「サロン・デュ・ショコラ」。スイーツに疎い方でもその名を耳にしたことはあるのではないでしょうか。1995年にフランス・パリで誕生したチョコレートの見本市で、東京の他に世界13都市で開催されている、世界最大級のチョコレートの祭典です。日本では現在、例年1月に三越伊勢丹で行われ、独自の進化を遂げています。ここでは、2024年1月18日(木)から開催される「〜パリ発、チョコレートの祭典〜サロン・デュ・ショコラ」の楽しみ方をお知らせします。
画像ギャラリー「サロン・デュ・ショコラ」は日本と海外で違いあり
東京では、伊勢丹新宿店にて「~パリ発、チョコレートの祭典~サロン・デュ・ショコラ(以下、サロショ)」を2003年から開催。ここでしか手に入らない海外から直輸入したショコラが並ぶことから、ショコラ好きやスイーツマニアから熱烈な支持を得ている。
日本のサロショは、他国と違って完全に独自路線なんだとか。本場・パリは5日間で、現在はBtoB向けの見本市という色合いが濃くなっていることから、シェフたちが赴くことは少ないのだそう。一方日本は開催期間が長く、2024年は約1ヶ月に渡る。テーマは、時勢やショコラ業界の流れを反映したオリジナル。かつシェフたちにとって年に一回、一堂に集う同窓会のような役割を果たしている。
M.O.F. (フランス国家最優秀職人章)を持つフィリップ・ベル氏をはじめとするトップシェフたちが「サロショ」での来日を心待ちにし、「感度の高い日本のお客さまたちの反応も気になるし、みんなに会えることがとにかく楽しみ」と口々に語っているという。
トップシェフの言葉からもわかる通り、日本の「サロショ」のポイントは“ショコラを通して人が集う場所”。コロナ禍を経て人と人がリアルにつながることの大切さが浮き彫りになった昨今。つながるサロンとしての役割を改めて見直し、その特長を今年はより強化したそうだ。
2024年のテーマは「Touch! 心がふれあう。世界が変わる。」とし、リアルな出会い、心の感動、SNSを通じたコミュニケーションなど、さまざまな“Touch”ポイントを用意。
それが先で触れたシェフたちの同窓会的空間であり、お客さんにとっては実際に会ってサインをもらえたり、イートインやデモンストレーションなどが楽しめたり。作り手とショコラとお客さんが、これまで以上に交流できるイベントを目指している。
さらに、これまでの2部制から3部制に拡大し、それぞれ異なるテーマで展開する。
●Part1:「TASTE OF CACAO –広がる、楽しむ、カカオの世界–」
一般会期:2024年1月18日(木)~22日(月)※最終日は18時終了
●Part2:「THE ARTISANS –ショコラティエ、パティシエの技–」
一般会期:2024年1月27日(土)~31日(水)※最終日は18時終了
●Part3:「THE NEXT –ショコラの多様性–」
一般会期:2024年2月5日(月)~14日(水)※2月8日(木)は16時終了、14日(水)は18時終了
入場整理券が必要な日時もあるが、多くの日はフリーで入れる。ただし毎年大行列となっており、混雑時は会場の安全性を確保するために入場規制がかかることが多い。
実は、SNSなどでいつもチェックはしていたものの、入場制限の投稿などを見て行くことすら諦めていたワタクシ。そうか、並んでさえいれば入れるのだと今さらながら気づいてしまった。
今年こそ、この祭典を楽しむ気満々だ!
ショコラの可能性を広げるべく日数を大幅増加
三越伊勢丹のバイヤー・五藤久義さんに、「そもそも『サロショ』とは?」と聞いてみた。
「ショコラをモノとして売るだけでなく、作り手に焦点を当て、文化として伝える祭典だと考えています。
もともとチョコレートというお菓子自体は定着していましたが、 ショコラはそれとは別物であるという文化をこの20年間で根付かせたのが『サロショ』だと言えるのではないでしょうか。
栽培されたカカオがショコラティエの技によって光らせることができたものがショコラであり、それだけ作り手の思いや価値が詰まっているということへの理解が進んだと感じています」
そうした自負があるからこそ「サロショ」では、参加するシェフたちに対して、テーマの理解や素材などへのこだわりはもちろん、今感じていることやこれからが見えるような商品作りを求めている。同時にチャレンジをしてほしいと伝えているのだそう。
また、今回会期が延びたことについて、五藤さんはこう話す。
「『サロショ』への期待値が上がっているなかで、入りたくても入れないというお声をいただくことが年々、多くなってきています。
かつ、さまざまなところがバレンタインの催事を行っている中で、これまで通りですと差別化を図ることが難しくなっているという側面もあります。
『サロショ』として、価値を提供していくほうがショコラティエもやりたいことができますし、より多様な見せ方ができると考えました。それらを提示するためには、これまでと同じ日数では足りなかったんです。
会場では、実演やイートインも多数行う予定で、それぞれの強みを活かしたラインナップを取り揃えています」
オンラインでの販売も毎年大盛況
会場に足を運ぶのが難しくてもご安心を。オンラインの販売もある。
一般会期は1月8日(月・祝)10時~2月2日(金)18時。配達期間は2月11日(日・祝)~2月14日(水)を選択できる(時間指定は不可)予定だ。※数に限りがあるため、売り切れの場合あり。特定日に注文が集中した場合は、届け日の指定が不可になる可能性もあります。
ただし、こちらもあまりに人気のため、販売開始時間になる前にオンライン上での仮想待合室がオープンする。午前10時の販売開始後は、ランダム抽選による順番待ち画面に割り当てられるようになっている。
次回は、伊勢丹新宿店で開催される「サロショ」の各パートについて、詳しくご紹介する。お楽しみに!
■『伊勢丹新宿店』本館6階 催物場
[住所]東京都新宿区新宿3-14-1
[営業時間]10時~20時
※2024年2月2日(金)はイベント開催のため全館休業
取材・撮影/市村幸妙
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