天神南駅の人気ラーメン居酒屋が鳥焼肉専門店にリニューアル!七輪焼きとすき焼きで鶏の新しいおいしさを知る

今、福岡でアツいエリアのひとつ、天神南駅周辺。その中で注目のお店が『名門』。ラーメン居酒屋だったのが、鳥焼肉専門店としてリニューアルしたのだ。鶏料理の新たな魅力を味あわせてくれるというその料理とは!?

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鶏を扱う名店から生まれた、新たな鶏料理の楽しみ方

2023年3月27日、福岡市営地下鉄七隈線が博多駅まで延伸した。福岡市民にとっては長年の願いで、利便性も格段によくなった。同時に、今回の延伸で新たに博多駅の直結となった天神南駅周辺の渡辺通り5丁目あたりも新店のオープンが続いている

ラーメン居酒屋として人気だった『名門』も、鳥焼肉の専門店として2022年11月にリニューアルオープンした。

堂々、「鳥焼肉」の暖簾が店の目印。この暖簾をくぐれば、鳥の美味しさの虜になること必至だ

『名門』は、名店として知られる『焼とり 鳥次』、『博多水炊き専門 橙(だいだい)』の姉妹店で、朝挽きの鶏を毎日店でさばき、使う。その仕事の確かさ、味の良さで定評がある。『鳥次』、『橙』ともに予約が取りにくい店としても知られている。その2店と同じ肉が出されるのだから期待も高まる。

ところで、福岡に「鳥焼肉」だけに特化した店は多くないが、「鳥焼肉」と名乗る店は全国的には増えているらしい。福岡でも店名に「鳥焼肉」を謳う店がチラホラ出はじめているようだ。鶏好きにとってはうれしい話題だ。

まずは七輪焼きで鳥の味を知る

『名門』を訪ねてみると、店の造りはラーメン居酒屋の頃とほぼ同じ。店に入ってすぐにL字のカウンター席があり、奥はテーブル席が並んでいる。変わったのは、七輪を使うため、かなりしっかりした換気扇が装備されたことくらいだ。

店に入ると、8人がけのカウンター、スタッフとの会話も楽しめる特等席だ

メニューはシンプルで、鳥焼肉の「おまかせコース」と「かるめコース」のふたつ。おまかせは、お腹がいっぱいになったらストップをかけるコースで、部位や内容がバラエティに富み、非常にお得な価格設定になっている。

食べた量により金額は変わるが、通常だと3000~4000円くらいになることが多いそうだ。また、鳥をさばいていく過程で出てくる希少な部位がコースに加わることもあるという。

魅力的だが、今回は初めてということで「かるめコース」を選んだ。むね、もも、手羽、砂肝、ハツなどさまざまな部位の鶏肉と野菜が8~9品盛り付けられ、これも十分お得に思える。足りなければ、単品の追加も可能だ。

「かるめコース」(1800円)。これで1人前はうれしいボリューム。内容はその都度変わる。追加の単品メニューもいろいろある

ブランド鶏は扱わず、品質の良い朝引きの鶏を店頭でさばくというが、単品メニューの中で唯一といっていいのが愛媛のブランド鶏「ひめっこ地鶏」だ。

愛媛県から取り寄せているという「ひめっこ地鶏」(1280円)。この時は、ハラミがあったので、それも入っている

「これはおいしかったんで扱うことにしたんです」と、店長の橋本正太さん。さばく中で出てくる珍しい部位もある。この日は、「提灯」が出ていた。コース以外でも、やっぱり珍しいものは頼んでみたくなる。ちなみに、質問すれば、部位のことから焼き方まで、教えてもらえるので心強い。

これまた、ある時だけ食べられる「提灯」

タレは3種類。醤油ダレ(名店が吟味したタレなので当然旨い)、ごま塩(シンプルだけど肉の味が際立つ)、オリーブオイルとレモン(これは最初に味わった方がいい)。

鳥焼肉を無限においしくしてくれる3種の調味料。オリーブオイル、ごま塩、タレ。決まりはなくて、自分の工夫でいろいろな使い方ができるのがいい

最初のふたつで肉も野菜も十分おいしく食べられるので、つい、オリーブオイルのことを忘れそうになるが、これと、塩ネギの相性が抜群。さらに、焼いたトマトも潰してソースに使えば、鶏肉が無限に食べられそうなくらい味わいを増す。

いろいろな焼き方を試した結果、鶏がおいしく焼けるのが七輪だったそうだ。焼けるのは、意外に早い

鳥焼肉の楽しさは、焼き加減を自分で調整できること。皮めこんがりとか、ムネは軽く炙るだけとか、自分好みに火を入れられる。さらに、調味をいろいろ試してみると、焼き鳥とは違う、鳥の新たな味わいにハマりそうだ。

すき焼きで目覚める鳥の新しい味わい

さらに、2023年4月からこの店の自慢のメニューが増えた。

「鳥すき」、鳥のすき焼きである。すき焼きならではの甘辛い味が鶏肉によく合う。が、福岡ではあまり鳥ですき焼きを食べるという機会はなかったかもしれないが、改めて鳥すき焼きのおいしさに目覚める人が増えそうな予感だ。

特に、この店の鳥すき焼きは、調理場で作ってもらえるので、焼きすぎて焦げたり、煮詰まったりすることなく、一番おいしい食べ頃の状態で目の前に供される。 

鳥すき焼きを作ってくれた店長の橋本正太さん。味付けはいろいろ試したそうで、濃すぎず、薄すぎず、鶏と野菜のおいしさが味わえる仕上がりになっている

キンカンという卵になる前の鳥モツが盛り込まれている時点で、鶏をさばくこの店らしい。鶏肉も旨みが出るように数種ブレンドされているという。

今回は、マッシュルームやトマトがたっぷり入った「トマ鳥すき」をセレクト。味は和風だが、クレソンなど洋野菜がとてもいいアクセントになっている。

「とま鳥すき」(3000円)。一番食べ頃の状態で提供される

牛肉のすき焼きと同じように生卵でいただく。1人前、2人前でなく、2〜3人前の1鍋で3000円というからお得だ。

また、白菜ではなく、水分が出にくいキャベツを使っているのは、水炊きの店『橙』の姉妹店ならでは(博多の水炊きは一般的にキャベツを使う)。すき焼きには、柔らかくなったキャベツもよく合うのだ。

また、程よく火が入ったキンカンはまろやかで柔らかく、美味。これは、早めに味わった方がいいそうだ。そして、野菜がいろいろ入っているせいか、全体的に軽い。どんどん食べられる。

そして、食べ終わった後のお楽しみは、鍋に卵を落として親子丼風にいただくのがオススメ。鶏と野菜の旨みが溶け込んで、これが得も言われぬおいしさ。鮮度のいい鳥を使っているからなのか、もたれず、最後までさっぱりといただけた。言い過ぎかもしれないが、このシメの“親子丼”を食べるために、鳥すきを食べるのもアリだと思う。

鳥専門店の新メニューは、鳥の新たな味わいをさらに広げてくれるのだ。

落ち着いて食事したいならテーブル席がオススメ

■『鳥焼肉 名門』
[住所]福岡市中央区渡辺通5-14-21
[電話番号]092-775-8625
[営業時間]17時~22時
[休日]日
[交通]福岡市営地下鉄天神南駅から徒歩3分

撮影/松隈直樹 取材/牛島千絵美

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