安心安全、健康によい大豆ミートの料理を作りたい
「『SDGs』が叫ばれる今、ひとりの人間として環境問題、食糧問題には関心があります。そんななか、『プラントベースミート(大豆ミート)』を使った製品が増えてきました。
でも、料理の大前提である『味』が忘れられていること、それに大豆ミートには意外に添加物が多く使われていることがずっと気にかかっていたんです。
自分たちの手で、なんとか、おいしく、しかも安心安全、健康によい大豆ミートの料理ができないか。試行錯誤しているうちに、『Deats(ディーツ)』というおからとこんにゃくで作られるサスティナブルフードに出合いました。
においやえぐみが一切なく、しかも添加物はこんにゃくを固めるための水酸化カルシウムのみ、という素晴らしい食材です」
この「Deats」に選び抜いた国産大豆ミートを合わせて、何度も味や食感の調整をしたのが、この「オルタナティブバーガー」のパティだ。牛肉そのまま、というのではない。歯応えがよく、他の具材との調和が素晴らしい。同じ素材を使った、ミートソース、カレーライスもいただいた。臭みがまったくなく、私は普通の挽き肉よりも好きかもしれない、と思う。
「フェイクの肉を作ろうとして作ったわけではありません。肉を一切使わずにおいしいハンバーガーを作ろうとした結果です。肉屋が言うのもなんですが、『たまには、お肉を抜いてみませんか?』」
福島さんはこう締めくくった。
肉が手軽に、世界で多くの人々の口に入るようになったことは、もちろん幸せなことだ。しかし、多くの人が肉を食べるようになったことで、深刻な問題が起きていることも厳然たる事実なのだ。
肉を生産するためには、穀物やトウモロコシなどの飼料や水が膨大に必要だ。水源の取り合いや、飼料を栽培する農地や牧草地を増やすため、農地の開墾に伴う森林伐採が問題になっている。また、牛のゲップによるメタンガスの排出は、気候変動のひとつの要因だ。そのため、肉のなかでも、牛肉はもっとも環境負荷が高いと言われている。
牛肉だけではない。たとえばうなぎ。いつまでも食べられて当たり前と思っていたものが、実は当たり前ではないという事実を、私たちは突き付けられている。
そんな今、「オルタナティブバーガー」の発売は、「肉屋」ヤザワミートの大胆な、そしてとても大事な問いかけなのではないか。
■『BLACOWS(ブラッカウズ)』
[住所]東京都渋谷区恵比寿西2-11-9 東光ホワイトビル1階
[電話番号]03-3477-2914
[営業時間]11時~15時(14時LO)、17時〜22時(21時LO)
[休み]12月31日〜1月2日
[交通]東急東横線代官山駅から徒歩5分
取材/本郷明美