「五色の湯」ってどんな色?名湯『塩原温泉』で浸かった“神秘的な湯”

長い酷暑が落ち着いて、やっと訪れた秋。温泉が恋しくなる頃でしょう?旅館や公衆浴場で湯に浸かってホッ、そのあとはおいしい料理と酒での〜んびり。そんなゆるりとした時間を1泊で過ごす「湯とメシの旅」を、東京から行きやすい温泉地…

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長い酷暑が落ち着いて、やっと訪れた秋。温泉が恋しくなる頃でしょう?旅館や公衆浴場で湯に浸かってホッ、そのあとはおいしい料理と酒での〜んびり。そんなゆるりとした時間を1泊で過ごす「湯とメシの旅」を、東京から行きやすい温泉地でご提案。お好みの場所へ、日帰り、あるいは1泊でお出かけください。今回は、豊かな自然に囲まれた栃木県の名湯「塩原温泉」。街中が温泉尽くし!泉質や色の異なる湯に浸かれば、グルメも温泉を感じるものが多数あり。ひたすら温泉を堪能しました。

浸かって、飲んで、丸ごといただく「温泉力」

ああ、この湯に浸かりたい――。ひと目見て、そう思った。さえぎるものなく眺められる山々、やや緑がかった乳白色の湯。浸かれば「はぁ」と思わず声が出る。熱めの湯が疲れた体をなだめてくれるよう。それにしても神秘的な湯の色だ。名を「五色の湯」という。

『塩原温泉 大出館』山々を眺めながら浸かる露天風呂は最高。紅葉の見頃は10月下旬~11月上旬

お湯の色は毎日同じことがないんです。季節によって違いますし、晴れるとエメラルドグリーンや乳白色、雨が降ると灰色だったり」と『大出館』の若女将・山本順子さん。「どうぞ飲んでみてください。胃腸にいいんですよ」。

『塩原温泉 大出館』「五色の湯」。貴重な飲める温泉だ

口に含めば、硫黄の匂い、ミネラル分を感じる。源泉で炊いた粥もいただく。米の甘みとミネラル分が溶け合い、しみじみとおいしい。お腹が温まり、体の隅々に温泉が沁みわたる。体の外から内から、温泉力、まるっといただきました。

『塩原温泉 大出館』温泉粥は、希望する宿泊客に朝食の際出している。胃腸などによく、ファンも多いという

『塩原温泉 大出館』

[住所]栃木県那須塩原市湯本塩原102
[電話]0287-32-2438
[営業時間]日帰り温泉10時~16時(受付14時まで)※都合により休みあり。電話にて要確認
[交通]JR東北新幹線ほか那須塩原駅からバス約60分(宿泊客のみ送迎あり・要予約)、塩原温泉ターミナルから車で約15分

『塩原温泉 大出館』

温泉卵に湯上りビール、ぷはっの幸せ

塩原温泉は1200年以上の歴史を持ち、約150の源泉があるという。街じゅう「湯だらけ」で手の温泉『指湯』まである。『湯っ歩の里』は、足湯の回廊がある施設。

『湯っ歩の里』足湯ウォークで健康に

湯の底に敷き詰められた石の種類によって、「やんわりほんわか ここちよい道」「ふみふみ ふみしめる道」などがあり、なんだか楽しい。「ぐりぐりせめる道」を歩けば、痛いぞ。とても痛い。けれど、だんだんイタ気持ちよくなり、体もほっかほっかだ。締めは、敷地内にある「飲泉堂」へ。ここでもぐびっと「飲泉」。

『湯っ歩の里』足湯の後は飲泉堂へ

飲泉と運動のおかげかお腹が鳴った。というわけで、温泉街の『遊蕎』へ。生ゆばを蕎麦に絡めて食べる「ゆばとろそば」は、十割蕎麦のふくよかな風味が、ゆばの食感とよく合って美味だった。

『そば処 遊蕎』東力士 冷酒300ml 1100円 ゆばとろそば 1270円(十割田舎蕎麦)

『そば処 遊蕎』(奥)東力士 冷酒300ml 1100円 (手前)ゆばとろそば 1270円(十割田舎蕎麦) 生ゆばに、風味豊かな蕎麦が絡み、何ともいえない旨さ。蕎麦は十割、二八、レモン蕎麦から選べる

