麺を心ゆくまで味わえる

[住所]東京都新宿区西早稲田2-11-13
[電話]03-6233-7807
[営業時間]11時半~15時LO
[休日]月
[交通]地下鉄副都心線西早稲田駅1番出口から徒歩5分

『つけ麺 麦の香』内観

『麺笑 巧真』@八王子

見惚れるほどの美しき麺 若き店主の思いやりが詰まった至福の1杯

整然とスープに浮かぶ麺に、目が釘付けになった。

大釜のたっぷりの湯で泳がせるように茹でてから、平ザルの上で丁寧に折りたたみながら湯切りする。流れるようなその手つきは思わず見惚れるほどだ。

醤油のスープは鶏ガラと豚の背ガラの動物系に、数種類の魚介節のダシをミックス。淡麗すぎず、濃厚すぎずのちょうどいい塩梅に、誰もが「これだよ、これ!」と膝を打つような1杯に仕上げている。

しかも、オール国産食材で揃えながらも、今どきなんと650円!

「高校生でもお年寄りでも、みんなに気軽に食べて欲しいから」だそうな。24歳の若き店主のそんな心意気もあっぱれ!

醤油らーめん(650円)

ストレート麺は啜り心地も小気味良く、歯切れも抜群! モダンな見た目ながらも懐かしい味わい

塩らーめん(650円)

魚介節でとったスープはすっきりとしつつも厚みがある。散らしたブドウ山椒がアクセント

焼豚丼(夜のみ、350円)

薄くスライスしたレアチャーシューをライム塩とゴマ油で食す

醤油にも塩にも合う低加水の中細麺をチョイス

[住所]東京都八王子市明神町4-12-2
[電話]非公開
[営業時間]11時~14時半、17時半~21時、土・祝11時~17時
[休日]日
[交通]京王線京王八王子駅西口から徒歩2分

『麺笑 巧真』内観

『中華そば ふるいち』@羽村

鶏・豚・牛の旨みに煮干しで香り付けた ネオクラシカルな一杯

店主は、多摩エリアを代表する名店『ムタヒロ』グループで店長を務めていた実力者。“地域に根付く中華そば”をコンセプトに掲げるラーメンは、懐かしさの中にも洗練さが見え隠れする。

その秘密は、幾重にも旨みの層を重ねたコクのあるスープ。定番素材である鶏ガラと豚のゲンコツのほかにも、牛骨を使うことで独特の甘みを重ねている。

さらに、修業先の象徴でもある煮干しをガッツリ利かせてスープのダシ感を一層強調。クラシカルな佇まいとは裏腹に、どっしり飲み応えのある味わいに仕立てた。

加水率高めの手もみ麺も、細めながらももちもちとしていて、やみつきになる食感!

中華そば(750円)

煮干しが利いた旨みあふれる一杯

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塩中華そば(750円)

貝の旨みを立たせて、ダシ感を際立たせている

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煮干しは上質なダシがとれる伊吹いりこをメインに使用する


チャーシューは国産豚の肩ロースを吊るし焼きにしたもの。燻香が食欲をかき立てる

[住所]東京都羽村市五ノ神4-6-9 東洋第5ビル1階
[電話]042-533-5203
[営業時間]11時半~15時、18時~23時
[休日]日の夜、月
[交通]JR青梅線羽村駅東口から徒歩5分

『中華そば ふるいち』内観

『麺処 ほん田 秋葉原本店』@秋葉原

4年熟成モノまで! 醤油にこだわったご褒美ラーメン

東十条の名店が、古巣を離れてリニューアルオープン。「日本一の醤油ラーメンを作りたい」と、メニューも一新させた。

今度のラーメンの主役は、ズバリ“醤油”。和歌山や群馬の蔵から取り寄せた濃口の生醤油をメインに、4年熟成の再仕込み醤油などを合わせ、すっきりとした味わいとしっかりとした余韻を両立させている。

スープの軸は数種類の地鶏で、ゲンコツが下支えをする構成。そこに昆布や煮干し、サバ節などでとる魚介ダシとハマグリのダシを加え、主役の醤油を至極の旨みで迎え入れる。

大量の食材を使うため、スープの密度が濃いのも特長。見た目は澄んでいるのに、圧巻のコクだ!

醤油(1100円)

デフォルトでも吊るし焼きにしたロース、低温調理の鶏モモと豚肩ロースの3枚がのる

特製塩つけ(1600円)

まずはカツオ昆布水を纏った麺をひと口。さらに、藻塩で麺の美味しさを楽しむべし。

途中、ユズ皮や辛味大根で味変するのが◎。特製は4種7枚のチャーシューやブランデー風味の味玉などがのる豪華な仕様

5種類の醤油で作るかえし。スープの熱で一層香りが際立つ 


移転を機に自家製麺を開始。スープとの馴染みがよく、風味も抜群!

[住所]東京都千代田区神田花岡町1-19
[電話]070-7793-3979
[営業時間]11時半~15時、18時~22時
[休日] 月の夜(水は限定麺の日として営業)
[交通]JR山手線ほか秋葉原駅中央口から徒歩1分

『麺処 ほん田 秋葉原本店』内観

撮影/西崎進也(麦の香、ふるいち、ほん田)、小島昇 文/松井さおり(くじら食堂bazar、逆流、麦の香、ふるいち、ほん田)、菜々山いく子

※店のデータは、2021年2月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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