SNSで最新情報をチェック

画像ギャラリー

日本で生まれ、幼少期に中国・南京へ、青年時代はアジアや南米を放浪しながら食べ歩き、帰国後は独自の中国料理で独立、腕1本でテレビや雑誌で話題の人気店に……。それだけでも映画になりそうな人生だ。主人公の店主は台湾と日本のハーフ、小林龍太さん73歳。舞台は東急東横線の学芸大学駅(東京都目黒区)から徒歩3分。料理の“味”も、店主のお人柄の“味”も、ふたつの魅力があふれる“味な店”。狙ったのか狙わないのか、その店の名は「味」×2で『味味』という。あ、ミミと読みます。

人気番組「きたなシュラン」で紹介された名店

初めて訪れた時はまあ戸惑った。一見、職人気質風の店主でビビったけど、話してみれば親戚のおじさまみたいにとってもお茶目でフレンドリー。席に座るや「何食べる?」からの「うーん、黄ニラと肉炒めかな」からの「麻婆豆腐オススメだヨ、食べる?」からの「じゃ、それに決めた、紹興酒もね」。

店主の小林龍太さん

あれ? 私この店の10年来の常連客だっけ。初めてなのに妙に居心地いい。ハッキリ言って店は狭いし(1階は4人がけテーブルひとつとカウンター4席、2階は10人の宴会もできます)、お世辞にもオシャレとは程遠~い雰囲気。ハマる人はどっぷりハマるが、そうでない人もいるかもしれない。とんねるずの人気番組の企画「きたなシュラン」でも紹介されたと聞けば、何となくおわかりですよね? 

ところがその小さな厨房から繰り出される料理の数々が、どれも反則でしょっ! と鼻息荒くなるほど美味しいのです。先の「四川風麻婆豆腐」(1人前1370円)なんて、高級店も含め人生で食べたそれのベスト5に入るもんね。ピリッとした花椒が香り高く、幾重にも旨みが重なった味わいは上海蟹を漬け込んだ紹興酒が隠し味。辛いだけじゃなく奥深い旨辛さっていうのかなあ。プロの技ってこういうことかあ~としみじみ思い知らされた。そうそう、「黄ニラと肉炒め」(1810円)もやっぱり食べたくて注文したけど、これも黄ニラのしなやかな食感と豚肉のコクが絶品。つまるところ、全部ヒット!

北京や上海などのほかアルゼンチンやカナダ、ハワイ…世界各地で食べ歩き

欠かせない名物のひとつが「ニララーメン」(920円)だ。紙吹雪のように丼一面に広がったニラの風情は常連曰く「緑の絨毯」。秘訣は生のニラをたっぷり使うこと。それを茹でた麺の上にドサッ。で、豚挽き肉と溶き卵が入った熱々の鶏ガラスープをジャーッ。後からかけることで生ニラの風味や甘みが際立つんだそうだ。麺を啜ればコロナ禍の憂鬱な気分も吹っ飛ぶ旨さ。程よい酸味がさっぱりで、油分はほぼないからスルスルスルッとまるで清流の如く胃袋へ。文字通り、麺食らった、いや面食らった。

「ニララーメン」

ホクホク顔で味わっていると、「美味しい? ニラはビタミン豊富だから、冬は風邪予防、夏は夏バテ予防になるヨ。お酒飲んだ後でもスッキリするヨ~」。ちょっぴりたどたどしい日本語で愛情たっぷり、満面の笑みでそう言われちゃったら、もう味に店主に惚れてまうやろー! そしてこう思うのだ。アナタ、一体ナニモノなの?

最初にも少し書いたが、店主の小林さんは台湾人の父親と日本人の母親の間に生まれた。5歳になる頃に中国・南京に家族で移り住み、自身は32歳頃まで暮らしたという。食べることが大好きで、20代の頃は北京や上海など中国各地はもちろん、アルゼンチンやカナダ、ハワイなど各地を旅しながら食べ歩き、「美味を覚えるのは自分で味わってみないとわからない」との信念で“舌”を磨いたそうだ。中国では技術職の会社員も経験したが、30代で日本に戻ってからは中華料理店でも働き、26年前の47歳の時に今の店をオープンした。
「私の料理は各地を食べ歩いて研究した独学の自己流。あっさりした味が好きだから、どれも油は控えめ。ヘルシーで美味しいヨ」

次のページ
20年間研究を続けて完成させた「北京水餃...
1 2

この記事のライター

関連記事

あなたにおすすめ

最新刊

月刊誌『おとなの週末』7月号は本日発売!巻頭特集「東京 下町 おいしい旅」に加え、魅力的な記事の中か...