ひたすら地方のライヴハウスを回って…
札幌の屈辱をバネにしたのか、オフコースは日本全国の小さなライヴハウスを精力的に回り始めた。5人、10人という少ない観客の中からライヴを始めて、徐々に人気を積み上げてゆくスタイルは当時の主流であった。現在のJ-POPシーンのようにYouTubeなどのSNS、ブログなどで自分たちの音楽を広めることはできなかった。
とにかく、ひたすら地方のライヴハウスを回る。このスタイル、叩き上げで育つとミュージシャンには底力が生まれる。小田和正だけでなく、吉田拓郎、山下達郎、細野晴臣、大滝詠一など昭和に人気と実力を育てたミュージシャンは、すべて地道な活動から自己を鍛え上げていたのだ。
岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。