翌日は、新湯地区へ向かう。岩肌からは今も水蒸気が吹き出し、硫黄臭が漂う、これぞ秘湯の風情だ。その中にぽつんと共同浴場『中の湯』がある。脱衣場とこぢんまりとした湯船の素朴な浴場。何人もの湯治客が浸かってきたに違いない。なめらかな乳白色の湯が心地よかった。

『中の湯』新湯地区にある2つの共同浴場

『中の湯』近くの『湯荘白樺』では「温泉卵」を発見。勢いよく噴き出す、あの源泉の熱で茹で上げられたという。それはいただきたい。買うと、ご主人が塩と醤油、器を出してくれた。むむ、ここはビールがほしい。缶ビールも購入し、コツンと殻を割った。

とろとろ白身の中から現れる黄身は美しく、味がとても濃い。あまりのおいしさに、「これは普通の卵ですか?」と聞いてしまった。「地元の卵を届けてもらってます」とご主人。地元産の新鮮な卵に温泉の力が加わり、こんなにもおいしくなるのだ。

『湯荘白樺』温泉卵 6個550円 夏7~8分、冬10分程度源泉に浸してつくる温泉卵

温泉に浸かって、温泉卵を食べ、ビールをぷはっ。なんという幸せ。温泉街に戻ると、「温泉で蒸した鰻」なるものを発見。その店『旭亭』は、聞けば65年の歴史を持つという。「その前は、芸者置屋を営んでいたんです」と店の方が教えてくれる。温泉街に、毎晩華やかな宴会があった時代だろう。

『旭亭』白焼 3800円、うな重 4000円

『旭亭』白焼 3800円、うな重 4000円 創業65年の老舗

温泉で蒸してから焼き上げるうなぎはふわっとしすぎず、絶妙な食感。代々継ぎ足しているという、コクのあるタレがうなぎとご飯によく絡む。大地の力が多彩な温泉を生む、自然の不思議。私たちは、その不思議から、こんなに幸せをいただいている。

『指湯』

[住所]栃木県那須塩原市塩原
[電話]0287-32-4000(塩原温泉観光協会)
[営業時間]24時間
[交通]JR東北新幹線ほか那須塩原駅からバス塩原塩釜下車すぐ

『指湯』

『湯っ歩の里』

[住所]栃木県那須塩原市塩原602-1
[電話]0287-32-3101
[営業時間]9時~18時 ※12~3月は~17時
[休日]木
[交通]JR東北新幹線ほか那須塩原駅からバス塩原畑下車、徒歩1分

『湯っ歩の里』

『そば処 遊蕎』

[住所]栃木県那須塩原市塩原683-4
[電話]0287-32-2262
[営業時間]11時~14時 ※売り切れ次第終了
[休日]日・祝
[交通]JR東北新幹線ほか那須塩原駅からバス塩原門前下車すぐ

『そば処 遊蕎』

『旭亭』

[住所]栃木県那須塩原市塩原711-8
[電話]0287-32-2109
[営業時間]11時~14時
[休日]不定休
[交通]JR東北新幹線ほか那須塩原駅からバス塩原温泉バスターミナル下車、徒歩2分

『旭亭』

『寺の湯』

[住所]栃木県那須塩原市湯本塩原28
[電話]0287-32-4000(塩原温泉観光協会)
[営業時間]7時~18時
[交通]JR東北新幹線ほか那須塩原駅からバス約60分、塩原温泉バスターミナルから車で約20分(「ゆ〜タク」ルートあり)

『寺の湯』

『中の湯』

[住所]栃木県那須塩原市湯本塩原 湯っ歩の里11
[電話]0287-32-4000(塩原温泉観光協会)
[営業時間]7時~18時
[交通]JR東北新幹線ほか那須塩原駅からバス約60分、塩原温泉バスターミナルから車で約20分(「ゆ〜タク」ルートあり)

『中の湯』

『湯荘白樺』

[住所]栃木県那須塩原市湯本塩原14
[電話]0287-32-2565
[営業時間]日帰り温泉10時~16時
[休日]不定休
[交通]JR東北新幹線ほか那須塩原駅からバス約60分、塩原温泉バスターミナルから車で約20分(「ゆうタク」ルートあり)

『湯荘白樺』

※「ゆ〜タク」片道200円、1日券400円で塩原温泉の一定エリアに乗れる乗合タクシー
【問い合わせ】0287-32-4000(塩原温泉観光協会)

撮影/西崎進也、取材/本郷明美

2023年11月号

※2023年11月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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